総合評価
2024年の政変以来、国内の治安情勢は極めて流動的です。警察機能の低下に乗じた強盗や凶悪犯罪が急増しており、2026年2月の総選挙を控えた政治的緊張も重なり、デモや暴動の発生リスクが非常に高い状態にあります。渡航には最大限の警戒が必要です。
身体的安全 (D)
ハシナ政権崩壊後、警察機能が低下し強盗や誘拐、殺人が急増しています。特に夜間や人通りの少ない場所での刃物を用いた犯行が報告されており、抵抗は命の危険を伴うため厳禁です。
医療・衛生 (D+)
デング熱の爆発的な流行に加え、衛生環境が悪く水系感染症のリスクが常時あります。都市部の私立病院を除き医療水準は低く、重症時は日本やタイへの緊急移送が必要となる可能性が高いです。
詐欺・スリ (C-)
外国人への過剰請求や偽ガイド、オンライン決済サービス「bKash」を悪用した詐欺が多発。空港周辺での強盗を目的とした偽配車トラブルも報告されており、移動手段の選定には細心の注意が必要です。
テロリスク (D)
イスラム過激派の潜在的脅威に加え、政治的対立に伴う爆弾事件や暴徒化のリスクが常に存在します。政府施設や宗教施設、外国人が集まるレストランなどは依然としてテロの標的となる可能性があります。
最新インテリジェンスレポート
2024年8月のシェイク・ハシナ政権崩壊後、ムハンマド・ユヌス氏率いる暫定政権が統治していますが、警察機能の麻痺に乗じた一般犯罪の増加が顕著です。2026年2月の総選挙が最大の焦点であり、選挙活動が本格化する2026年1月からは全土で政党間の衝突や大規模デモ「ハルタル」が頻発すると予想されます。チッタゴン丘陵地帯では武装勢力と政府軍の衝突が続いており、渡航は極めて危険です。インフレと失業に伴う社会不安も根深く、外国人旅行者は政治的混乱に巻き込まれるリスクを常に考慮する必要があります。
背景分析
15年間に及んだハシナ政権の崩壊は、学生主導のデモから発展し、現在も国家の再構築プロセスにあります。暫定政権は司法や警察、選挙制度の改革を急いでいますが、旧政権支持者と新勢力の対立は続いています。経済面では、主要産業である既製服(RMG)産業がストライキの影響を受けており、外貨準備の不足と10%近いインフレ率が国民生活を圧迫しています。2026年に後発開発途上国(LDC)を卒業する予定ですが、この移行期における政治的安定が最大の課題です。若年層の失業率は15%を超え、社会への不満がモブ・ジャスティス(民衆による私刑)や略奪行為に結びつきやすい環境にあります。外交的には日本と「戦略的パートナーシップ」を維持しており親日的ですが、テロや組織犯罪の「ソフトターゲット」として外国人が狙われる可能性は排除できません。
重要ポイント
- 2026年2月の総選挙前後は極めて危険であり、渡航を避けるべきです。
- チッタゴン丘陵地帯(CHT)は武装勢力の衝突があり、レベル3以上の警告区域です。
- 警察の機能が十分に回復しておらず、自警団や暴徒による私刑のリスクが存在します。
- デング熱が過去最悪の流行を見せており、防蚊対策と医療保険の加入が必須です。
- 水道水は飲用不可です。歯磨きやうがいにも必ずボトル入りの水を使用してください。
- イスラム教国であり保守化が進んでいるため、肌の露出を控えた服装が推奨されます。
- ゼネスト(ハルタル)発生時は交通が完全に麻痺し、放火事件も発生します。
- bKashを悪用した送金詐欺が多発しており、見知らぬ相手への支払いは控えてください。
- 流しのリキシャやCNGではなく、UberやPathaoなどの配車アプリの使用を推奨します。
- 緊急通報番号999は機能していますが、外務省の「たびレジ」登録を強く推奨します。
各国政府の渡航情報
| 情報源 | 警戒レベル |
|---|---|
| 日本外務省 | レベル2:不要不急の渡航は止めてください(一部レベル3) |
| 米国務省 | Level 3: Reconsider Travel |
| 英国外務省 | High degree of caution |
| カナダ政府 | Exercise a high degree of caution |
| ドイツ外務省 | Reisewarnung / Sicherheitshinweis |
| フランス外務省 | Vigilance renforcée |
地域別リスク評価
ダッカ首都圏
レベル2:不要不急の渡航中止リスク政治の中心でデモが多発。警察の統制が不安定で、夜間の強盗やスリが急増しており厳重な警戒が必要。
チッタゴン丘陵地帯 (CHT)
レベル4:避難勧告・渡航中止リスク武装組織KNFと政府軍の衝突が継続しており、誘拐、銃撃、地雷のリスクが極めて高く立ち入り禁止。
コックスバザール難民キャンプ周辺
レベル4:避難勧告・渡航中止リスク難民キャンプ内外の治安が極めて不安定。武力衝突や誘拐が発生しており、夜間の移動は死活的な危険。
チッタゴン市街地・港湾
レベル2:不要不急の渡航中止リスク国内最大の港湾都市で、薬物犯罪や労働争議に伴う暴動リスクが存在。夜間の単独行動は特に危険。
シレット
レベル2:不要不急の渡航中止リスク比較的安定しているが、雨季の洪水による孤立リスクがある。政治的混乱時にはデモの対象となり得る。
クルナ・シュンドルボン
レベル2:不要不急の渡航中止リスク世界遺産の観光拠点だが、自然災害や密猟組織、海上強盗のリスクに注意が必要。ガイドなしは不可。
ラジシャヒ
レベル2:不要不急の渡航中止リスク農業地帯で比較的穏やかだが、インド国境付近での密輸トラブルや犯罪組織に巻き込まれる危険がある。
マイメンシン
レベル2:不要不急の渡航中止リスク学生運動が活発な地域で、政治的情勢の変化に伴い突発的なデモや道路封鎖が発生しやすい傾向。
国内安全マップ
2024年の政変以降、全土で治安状況が悪化しています。タクティカルマップ上の「Danger」ゾーンは、武装勢力の活動や警察権力の不在により、外国人にとって生命の危険がある地域を示しています。都市部でもデモの起点となる場所は突発的に危険地帯へ変貌するため、常に複数の避難ルートを確認してください。観光地のシレットやラジシャヒは比較的落ち着いていますが、政治的情勢に左右されるため過信は禁物です。移動には信頼性の高い配車アプリを使用し、徒歩での長距離移動は控えることが推奨されます。
各国大使館が集まる厳重警戒区域。検問があり外部からの侵入が制限されているため、徒歩での移動も比較的安全だが、油断は禁物。
リスク: 周辺部でのデモ波及, 外国人狙いのひったくり
外国人が多く住む商業・住宅地。民間警備員が多く配置されているが、裏通りでの強盗やATMスキミングが報告されている。
リスク: 夜間の強盗, スキミング犯罪
デモや政治的暴動の起点になりやすく、警察の統制が及びにくい。特に夜間は暴力犯罪が多発しており、立ち入りを控えるべき。
リスク: 政治的暴力, 凶悪犯罪
武装勢力と軍の衝突が続く国内最危険地帯。誘拐、銃撃、地雷のリスクがあり、外国人には避難勧告が出されている。
リスク: 武装勢力による誘拐, 地雷・爆発物
世界最長のビーチだが、最近は治安が不安定。観光客を狙った窃盗や詐欺が多く、夜間のビーチ歩行は極めて危険。
リスク: 強盗・窃盗, 偽ガイド詐欺
世界最大の難民キャンプがあり、内部での対立や暴力犯罪が深刻。周辺道路での誘拐や銃撃リスクも高く、渡航中止レベル。
リスク: 武力衝突, 人身売買・誘拐
比較的治安が安定している観光地。ただし、モンスーン期の洪水被害が甚大になることがあり、自然災害への警戒が必要。
リスク: 洪水・自然災害, 政治的ストライキ
マングローブ原生林。ガイドなしの移動は野生動物のほか、不法武装グループによる襲撃や身代金目的の誘拐のリスクがある。
リスク: 野生動物の襲撃, 海上強盗
空港到着後の外国人を狙った強盗が多発。特に夜間のタクシーやUber利用時に、目的地ではない場所へ誘導される事例がある。
リスク: 空港強盗, 偽タクシー
大規模な衣料品工場が集積し、労働争議によるデモや暴動が頻発する。道路封鎖により身動きが取れなくなるリスクが高い。
リスク: 労働暴動, 道路封鎖
工業・港湾都市で犯罪組織の活動が活発。治安当局の手が届きにくいエリアがあり、夜間の滞在は非常に危険。
リスク: 組織犯罪, 薬物関連暴力
教育・文化都市で比較的平穏だが、インド国境に近いため、不法入国者や密輸に関連したトラブルに巻き込まれないよう注意。
リスク: 国境紛争, 密輸活動
犯罪・治安情報
犯罪統計
強盗
リスク: 5/5多発エリア: ダッカ空港連絡道路, ウッタラ地区, ミプール地区
手口:
- バイクでの追い抜きざまの強奪
- 刃物や銃器を用いた脅迫
- 夜間の人通りの少ない路地での待ち伏せ
対策:
- 絶対に抵抗せず要求に従う
- 夜間の徒歩移動は避ける
- 信頼できるホテルの送迎を利用する
2025年1月には過去6年で最多の強盗件数を記録。
スリ・窃盗
リスク: 4/5多発エリア: コムラプール駅, ニューマーケット, 満員の路線バス
手口:
- 混雑に乗じたスリ
- リキシャ走行中のひったくり
- 携帯電話の使用中の奪取
対策:
- バッグは体の前に抱える
- 人混みでスマートフォンを露出させない
- リキシャでは荷物をしっかり押さえる
警察機能低下により街頭犯罪の摘発率が大幅に低下中。
凶悪犯罪
リスク: 4/5多発エリア: デモ現場周辺, 政党事務所付近, 夜間の工業団地周辺
手口:
- 集団暴行(モブ・ジャスティス)
- 政治的抗争に巻き込む暴力
- 略奪された銃器の悪用
対策:
- デモや集会には決して近づかない
- 現地のニュースを常時確認する
- 政治的話題を避ける
2024年政変後、殺人事件数が前年比30%増加。
性犯罪
リスク: 4/5多発エリア: 夜間の公共交通機関, 人通りの少ない公園, 混雑した市場
手口:
- 公共の場でのセクハラ(イブ・ティージング)
- 集団での暴行
- 睡眠薬を混ぜた飲食物の提供
対策:
- 女性の単独行動は控える
- 肌を隠す保守的な服装を心がける
- 知らない人物からの飲食物を断る
女性への暴力報告数が月間100件を超える深刻な状況。
詐欺
リスク: 3/5多発エリア: 観光地全域, オンライン, 空港出口
手口:
- bKashを悪用した送金詐欺
- 偽の旅行代理店による予約詐欺
- 法外な手数料を要求する偽ガイド
対策:
- 公式な旅行代理店のみを利用する
- 身ず知らずの人物の勧誘に応じない
- 個人情報の入力を求めるSMSを無視する
大手オンライン代理店の突然の閉鎖による大規模詐欺が発生。
traffic_accident
リスク: 5/5多発エリア: 長距離幹線道路, ダッカ市内交差点
手口:
- バスの無謀運転による衝突
- 信号無視や逆走
- 過積載車両の横転
対策:
- 夜間の長距離バス利用を避ける
- 可能な限り鉄道や航空機を利用する
- 道路横断時は極めて慎重に行う
年間8,500人以上が死亡しており、世界最悪水準。
健康・医療情報
ワクチン情報
バングラデシュへの渡航には、黄熱流行国を経由する場合を除き必須のワクチンはありませんが、衛生環境が不十分なため、A型肝炎、B型肝炎、破傷風の接種が強く推奨されます。また、野犬による狂犬病リスクが非常に高く、地方への訪問や長期滞在を予定している場合は、狂犬病、腸チフス、日本脳炎の予防接種も事前に済ませておくことが安全です。特に政情不安により医療物資が不足する場合があるため、可能な限りの免疫獲得を推奨します。
| ワクチン | 必須/推奨 | 備考 |
|---|---|---|
| 黄熱 | 必須 | 黄熱流行国から入国、またはそれらの国の空港で12時間以上乗り継ぎをした場合に証明書の提示が必須です。 |
| A型肝炎 | 推奨 | 飲料水や食べ物を介した感染リスクが高いため、全渡航者に強く推奨されます。 |
| B型肝炎 | 推奨 | 事故や怪我による医療処置での感染リスクを考慮し、長期滞在者に推奨されます。 |
| 破傷風 | 推奨 | 屋外活動中の怪我による感染を防ぐため、追加接種が推奨されます。 |
| 狂犬病 | 推奨 | 野犬やサルが多く、都市部を含め全土でリスクがあるため、動物と接触の可能性がある場合に推奨されます。 |
| 腸チフス | 推奨 | 地方都市や農村部での飲食を予定している場合に推奨されます。 |
健康リスク
デング熱が最大の脅威であり、2024年から2025年にかけて過去最悪の流行を記録しています。特に雨季(6月〜10月)に感染が急増するため、防虫対策が必須です。また、チッタゴン丘陵地帯ではマラリアのリスクがあります。さらに冬季(12月〜3月)には、ナツメヤシの生樹液を介したニパウイルス感染症が発生し、致死率が極めて高いため生液の摂取は厳禁です。水系感染症のコレラや赤痢も常態化しており、徹底した手洗いと飲料水管理が求められます。
医療施設
ダッカ市内にはEvercareやUnited Hospitalなどの私立総合病院があり、外国人への対応が可能で英語も通じます。しかし、重症時や特殊な手術が必要な場合は、タイや日本への緊急移送が必要になることが一般的です。地方の公立病院は設備が著しく不足し、衛生管理も不十分なため推奨されません。日本語対応可能な医師はほぼ不在であり、高額な医療費に備えて十分な補償額の海外旅行保険への加入が不可欠です。
入国・ビザ情報
ビザ要件: 日本国籍者は、観光または出張目的であれば主要空港(ダッカなど)でオンアライバルビザ(VOA)の取得が可能です。最大30日間の滞在が許可され、手数料は約51米ドルです。取得には、帰国または次国への航空券、ホテルの予約確認書、滞在費を証明する現金(500ドル相当以上推奨)が必要です。ただし、現在の暫定政権下では運用が変更される可能性があるため、最新の情報を大使館で確認してください。
パスポート有効期限
入国時に6か月以上の残存有効期間が必要です。また、ビザ貼付用として連続した見開き2ページ以上の空白ページがあることが求められます。
持ち込み禁止・制限品
非イスラム教徒の外国人に限り、アルコール類2本(または計2リットル程度)の持ち込みが認められます。5,000米ドル相当を超える外貨を持ち込む場合は税関申告(FMJフォーム)が必須です。ドローンの持ち込みは厳しく制限されており、事前の許可がない場合は没収の対象となります。豚肉製品やポルノ類の持ち込みは禁止されています。
緊急連絡先
時間帯別安全情報
早朝
注意早朝は比較的穏やかですが、空港から市内への移動中に狙われる事件が報告されています。霧が発生しやすい冬季(1月〜2月)は視界が悪く、交通事故や飛行機の遅延のリスクも高まります。
安全な活動:
- ・空港送迎を利用したホテルへの移動
- ・主要駅への移動
避けるべきエリア:
- ・人通りのない路地
- ・工事現場周辺
交通: ホテルの専用車または事前手配されたタクシー。
日中
安全日中は人通りが多く最も安全な時間帯ですが、スリやひったくりには常に注意が必要です。デモ(ハルタル)が発生すると、瞬時に主要道路が封鎖され暴徒化するリスクがあるため、群衆には近づかないでください。
安全な活動:
- ・ショッピングモールでの買い物
- ・公式ガイド同伴の観光
- ・ダッカ・メトロの利用
避けるべきエリア:
- ・デモが予定されている政府庁舎前
- ・混雑の激しすぎる市場
交通: ダッカ・メトロ(MRT)または配車アプリ(Uber)。
夕方〜夜
危険日没後は治安が急激に悪化します。街灯が少ないエリアが多く、バイクによるひったくりや強盗が多発します。特に女性の歩行は避けるべきで、信頼できる車両での移動が必須となります。
安全な活動:
- ・ホテル内での夕食
- ・警備の厳重な高級レストランでの会食
避けるべきエリア:
- ・公園、バスターミナル、鉄道駅周辺
- ・未舗装の路地
交通: Uber等の配車アプリ(必ず目的地まで直行)。
深夜
危険深夜の外出は極めて危険です。警察の巡回が減り、銃器や刃物を使用した強盗の独壇場となります。車両移動中であっても、バイク集団に囲まれるリスクがあるため、移動は最小限にし、不要不急の外出は控えてください。
安全な活動:
- ・なし(外出禁止を推奨)
避けるべきエリア:
- ・全域(特にミプール、ウッタラ、ヤトラバリ地区)
交通: 緊急時を除き移動は避けるべき。移動時は装甲車並みの警備車両が必要。
季節別ガイド
冬 (December - February)
気温: 10°C - 25°C
降水: ほとんど降らない(月間降水量10mm以下)
服装: 日中は長袖シャツ、朝晩は厚手のセーターやフリース、ジャケットが必要です。
おすすめ活動:
シュンドルボンでのクルーズ, シレットの茶園訪問, ダッカ市内の歴史的建造物巡り, コックスバザールでのビーチ散策
リスク:
- ・濃霧による飛行機やフェリーの大幅な遅延
- ・乾燥による喉の痛みや呼吸器疾患
- ・ニパウイルス感染(生樹液摂取による)
Summer (Pre-monsoon) (March - May)
気温: 30°C - 40°C+
降水: 激しい雷雨(ノルウェスター)が散発的に発生
服装: 通気性の良い綿素材の服。日差しが強いため、帽子やサングラス、日傘が必須です。
おすすめ活動:
室内博物館の訪問, 高級ホテルでのステイケーション, ショッピングモールでの買い物
リスク:
- ・熱中症や脱水症状のリスク
- ・猛烈な落雷による被害
- ・突風による倒壊事故
Summer (Monsoon) (June - August)
気温: 28°C - 35°C
降水: 年間降水量の約80%が集中。激しい豪雨が連日続く
服装: 速乾性の服、丈夫な傘、防水仕様の靴やレインコート。サンダルも便利です。
おすすめ活動:
バリシャルの水上マーケット(増水期が見頃), 雨の風景を楽しむリゾート滞在
リスク:
- ・全土的な洪水と道路の寸断
- ・デング熱の爆発的流行
- ・激しい交通渋滞と物流の停止
Autumn (Post-monsoon) (September - November)
気温: 25°C - 32°C
降水: 徐々に減少するが、サイクロンの発生リスクがある
服装: 薄手の長袖。湿度がまだ高いため、通気性を重視した服装。羽織るものも準備。
おすすめ活動:
地方都市への移動・観光, リバークルーズ, 野外イベントへの参加
リスク:
- ・ベンガル湾でのサイクロン上陸
- ・季節の変わり目による体調不良
- ・残存する洪水被害の影響
ベストシーズン: 渡航に最適な時期は11月後半から2月にかけての「冬」です。この時期は気温が20度前後で安定し、湿度も低いため非常に過ごしやすく、観光やビジネスの移動がスムーズです。雨がほとんど降らないため道路状況も良好で、洪水やデング熱のリスクも他の季節に比べて大幅に低下します。ただし、1月は濃霧によって飛行機の欠航や大幅な遅延が頻発するため、日程には余裕を持つことが推奨されます。
環境リスク
野生動物のリスク
ラッセルクサリヘビ(毒蛇)
リスク: 5/5生息地: 全土の農地, 茂み, 河川敷
2024年以降、ラッセルクサリヘビの個体数が急増し深刻な被害が出ています。農地や草むらを歩く際は厚手の靴や長ズボンを着用し、夜間の不用意な外出は避けてください。蛇に遭遇した場合は静かに距離を置き、決して刺激しないでください。噛まれた場合は患部を動かさないように固定し、直ちに抗蛇毒血清(Antivenom)を備えた国立病院へ向かう必要があります。民間療法は絶対に避けてください。
治療: 直ちに最寄りの国立医科大学病院(Dhaka Medical Collegeなど)へ。血清の在庫確認が必要です。
野犬(狂犬病)
リスク: 4/5生息地: ダッカ市内全域, 地方都市の路地
都市部・地方問わず、数多くの野犬が徘徊しています。多くが狂犬病ウイルスを媒介している可能性があるため、可愛く見えても絶対に触れたり近づいたりしないでください。夜間は犬が群れをなして攻撃的になることが多いため、徒歩での移動は避けるべきです。もし追いかけられた場合は、大声を出すか石を投げるふりをして威嚇しますが、基本的には背中を見せずにゆっくり後退して避難してください。
治療: 噛まれたら直ちに石鹸と流水で15分以上洗浄し、24時間以内に暴露後ワクチンを接種してください。
ベンガルトラ
リスク: 3/5生息地: シュンドルボン(南部マングローブ湿帯)
世界遺産シュンドルボンには野生のベンガルトラが生息しています。観光の際は必ず政府公認の熟練ガイドと武装警備員を伴い、定められた安全ルートから外れないようにしてください。船から降りて陸地を歩く際は、ガイドの指示を遵守し、単独行動は絶対に避けてください。トラは非常に警戒心が強く、背後から襲う習性があるため、常に周囲を警戒し、物音や気配に注意を払う必要があります。
治療: 現地の緊急搬送は困難なため、速やかにダッカの総合病院へヘリ等での搬送を試みる必要があります。
水の安全性
水道水: 飲用不可
水道水は地域を問わず飲用不適です。必ず未開封のボトル入りミネラルウォーターを購入して使用してください。うがいや歯磨きにもボトル水を使用することが推奨されます。また、地下水には高濃度のヒ素が含まれている地域が多く、長期間の摂取は健康被害を引き起こします。レストランでの生野菜やフルーツも水道水で洗浄されている可能性があるため、加熱済みの料理を選ぶことが安全です。
交通安全
事故死亡率: 約15.3人(世界保健機関推計、公式発表より高い実態)
歩行者リスク: 歩行者優先の概念は皆無です。横断歩道であっても車両は止まりません。歩行者が走行中の車両の間を縫って横断するのが一般的ですが、非常に危険です。特に夜間は街灯が少なく、歩行者が跳ねられる事故が多発しています。道路を横断する際は、現地の人の流れに合わせるか、信号や警察官の誘導がある場所を慎重に選んでください。
公共交通: 長距離バスは無謀な追い越しやスピード違反により「走る凶器」と呼ばれ、年間8,500人以上の死者を出しています。三輪タクシー(CNG)は事故時に放り出されるリスクがあり、スリや強盗の標的にもなりやすいため推奨されません。都市部では、比較的安全なダッカ・メトロ(MRT)や、GPSで管理されている配車アプリ(Uber等)を利用した車両移動が最も安全な選択肢です。
地域別ガイド
ダッカ管区(Dhaka Division)
レベル 3国の政治・経済・文化の中心地。世界有数の人口密度を誇り、常に活気に溢れていますが、政治的デモや暴動の起点となりやすい地域です。歴史的なオールドダッカから現代的なグルシャン地区まで多様な顔を持ちます。
主要都市: ダッカ, ナラヤンガンジ, ガジプール
特有リスク:
- ・突発的な大規模デモ(ハルタル)
- ・深刻な大気汚染と交通渋滞
- ・外国人狙いのひったくり・強盗
チッタゴン管区(Chattogram Division)
レベル 4国内最大の港湾都市チッタゴンと、世界最長の天然ビーチであるコックスバザールを擁します。美しい海岸線がある一方で、ロヒンギャ難民キャンプや、武装勢力の活動がある山岳地帯(CHT)を含んでいます。
主要都市: チッタゴン, コックスバザール, クミラ
特有リスク:
- ・山岳地帯での武装勢力間の衝突
- ・サイクロンによる高潮被害
- ・難民キャンプ周辺の治安不安定
シレット管区(Sylhet Division)
レベル 2北東部に位置する茶園の美しい丘陵地帯。英国への移民が多く「ロンドン・オブ・バングラ」とも呼ばれます。聖者シャージャラールの霊廟があり、宗教的にも重要な聖地です。他地域に比べ比較的穏やかです。
主要都市: シレット, スリモンゴル
特有リスク:
- ・雨季の激しい洪水
- ・宗教施設周辺でのテロ警戒
- ・野生動物(毒蛇)の被害
クルナ管区(Khulna Division)
レベル 2南西部に位置し、世界最大のマングローブ原生林「シュンドルボン」への玄関口です。工業都市クルナを中心に、穏やかな河川風景が広がります。自然観光が主体となります。
主要都市: クルナ, モンラ, ジェソール
特有リスク:
- ・シュンドルボンでの猛獣被害(トラ)
- ・船舶事故のリスク
- ・地下水のヒ素汚染(飲用厳禁)
ラジシャヒ管区(Rajshahi Division)
レベル 2マンゴーの産地として知られ、シルク産業が盛んです。北西部には仏教遺跡パハルプールがあり、歴史ファンに人気です。ダッカに比べ物価が安く、人々も比較的のんびりしています。
主要都市: ラジシャヒ, ボグラ
特有リスク:
- ・夏季の極端な熱波
- ・国境付近での密輸トラブル
- ・治安維持部隊の取り締まり(政治緊張時)
チッタゴン丘陵地帯(CHT)
レベル 5ラガマティ、バンダルバン、カグラチャリの3県。先住民族が多く居住し、独自の文化を持ちますが、土地争いや自治権を巡る武装衝突が絶えません。外国人の立ち入りには特別許可が必要です。
主要都市: ラガマティ, バンダルバン
特有リスク:
- ・武装組織による誘拐・銃撃事件
- ・地雷の敷設リスク
- ・当局による厳格な移動制限
経済・物価情報
経済概要
バングラデシュは南アジアでインドに次ぐ第2位の経済規模を誇り、世界シェア第2位の既製服(RMG)産業が輸出の8割以上を支えています。2026年には後発開発途上国(LDC)を卒業する予定ですが、2024年の政変以降、外貨準備高の減少と政治的混乱により経済は停滞しています。ユヌス暫定政権下で構造改革が進められていますが、依然として脆弱なインフラと汚職が経済成長のボトルネックとなっています。日本との経済連携(EPA)交渉も進んでおり、将来的な市場開放が期待される新興国です。
生活費・物価
旅行者にとっての物価は日本の3分の1から2分の1程度ですが、インフレの影響で急速に上昇しています。食事はローカル店なら200円〜400円、中級レストランで1500円〜3000円。宿泊は中級ホテルで5000円〜1万円、5つ星ホテルは2万円以上と格差が激しいです。交通費はUberが格安で、ダッカ市内の移動なら500円〜1000円程度で済みます。輸入品や外国人向けサービスには高い税金が課されるため、日本と同等かそれ以上の費用がかかる場合もあります。
通貨情報
通貨はバングラデシュ・タカ(BDT)。2025年現在、1タカは約1.2円〜1.4円程度ですが変動が激しいです。両替は空港または市内の公認両替所で行えます。クレジットカードは都市部の高級ホテルやモールを除き、ほとんど普及していません。モバイル決済「bKash」が全土で普及しており、現地SIMがあれば便利ですが、外国人にはハードルが高いです。地方へ行く際は必ず十分な現金(小額紙幣を多めに)を持参してください。ATMはStandard Chartered等が海外カードに対応しています。
チップガイド
高級レストランではサービス料が含まれていることが多いですが、含まれていない場合は5〜10%程度のチップが一般的です。ホテルのポーターには50〜100タカ、UberやCNGの運転手には端数を切り上げたり、長距離なら50〜100タカ程度上乗せすると喜ばれます。ガイドや運転手を1日雇った場合は、500〜1000タカ程度のチップが相場です。過剰なチップは不要ですが、感謝の意を示す文化は存在します。
予算ガイド
【バックパッカー】1日3,000円〜5,000円。安宿、ローカル食、バス・鉄道移動が中心。ただし治安リスクから最安クラスの宿泊は非推奨です。【ミドルレンジ】1日1万円〜2万円。中級ホテル、Uber、衛生的なレストランを利用。最も現実的で安全な選択肢です。【ラグジュアリー】1日3万円以上。5つ星ホテル、専用車チャーター、高級ダイニング。安全を金で買う感覚が必要な国であり、特に現在は高級ホテル滞在が強く推奨されます。
文化・マナー情報
歴史的背景
1947年にパキスタンの一部(東パキスタン)として独立しましたが、言語と言語運動(1952年)を契機に民族主義が高まり、1971年の独立戦争を経てバングラデシュとして独立しました。この「言語」と「独立」への誇りは非常に強く、2月21日の言語烈士記念日は聖なる日とされています。歴史的にモル・ガールの支配やイギリスの植民地支配を経ており、イスラム文化にベンガル民族の伝統が融合した独特のアイデンティティを持っています。2024年の政変は、若年層が中心となって独裁体制を覆した「第2の独立」とも呼ばれています。
社会規範・マナー
保守的なイスラム教国であり、謙虚さと礼儀が重んじられます。服装は男女ともに露出を避けることが基本で、女性の短パンやノースリーブは厳禁です。挨拶は「アッサラーム・アライクム」が一般的。右手が清浄、左手が不浄とされるため、食事や物の受け渡しは必ず右手で行います。長老や目上の人を敬う文化が強く、初対面でも年齢や家族構成を聞かれることがありますが、これは親しみの印です。公共の場での過度な身体接触(カップル含む)や飲酒はタブー視されます。
宗教・慣習
人口の約9割がイスラム教徒で、残りがヒンドゥー教徒、仏教徒、キリスト教徒です。生活は礼拝(アザーン)のリズムを中心に回っており、金曜日は安息日で午後はほとんどの店が閉まります。ラマダン(断食月)期間中は、日中の公共の場での飲食・喫煙は避けるべきです。モスク見学時は土足厳禁で、女性はスカーフで髪を隠す必要があります。豚肉やアルコールは宗教的に禁止されており、一般の店では手に入りません。ヒンドゥー教の祭礼(ドゥルガ・プジャ)も盛大に行われます。
宿泊・食事ガイド
宿泊ガイド
ダッカでは安全確保のため、グルシャンやバリダラ周辺の4つ星・5つ星ホテルへの滞在を強く推奨します(InterContinental, Westin, Radisson等)。これらのホテルには検問や金属探知機があり、治安リスクを大幅に軽減できます。中級ホテル(5,000〜8,000タカ)は清潔感に欠けることが多く、セキュリティも不十分な場合があります。地方では観光局直営の「Parjatan Motel」が比較的安定していますが、設備は古いです。予約はBooking.comやAgodaが可能ですが、現地での「外国人価格」適用やダブルブッキングを防ぐため、確定後の直接連絡が有効です。
食事ガイド
バングラデシュ料理はスパイスを多用し、米(バート)と魚(マッチ)、肉(マンショ)、豆のスープ(ダル)が基本です。代表的なのはビリヤニ(炊き込みご飯)で、特にダッカの「ハジ・ビリヤニ」が有名。ストリートフードは魅力的ですが、A型肝炎や食中毒のリスクが高いため、加熱調理されたもの以外は避けてください。高級レストランではイタリアンや中華、和食も楽しめます。飲水は必ず未開封のミネラルウォーター(ブランドはMUMやFreshが安定)を使用し、カットフルーツや氷は厳禁です。辛さが苦手な場合は「スパイシー・コム(辛さ控えめ)」と伝えましょう。
実用情報
通信・SIM
Grameenphone(最大手)かRobiのSIMを空港で購入するのが最もスムーズです。パスポートと写真が必要。4G/5Gが普及していますが、デモ発生時には政府によってインターネット(特にSNS)が遮断されることが頻繁にあります。VPNの用意を推奨しますが、通信自体が止まることも想定してください。公共WiFiは高級ホテル以外、ほぼ信頼できません。
銀行・ATM
クレジットカードは高級店限定。現金払いが基本です。ATMはDutch-Bangla BankやStandard Charteredが海外カード対応。スキミング被害が報告されているため、ガードマンがいる銀行併設のATMを使用し、暗証番号入力時は必ず手を被せてください。1回の引き出し限度額は20,000〜50,000BDT程度で、手数料がかかる場合があります。
郵便・配送
郵便(GPO)は非常に時間がかかり、紛失リスクも高いです。重要な書類や荷物はDHLやFedExなどの国際クーリエを利用してください。これらは主要都市のオフィスで受け付け可能です。絵葉書を日本に送る場合は、高級ホテルのフロントに託すのが最も確実です。
電源・アダプター
220V、50Hz。プラグは丸ピン2つのC型、太い3つのD型、四角い3つのG型が混在。マルチアダプターが必須です。電圧変動が激しいため、精密機器の充電はサージプロテクター付きを推奨します。
洗濯サービス
高級ホテルにはランドリーサービスがありますが、非常に高価です。街中のクリーニング店(アイロン・洗濯)は格安ですが、水質が悪く衣類が痛んだり変色したりすることがあります。速乾性の衣類を持参し、下着等は自室で手洗いするのが無難です。
公衆トイレ
街中には清潔な公衆トイレはほぼありません。ショッピングモール、高級ホテル、高級レストランのトイレを利用してください。紙がないことが多いため、トイレットペーパーや除菌シートの常備は必須。和式に近い形状で、左側のシャワー(水)で洗うのが現地式です。
主要都市ガイド
ダッカ
Dhaka
リキシャのベルが鳴り止まない喧騒の首都。政治・経済の中心であり、ムハール朝の遺跡アーサン・モンジルなど歴史的建造物も多いです。渋滞が深刻で、移動には余裕が必要です。治安は不安定で、外交地区以外での夜歩きは避け、デモ情報を常に確認してください。
主な観光地:
ラールバーグ・フォート, ダケシュワリ寺院, ナショナル・ミュージアム
避けるべきエリア:
- ・ミプール
- ・ヤトラバリ
- ・ニューマーケット周辺(夜間)
ベストシーズン: 11月〜2月
詳細ページへ →チッタゴン
Chattogram
国内最大の港湾を擁する丘陵の街。日本企業も多く進出しています。魚市場や船舶解体場が有名ですが、治安は不安定で、政治的な対立が激しいエリアもあります。丘陵地帯への入り口ですが、単独での山間部への移動は極めて危険です。
主な観光地:
フォイズ・レイク, パテンガ・ビーチ, 民族博物館
避けるべきエリア:
- ・港湾地区(夜間)
- ・丘陵部との境界付近
ベストシーズン: 11月〜2月
詳細ページへ →シレット
Sylhet
茶園と雨に恵まれた北東部の都市。英国移民の影響で整備されたエリアが多く、他都市より比較的クリーンで安全です。聖地としての性格が強く、宗教的敬意が求められます。周辺の湿地帯や滝などの自然観光の拠点となります。
主な観光地:
シャージャラール霊廟, ティー・ガーデン, ラタグル湿地林
避けるべきエリア:
- ・霊廟周辺の混雑時(スリ)
- ・国境未画定地域
ベストシーズン: 11月〜2月(雨季の終わりも美しい)
詳細ページへ →クルナ
Khulna
南西部の工業と河川交通の拠点。シュンドルボンへのツアーが出る街です。観光地としての華やかさはありませんが、人々は素朴で比較的安全です。バゲルハットの60ドーム・モスクなどの世界遺産へのアクセスも良いです。
主な観光地:
シュンドルボン国立公園, バゲルハットのモスク群, ルプシャ橋
避けるべきエリア:
- ・工業団地周辺
- ・フェリー乗り場周辺(夜間)
ベストシーズン: 12月〜2月
詳細ページへ →ラジシャヒ
Rajshahi
「教育の街」として知られる北西部の都市。ガンジス川(パドマ川)のほとりにあり、川沿いの夕景が美しいです。シルクが有名で、街は比較的静かで安全な雰囲気があります。近郊のプティア遺跡群などは必見です。
主な観光地:
バレンドラ・リサーチ・ミュージアム, パドマ川のリバーフロント, プティアの寺院群
避けるべきエリア:
- ・国境付近の未舗装路
- ・夜間の暗い川沿い
ベストシーズン: 11月〜2月
詳細ページへ →交通詳細ガイド
国内線フライト
国内線はダッカをハブとしてチッタゴン、シレット、コックスバザール、ラジシャヒ、クルナ(ジェソール)を結んでいます。航空会社は国営のBiman Bangladesh Airlinesのほか、私立のUS-Bangla AirlinesやNovoairがシェアを占めています。US-BanglaとNovoairは機体が新しく定時運行率も比較的高いため、外国人旅行者に推奨されます。所要時間は45分〜1時間程度で、陸路の激しい渋滞やハルタルを回避できる唯一の確実な手段です。チケットはオンライン予約可能ですが、当日の霧(特に冬)や悪天候による遅延・欠航は頻繁にあるため、接続には余裕を持ってください。
鉄道・バス
鉄道はイギリス植民地時代の名残で、都市間移動の重要な手段です。バスよりも安全性は高いですが、遅延は常態化しています。ダッカ発の「シルクロボ(Silk City Express)」などの急行列車は、スニグダ(エアコン付指定席)を選べば比較的快適です。チケットはオンライン予約(eticket.railway.gov.bd)が主流ですが、発売直後に売り切れます。長距離バス(グリーンラインやショーハグなど)は豪華な3列シート車もありますが、バングラデシュの道路事情は劣悪で、無謀な追い越しによる重大事故が多発しています。特に夜間バスの利用は、事故と強盗の両方のリスクから避けるべきです。
レンタカー・配車サービス
バングラデシュでレンタカーを借りて自ら運転することは、交通マナーの悪さとカオスな道路状況から「自殺行為」と言えます。旅行者は運転手付きのチャーター(レンタカー)を利用するのが一般的です。ダッカやチッタゴン市内では、配車アプリの「Uber」や、地元の「Pathao」が非常に便利で、料金交渉不要、GPSによる追跡、明朗会計のため安全性が最も高いです。Uberはエアコン付の車を選べ、 Pathaoはバイク便が中心ですが渋滞回避に有効です(ただし事故リスク増)。CNG(三輪タクシー)はメーター制ですが、外国人には交渉を求めてくることが多いため、Uberの利用を優先してください。
交通リスク評価
バングラデシュにおける最大の交通リスクは、道路上の重大事故と政治的ストライキ(ハルタル)による封鎖です。年間8,500人以上が交通事故で死亡しており、バスの事故率は極めて高いです。ハルタル発生時は車両への放火リスクがあるため、すべての陸路移動が止まります。安全性を最優先するなら、都市間は空路、市内はUber、主要幹線はMRTを利用し、可能な限りバスと夜間移動を避けるべきです。
都市別交通ガイド
Dhaka
地下鉄: MRT Line 6が開通し、ウッタラからモティジールまでを最速かつ清潔に結んでいます。女性専用車両もあり、極めて安全です。
バス: 極端に混雑し、土地勘がないと利用は不可能です。スリや痴漢が多発するため推奨しません。
タクシー: Uberが第一選択肢。CNGは渋滞時に排ガスに晒されますが、小回りが効きます。
徒歩・自転車: 歩道が整備されておらず、穴やゴミも多いため、徒歩移動は最小限に。夜間の徒歩は厳禁。
費用目安: Uber(市内中距離): 400-700 BDT、MRT: 20-100 BDT
大使館・長期滞在情報
在外公館ネットワーク
在バングラデシュ日本国大使館
Embassy - Dhaka
住所: Plot No. 5 & 7, Dutabash Road, Baridhara, Dhaka 1212
電話: +880-2-2222-60010
管轄: 全土
緊急対応: 24時間受付(夜間・休日は外部委託の緊急窓口へ転送)
領事サービス
在留届の提出により、現地の安全情報を領事メールで受け取れます。パスポートの紛失・盗難時の「帰国のための渡航書」発行、戸籍・国籍事務、署名証明などを行っています。重大な事件・事故に巻き込まれた際の援護も行いますが、金銭的援助や法的手続きの代行、病院の支払い保証などはできません。必ず自身の海外旅行保険を充実させておいてください。窓口は日〜木の午前中に集中しているため、事前予約や確認がスムーズです。
長期滞在ビザ
就労目的の場合、BIDA(投資開発庁)の発行する推薦状に基づき就労ビザ(E/FE)が必要です。手続きは煩雑で、現地企業やスポンサーの強力なサポートが不可欠。到着後の延長(オンアライバルからの切り替え)も可能ですが、入国管理局(DIP)は非常に混雑し、賄賂要求などの報告もあります。専門の代理店を通じて手続きするのが一般的。滞在が1ヶ月を超える場合は、現地での外国人登録(警察署への届出)が必要になる場合があります。
リモートワーク・デジタルノマド
バングラデシュには現在「デジタルノマドビザ」はありません。観光ビザ(T)での滞在は30日〜90日程度。インターネット環境はダッカなどの都市部では改善されていますが、政治的理由によるネット遮断リスクや、深刻な停電が業務の障壁となります。物価は安いですが、生活の利便性と安全性、電力の安定性を考慮すると、ノマド拠点としての難易度は極めて高いです。滞在する場合は、発電設備と高速回線を持つ高級サービスアパートメントの利用を推奨します。
ビジネスビザ
ビジネスビザ(B)はオンアライバル(空港到着時)でも取得可能ですが、現地企業からの招待状とホテル予約確認書、51米ドルの手数料が必要です。日本国籍者の場合、比較的スムーズですが、本来は日本国内の大使館での事前取得が推奨されます。有効期間は通常1〜3ヶ月。大規模プロジェクトに関わる場合は数年のマルチビザも可能ですが、現地の税務登録(TIN)や銀行口座の開設、現地雇用などとの兼ね合いで複雑な要件が課されることがあります。
推奨防犯装備
マネーベルト・隠しポーチ
必須防犯グッズ
ダッカなどの都市部ではひったくりや強盗が急増しています。パスポートと高額紙幣は衣服の下に隠せる薄型のマネーベルトで管理してください。
大容量モバイルバッテリー
必須通信機器
計画停電(ロードシェディング)が頻発し、デモ発生時にはスマホの充電切れが命取りになります。最低2回はフル充電できる容量を推奨します。
ストロー型浄水器
推奨衛生用品
水道水は飲用不可です。洪水などの災害時にはボトル水の供給が止まることもあるため、サバイバル用の携帯浄水器があると安心です。
サルワール・カミーズ(現地服)
推奨衣類
特に女性は、現地の伝統衣装を着用することで不要な注目を避け、宗教的・文化的な敬意を示すことができ、安全性が高まります。
高機能防塵マスク(N95推奨)
必須衛生用品
ダッカの排ガスと粉塵、大気汚染は世界最悪レベルです。また、感染症予防やデモ時の催涙ガスの影響を軽減するためにも必須です。
強力な虫除けスプレー(ディート高濃度)
必須衛生用品
デング熱が過去最悪の流行を見せています。現地の蚊は強力なため、日本製の高濃度ディート配合スプレーを持参してください。
GPSトラッカー(AirTag等)
推奨通信機器
預け入れ荷物の紛失が多発するほか、誘拐や行方不明リスクに備え、バッグや貴重品、あるいは家族に位置情報を共有するために有効です。
ドアストッパー(警報機付き)
推奨防犯グッズ
中級以下のホテルでは部屋の鍵の信頼性が低いため、内側から物理的に固定でき、異常を知らせる警報機付きのストッパーが推奨されます。
旅行者タイプ別ガイド
女性旅行者向けガイド
バングラデシュでの女性の一人歩きは、現在の治安情勢と宗教的保守性から「非常に高いリスク」を伴います。まず、服装は「サルワール・カミーズ」という現地の伝統衣装を着用するのが最も安全です。これは肌の露出を完全に防ぎ、現地への敬意を示すことで、不必要な注目やハラスメント(イブ・ティージング)を大幅に減らす効果があります。移動は必ずUberなどの配車アプリを利用し、路上の流しのリキシャやバスは痴漢や強盗の温床となるため避けてください。ダッカ・メトロには女性専用車両があるため、有効に活用しましょう。また、男性から執拗に話しかけられたり写真を求められたりすることがありますが、きっぱりと断る(または無視する)勇気が必要です。夕暮れ以降の外出は、高級ホテルの敷地内を除き厳禁。生理用品などの衛生用品はダッカのスーパー(Unimart等)で入手可能ですが、地方へ行く際は必ず持参してください。緊急時に備え、信頼できる日本人の知り合いや大使館の番号を即座にかけられるようにしておくことが不可欠です。
LGBTQ+旅行者向けガイド
バングラデシュはイスラム法の影響が強く、刑法第377条により「自然の秩序に反する性交」が犯罪とされており、同性愛は法的に罰せられる可能性があります。近年、トランスジェンダー(現地ではヒジュラと呼ばれる)の権利は一部認められる動きがありますが、LGBTQ+全般に対する社会的偏見は極めて根深く、保守的な宗教団体による攻撃の対象になることもあります。旅行者は「Public Display of Affection (PDA: 公共の場での親密な行為)」を、異性愛・同性愛を問わず絶対に避けるべきです。同性同士でホテルのダブルルームを予約することは通常可能ですが、友人同士として振る舞い、性自認や性的指向について公に語ることは避けてください。SNSでの発信も監視されている可能性があり、政治的・宗教的に敏感なトピックとしてトラブルに発展する恐れがあります。完全にクローゼットな状態(隠した状態)での滞在が、自身の安全を守る唯一の手段であることを強く認識してください。
家族・シニア旅行者向けガイド
バングラデシュは大家族文化で子供を非常に可愛がるため、家族連れには親切に接してくれることが多いです。しかし、旅行インフラとしては非常に未熟で、高齢者や子供連れには過酷な環境です。第一の障壁は「衛生状態」で、免疫力の弱い子供や高齢者は水系感染症や食中毒に細心の注意が必要です。食事は必ず信頼できるホテルのレストランを利用してください。第二の障壁は「移動」です。ダッカの歩道はガタガタで、ベビーカーの使用は不可能です。車椅子でのアクセスも高級ホテルを除きほぼ皆無。移動はすべて運転手付きの専用車を手配し、長時間の渋滞に備えてポータブルトイレや予備の食料・薬を常備してください。高齢者の場合、大気汚染による呼吸器への負担や、極度の熱波による熱中症のリスクが極めて高いため、3月〜5月と雨季の渡航は避けるべきです。ダッカにはEvercareやUnited Hospitalといった近代的な私立病院があり、万が一の際は英語での受診が可能ですが、高額な医療費がかかるため、家族全員分をカバーする無制限の海外旅行保険への加入が前提となります。総じて、観光目的での家族・高齢者旅行は、相当な準備とコストをかけて「安全を完全に買う」覚悟がない限り、現時点では推奨されません。
安全に関するよくある質問
夜間に一人で歩いても大丈夫ですか? ▼
いいえ、絶対にお勧めしません。ダッカ等の都市部でも街灯が少なく、ひったくりや強盗のリスクが非常に高いです。移動は必ずUberなどの配車アプリを利用し、ドアからドアへの移動に徹してください。
テロのリスクはどの程度ありますか? ▼
2016年のテロ以降、当局の取り締まりは強化されていますが、イスラム過激派の潜在的な脅威は続いています。外国人が集まるレストランや宗教施設、政府機関の周辺では常に警戒が必要です。
デモ(ハルタル)が起きたらどうすればいいですか? ▼
ハルタル中は交通が遮断され、車両への攻撃が発生します。予定をすべてキャンセルし、ホテルなどの安全な場所から出ないでください。空港へ行く予定がある場合は、ハルタル開始前に移動する必要があります。
貴重品の管理はどうすべきですか? ▼
パスポートと予備の現金はマネーベルトで身に着け、スマホは路上で使用しないようにしてください。バッグは道路側を避け、斜めがけにしてその上から上着を羽織るなどの対策が有効です。
女性一人での旅行は可能ですか? ▼
非常に難易度が高いです。セクハラ(イブ・ティージング)や深刻な性犯罪の報告が増えており、単独行動はリスクを伴います。可能な限りグループで行動し、信頼できるガイドを雇うことを強く推奨します。
警察は信頼できますか? ▼
残念ながら腐敗の指摘が多く、通報しても賄賂を要求されるケースがあります。トラブル時は警察だけでなく、必ず日本大使館にも連絡を入れてください。外国人警察(Tourist Police)の方が比較的親切です。
地方へ行くのは危険ですか? ▼
チッタゴン丘陵地帯(CHT)はレベル3(不要不急の渡航中止)で、武装組織の衝突があり非常に危険です。それ以外の地方(シレット等)は比較的穏やかですが、洪水や交通の不便さに注意が必要です。
洪水が起きた時の対応は? ▼
道路が冠水すると、開いたマンホールや感電のリスクがあります。水の中を歩くのは絶対に避け、高台やビル内に留まってください。地方では物流が止まり、食料や水が不足する恐れがあります。
空港での強盗が増えていると聞きましたが? ▼
はい。深夜・早朝の到着便で空港から移動する際、偽タクシーやバイクに囲まれ強奪される事件が報告されています。ホテルのお迎えサービスか、明るい時間帯の移動を計画してください。
毒蛇(ラッセルクサリヘビ)に噛まれたら? ▼
直ちに患部を固定し、動かさずに『抗蛇毒血清』のある大規模国立病院へ向かってください。2024年から個体数が激増しており、茂みや夜間の未舗装路の歩行は厳禁です。
実用的なよくある質問
日本人はオンアライバルビザを取得できますか? ▼
はい、観光・ビジネス目的で30日間までの滞在なら、主要空港で51ドル程度の手数料で取得可能です。ホテルの予約確認書と帰国航空券、招待状(ビジネス時)を準備してください。
通貨は何を持っていくのが良いですか? ▼
米ドル(新札)が最も使いやすく、どこでも両替可能です。日本円からの直接両替はダッカ空港などで可能ですが、レートが悪かったり対応していなかったりすることがあるため、米ドル持参を推奨します。
水道水は歯磨きに使えますか? ▼
お勧めしません。地域によっては細菌やヒ素の混入リスクがあるため、歯磨きやうがいもボトル入りのミネラルウォーターを使用するのが安全です。
停電(ロードシェディング)はどのくらいありますか? ▼
地域によりますが、1日3〜4回、1回1時間程度の計画停電が頻繁に起こります。高級ホテルは自家発電機(ジェネレーター)を完備していますが、安宿では暑さと暗闇に耐える必要があります。
インターネットはどこでも繋がりますか? ▼
都市部では4G/5Gが繋がります。しかし、地方や移動中の道路上では不安定です。また、デモ時に政府がSNSを遮断することが多いため、情報の生命線であるネットの脆弱性を理解しておいてください。
チップの相場を教えてください。 ▼
レストランでは食事代の5〜10%、ホテルの荷物運びには50〜100タカ、ガイドには1日500〜1000タカ程度。過剰に渡すと後の旅行者の相場を上げることになるので注意してください。
コンセントの形状は? ▼
主に丸ピン2本のC型、3本のD型、G型が混在しています。マルチ変換プラグを持参してください。電圧は220Vなので、日本国内専用機器(100V)には変圧器が必要です。
アルコールは買えますか? ▼
イスラム教国のため一般的ではありません。高級ホテルのバーや、外国人専用の『ウェアハウス』で入手可能ですが、非常に高価です。持ち込みは1〜2リットルまでに制限されています。
リキシャの料金交渉のコツは? ▼
乗る前に必ず目的地を伝え、金額を確定させてください。現地の相場の2〜3倍を言われることが普通ですので、まずはその半分程度を提示して交渉します。交渉が面倒な場合はUberを使ってください。
ベストシーズンはいつですか? ▼
11月から2月の冬期です。湿度が低く、気温も20度前後と過ごしやすく、移動の障壁となる洪水やサイクロンのリスクも低いため、観光に最も適しています。
バングラデシュの治安に関するよくある質問
バングラデシュの治安は良い?悪い? ▼
2026年現在のバングラデシュの治安は、極めて不安定で悪いと言わざるを得ません。2024年の政変以降、警察の治安維持能力が完全に回復しておらず、一般犯罪が急増しています。特に2026年2月の総選挙に向けた政治的対立から、全土でデモや衝突が頻発しており、渡航には最大限の警戒が必要です。
バングラデシュで危険な地域はどこ? ▼
チッタゴン丘陵地帯(CHT)とコックスバザール周辺の難民キャンプは、武装勢力の活動や武力衝突が絶えないため極めて危険です。また、ダッカなどの主要都市でも政治集会が開かれる場所は暴動に発展しやすく、不用意に近づくことは命の危険を伴います。
バングラデシュ旅行はやばい?本当に行って大丈夫? ▼
現在の情勢下での安易な旅行は「やばい」状況と言えます。2026年初頭は選挙活動が本格化し、大規模なストライキ(ハルタル)や公共交通機関の遮断が予想されます。ビジネス等でやむを得ず渡航する場合も、信頼できる現地警備の確保や情報収集が不可欠で、観光目的の渡航は推奨されません。
バングラデシュは女性一人でも怖くない? ▼
女性の一人旅は非常に怖く、リスクが高い環境です。痴漢や執拗な付きまといなどの性犯罪被害に加え、最近では警察の目が行き届かない場所での強盗も報告されています。現地の文化や治安状況を熟知していない場合、犯罪のターゲットにされる可能性が極めて高いため、単独行動は絶対に避けてください。
バングラデシュでスリに遭わないための対策は? ▼
公共バスやリキシャ、混雑した市場などはスリの温床です。スマートフォンを歩きながら操作しない、バッグは体の前で保持する、多額の現金を持ち歩かないといった徹底した対策が必要です。特に渋滞中の車窓から荷物を奪われる「窓越しひったくり」にも警戒してください。
バングラデシュで多い詐欺の手口は? ▼
偽ガイドやタクシー運転手による過剰請求、親切を装って睡眠薬入りの飲み物を勧める睡眠薬強盗、両替時の抜き取り詐欺などが頻発しています。また、公的機関の職員を装って罰金を要求する詐欺も報告されているため、疑わしい場合は毅然とした態度で身分証を求めてください。
バングラデシュで日本人が巻き込まれやすい犯罪は? ▼
日本人は裕福と見なされやすく、ひったくりや強盗、置き引きの標的になりやすいです。特に夜間の移動中にバイクに乗った複数犯に刃物や銃で脅される事件も発生しています。政治的混乱時には「民衆による私刑」に巻き込まれる恐れもあるため、群衆には絶対に近づかないでください。
バングラデシュ旅行で注意すべきことは? ▼
最大の注意点は政治情勢です。「ハルタル(ゼネスト)」が宣言されると、商店が閉まり交通が麻痺するだけでなく、移動中の車両が投石や放火の対象になります。渡航前には外務省の「たびレジ」に登録し、リアルタイムでデモ発生情報を取得できる体制を整えてください。
バングラデシュで起こりやすいトラブルは? ▼
デモによる交通封鎖やインターネットの遮断、空港へのアクセス断絶などのトラブルが日常的に起こります。また、既製服(RMG)工場周辺での労働争議に端を発した暴動に巻き込まれ、宿泊施設から出られなくなるケースもあります。常に予備の日程と資金を確保しておくことが重要です。
バングラデシュで被害に遭ったらどうする? ▼
まずは自身の安全を確保し、在バングラデシュ日本国大使館へ連絡してください。警察(緊急ダイヤル999)への通報も必要ですが、現在は警察機能が不安定なため迅速な対応が期待できない場合もあります。盗難被害時は帰国後の保険請求のため、必ず現地警察でポリスレポートを入手してください。
バングラデシュの治安詳細
バングラデシュの治安概要
バングラデシュの治安は2024年8月の政権崩壊以降、極めて流動的で不安定な状態が続いています。暫定政権による国家再建が進められていますが、警察組織の弱体化に乗じた凶悪犯罪や、旧政権支持派と新勢力による衝突が絶えません。2026年2月に予定されている総選挙に向けて政治的緊張は最高潮に達しており、全土で大規模なデモや暴動のリスクが常態化しています。特に経済不安を背景とした「モブ・ジャスティス(集団私刑)」や略奪が発生しやすい環境にあり、外国人も含めたソフトターゲットが犯罪に巻き込まれる可能性が高まっています。渡航を検討する際は、観光目的を避け、現地情報の詳細な把握と高度な安全対策を講じることが必須となります。
バングラデシュは危険?やばい?
バングラデシュは現在、非常に「危険」であり「やばい」状況にあります。TGスコアは32と低迷しており、警察の介入が不十分な地域では法秩序が保たれていません。2026年初頭からは選挙に向けた政治工作が激化し、全土が「ハルタル(ストライキ)」による混乱に陥ることが予想されます。この時期の移動は命に関わるリスクを伴います。また、物価高騰と高い失業率による社会的不満が爆発しやすく、外国人に対しても攻撃的な略奪が行われる懸念があります。特に夜間の外出や地方への陸路移動は、武装グループによる強盗の標的となりやすいため、絶対に避けるべき段階にあります。安易な気持ちで渡航できる国ではありません。
バングラデシュは怖い?一人旅でも大丈夫?
「怖い」と感じるのは正当な感覚であり、特に女性や一人旅の方には渡航を推奨しません。バングラデシュは保守的なイスラム教国であり、女性の単独行動は目立ちやすく、ハラスメントや性犯罪のリスクが平時でも存在します。現在の治安悪化局面では、警察による保護が期待できないため、トラブル発生時の回避が困難です。さらに、政治的なモブ(暴徒)は外国人を見分けることなく攻撃の対象にすることがあり、一度混乱に巻き込まれれば脱出は非常に困難です。言葉の通じない環境での一人旅は、身代金目的の誘拐や組織的な強盗のターゲットになる可能性を否定できず、命の危険を直視する必要があります。
スリ・詐欺・犯罪の実態
実際の犯罪状況として、スリやひったくりなどの窃盗はダッカ市内のあらゆる場所で発生しています。特にリキシャやCNG(三輪タクシー)に乗車中、隙を突いてバッグやスマホを奪う手口が巧妙化しています。詐欺については、空港や駅で親切に声をかけ、高額なホテルや偽の航空券を買わせる古典的なものから、ネット銀行を通じた巧妙なフィッシングまで多岐にわたります。最近では、既製服工場の労働争議に紛れた放火や略奪、さらには銃火器を用いた組織的な強盗団の活動も活発化しています。外国人居住区であっても、深夜の侵入強盗や車を狙った強奪事件が報告されており、スリや詐欺といった軽犯罪の枠を超えた凶悪な犯罪が日常化しているのが実態です。
地域別の危険度
地域別の危険度は極めて高い水準にあります。ダッカ首都圏はレベル2ですが、政治の中心地としてデモや爆動のリスクが最も高く、夜間の強盗が頻発しています。チッタゴン丘陵地帯(CHT)はレベル4(退避勧告)で、反政府武装勢力KNFと軍の衝突が続いており、誘拐や地雷のリスクがあるため立ち入り禁止です。コックスバザール難民キャンプ周辺もレベル4で、夜間は武装グループが支配する無法地帯と化しており、人道支援関係者以外が近づくのは死活的な危険を伴います。チッタゴン市街地や港湾部(レベル2)では薬物犯罪や労働争議が激しく、シレット(レベル2)などの地方都市も洪水と政治的混乱の影響を強く受けています。全土において「安全な場所はない」という認識が必要です。
バングラデシュ旅行で注意すべきポイント
旅行者が最も注意すべきは、政治集会やデモ隊への接近です。2026年の選挙イヤーは、予告なしに道路が封鎖され、暴徒化した群衆が車両に火を放つ光景が珍しくありません。また「ハルタル」と呼ばれるストライキが宣言された際は、全ての外出を控える必要があります。さらに、インフラの脆弱性にも注意が必要で、停電やインターネット遮断が政府の治安維持名目で行われることがあります。食事や水についても衛生状態が悪化しており、食中毒による健康トラブルは治安リスクと同様に深刻です。移動には必ず信頼できるホテルの送迎車を利用し、見知らぬ人物から提供される飲み物や食べ物は絶対に口にしないでください。
よくあるトラブル事例
実際のトラブル事例として、ダッカ市内の渋滞中にバイクに乗った男たちが車の窓を割り、乗客のノートパソコンと現金を強奪した事件が発生しています。また、地方都市へ向かう長距離バスが政治デモのバリケードに阻まれ、乗客全員が路上で数日間足止めされた末、所持品を略奪されたケースもあります。観光客がSNS用の動画を撮影していたところ、スパイ容疑や宗教的冒涜を疑われ、興奮した群衆に取り囲まれて暴行を受けるという「モブ・ジャスティス」の被害も報告されています。さらに、コックスバザール周辺で武装勢力同士の銃撃戦に遭遇し、逃げ場を失い負傷した事例もあり、状況は極めて深刻です。
被害に遭った場合の対応
被害に遭った場合は、まず身の安全を最優先にし、抵抗せず犯人の要求に従ってください。事態が収束した後、速やかに在バングラデシュ日本国大使館(ダッカ)に連絡し、支援を求めてください。警察への通報は必須ですが、言語の壁や腐敗、機能不全により対応が遅れることが多いため、大使館の助言を受けるのが賢明です。負傷した場合は、ダッカ市内のアポロ病院やユナイテッド病院など、外国人が利用可能な私立総合病院へ向かってください。ただし、高額な医療費がかかるため、十分な補償額の海外旅行保険への加入と、英文の加入証明書の携行は必須です。パスポートを紛失した際の手続きも、情勢次第で通常より時間がかかることを覚悟する必要があります。