チャド / Chad

渡航安全レポート

最終更新: 2026年1月18日
12
安全スコア
E-
身体的安全
E
医療・衛生
D-
詐欺・スリ
E
テロリスク

総合評価

チャドは世界で最も治安が不安定な国の一つであり、内戦の影響、テロ、凶悪犯罪、そして極めて脆弱なインフラにより、渡航者にとって生命の危険が常に伴う危機的状況にあります。

身体的安全 (E-)

全土で強盗、車両強奪、誘拐が多発しており、特に国境付近では武装勢力による越境攻撃や戦闘が日常化しています。外国人は高額な身代金目的の標的となるリスクが極めて高い状況です。

医療・衛生 (E)

医療体制は崩壊状態にあり、首都の主要病院ですら薬品や機材が不足しています。重症の場合は国外への緊急移送が必要ですが、その手配すら困難な場合が多く、致命的なリスクとなります。

詐欺・スリ (D-)

偽警官や軍人による不当な身分証確認を装った賄賂要求や、検問での金銭強奪が常態化しています。一般的な詐欺よりも権力を背景にした強圧的な金銭要求が大きな脅威となっています。

テロリスク (E)

チャド湖周辺ではボコ・ハラムやISWAPが活動しており、軍施設や公共の場への自爆テロや襲撃が頻発しています。政治情勢の悪化に伴い、首都圏でもテロの潜在的脅威が非常に高まっています。

最新インテリジェンスレポート

2026年現在、チャドの治安情勢は、政権の強権化と周辺国の紛争波及により、建国以来最悪の部類に入るほど悪化しています。マハマト・デビ大統領による軍事的統治への反発から、首都ンジャメナを含む主要都市で反政府デモとそれに対する過激な武力鎮圧が繰り返されています。また、スーダン内戦の余波により東部国境は無法地帯化し、西部のチャド湖周辺ではテロ組織が勢力を拡大しています。外国人の安全を保障する機能は国家レベルで喪失しており、あらゆる目的の渡航に際して生命の危険が伴います。

背景分析

チャドの不安定さは、長年のデビ家による独裁統治、石油資源の利権独占、そして周辺紛争の流入という三つの構造的問題に起因しています。2024年の不透明な大統領選挙を経て発足した現政権は、野党勢力を武力で排除し、憲法改正によって権力の永久保持を狙っています。この政治的閉塞感に加え、国家収入の大部分を占める石油収益が軍事費や一部の特権階級に流用され、国民の4割以上が極貧層に置かれている現状が、若年層の不満を武装勢力への加入や凶悪犯罪へと向かわせています。さらに、スーダンからの難民流入がリソースを圧迫し、地域社会の対立を激化させています。

重要ポイント

  • 外務省のレベル4(退避勧告)地域は、いかなる理由があっても絶対に入らないでください。
  • 首都ンジャメナであっても、夜間の移動は徒歩・車を問わず極めて危険であり推奨されません。
  • 警察や軍の制服を着た者による「公的な強奪」が多発しており、安易に信頼しないでください。
  • 写真撮影に関しては軍事機密保護の名目で極めて厳格であり、不注意な撮影は即逮捕に繋がります。
  • 通信環境は極めて悪く、政府によってSNSやインターネットが予告なく遮断されることがあります。
  • 緊急時の医療移送には数千万円単位の費用がかかるため、特殊な海外旅行保険が必須です。
  • カージャックが頻発しているため、車移動の際はロックを徹底し、停車は最小限に留めてください。
  • 反政府デモに遭遇した場合は、治安部隊による実弾射撃が行われる可能性があるため、即座に離脱してください。
  • 現地の警察への通報は機能しておらず、賄賂の要求や二次被害に遭う可能性が高いのが現実です。
  • 日本人大使館はチャド内に存在せず、カメルーンからの兼轄となるため支援には大幅な時間を要します。

各国政府の渡航情報

情報源 警戒レベル
日本外務省 レベル4(退避勧告)およびレベル3(渡航中止勧告)
米国国務省 Level 3: Reconsider Travel
英国外務省 Advice against all travel
カナダ政府 Avoid all travel
ドイツ連邦外務省 Reisewarnung
フランス外務省 Rouge (Vigilance Formelle)

地域別リスク評価

ラク州(チャド湖周辺)

極めて危険リスク

ボコ・ハラムやISWAPが支配力を持ち、軍事拠点への攻撃や外国人の殺害、誘拐が日常的に発生しています。

スーダン国境地域(東部)

極めて危険リスク

スーダン内戦の戦闘が越境し、準軍事組織(RSF)による略奪や難民キャンプへの襲撃が相次いでいます。

リビア国境地域(北部)

極めて危険リスク

反政府勢力「FACT」の拠点があり、金鉱山を巡る部族間抗争と武装グループの活動が激化しています。

ンジャメナ首都圏

渡航中止勧告リスク

政治的混乱に伴う爆発事件や銃撃戦が発生しており、白昼の路上強盗やカージャックが急増しています。

ティベスティ州(ボルク・エンネディ含む)

極めて危険リスク

砂漠地帯の広大な無法地帯であり、武装勢力や犯罪ネットワークが支配。政府の統治は及んでいません。

タンジレ州・ロゴン州(南部)

渡航中止勧告リスク

農牧民間の激しい衝突が多発しており、外国人をターゲットにした誘拐事件も報告されています。

アベシェ市街地

渡航中止勧告リスク

難民支援の拠点ですが、治安の悪化が著しく、支援団体職員を狙った強盗や住居侵入が頻発しています。

カメルーン・ニジェール国境

極めて危険リスク

武器や麻薬の密輸ルートとなっており、武装集団による車両の待ち伏せ攻撃が多発しています。

国内安全マップ

チャド全土の治安は「破綻」に近い状態にあります。安全な場所(グリーンゾーン)は存在せず、政府の統治が及ぶンジャメナの一部であっても、突発的な戦闘やテロを避けることは不可能です。国境付近の紛争地帯への接近は死に直結する行為であり、内陸部での移動も武装警備が不可欠です。インフラが脆弱なため、一度事件に巻き込まれると救助や脱出は極めて困難になります。

危険エリア
注意エリア
安全エリア
注意 ンジャメナ首都圏

首都でありながら、爆弾テロや政治的銃撃戦のリスクが消えません。白昼の強盗も深刻化しており、厳重な警戒が必要です。

リスク: カージャック, 政治的デモ, テロ警戒

危険 チャド湖周辺(ラク州)

ボコ・ハラムの活動拠点。軍事衝突が絶えず、外国人の殺害・誘拐のリスクが最大レベルに達しています。

リスク: テロ攻撃, 武装誘拐, 軍事戦闘

危険 アベシェ(東部拠点)

スーダン難民問題の最前線。武装勢力の流入により治安が崩壊しており、人道支援関係者への襲撃が相次いでいます。

リスク: 武装強盗, 越境攻撃, 住居侵入

危険 ティベスティ山脈北部

リビア国境に近い無法地帯。反政府武装勢力が実効支配しており、中央政府の統治が及んでいません。

リスク: 武装勢力遭遇, 地雷, 強制拘束

注意 ムンドゥ(経済都市)

南部の重要都市ですが、農牧民の衝突や政治的緊張から、デモや暴力沙汰が散発しています。

リスク: 部族間衝突, 政治暴動, 路上犯罪

危険 アドレ(スーダン国境)

スーダン内戦の影響を直接受ける地域。RSFによる略奪や砲撃の被害が報告されている極めて危険なゾーンです。

リスク: 戦火巻き込み, 武装略奪, 難民トラブル

注意 ザクマ国立公園

かつての観光地ですが、現在は密猟者や武装集団が徘徊しており、移動経路を含め安全は確保されていません。

リスク: 密猟団遭遇, 武装強盗, 孤立リスク

注意 ドバ(石油産業拠点)

外資系企業が活動していますが、施設周辺以外は強盗リスクが高く、外国人への反感も一部で見られます。

リスク: 誘拐ターゲット, 不当拘束, 設備破壊

危険 ファヤ・ラルジョー

軍事的重要拠点ですが、反政府勢力の攻撃対象になりやすく、補給路の寸断やテロの危険が常にあります。

リスク: ロケット攻撃, 砂漠での遭難, 軍事検問

危険 カメルーン国境(南西部)

物資の輸送ルートですが、カージャックや追い剥ぎが日常化しており、護衛なしの通行は不可能です。

リスク: カージャック, 通行税要求, 車両襲撃

犯罪・治安情報

犯罪統計

凶悪犯罪

リスク: 5/5

多発エリア: ンジャメナ市街地, 地方の幹線道路, 政府施設周辺

手口:

  • 自動小銃を使用した無差別射撃
  • バイクによる接近・襲撃
  • 政治集会での爆発物使用

対策:

  • 移動は防弾車両の使用を推奨
  • デモや集会には絶対に近づかない
  • 窓から離れた部屋に滞在する

2024年以降、政治的対立に関連した暴力事件が前年比40%増加しています。

強盗

リスク: 5/5

多発エリア: 信号待ちの交差点, 高級レストラン駐車場, 空港周辺の道路

手口:

  • 車両の前後を塞ぐカージャック
  • 銃器による威嚇と全財産強奪
  • 偽の検問所での強制停車

対策:

  • 移動中はドアを必ずロックする
  • 夜間の走行は絶対に避ける
  • 抵抗せず要求されたものを渡す

首都ンジャメナでの車両強奪事件は白昼であっても日常化しています。

kidnapping

リスク: 5/5

多発エリア: 地方の医療施設, 人里離れた幹線道路, キャンプ地

手口:

  • 武装集団による建物襲撃
  • 移動中の車両待ち伏せ
  • 身代金目的の長期間拘束

対策:

  • 移動ルートを毎日変更する
  • 武装警備員の同行を検討する
  • 自身の位置情報を秘密にする

身代金目的の誘拐は南部を中心に年間数十件が公式に記録されています。

スリ・窃盗

リスク: 4/5

多発エリア: グランド・マルシェ, バス乗り場, ホテルロビー

手口:

  • 複数人による注意逸らし
  • 刃物によるバッグの切り裂き
  • 混雑を利用したひったくり

対策:

  • 貴重品は目立たないように持つ
  • 多額の現金を持ち歩かない
  • 常に周囲の警戒を怠らない

市場周辺での窃盗被害は報告されていないものを含めると膨大な数に上ります。

詐欺

リスク: 4/5

多発エリア: 道路上の検問所, 政府庁舎入り口, 空港入国審査

手口:

  • 偽の書類不備を口実とした罰金要求
  • 写真撮影禁止区域での「解決金」要求
  • 公務員による不当な手数料請求

対策:

  • 正規の領収書を要求する姿勢を見せる
  • 大使館の連絡先を提示する
  • 賄賂の支払いは慎重に判断する

公的機関による汚職と金銭要求は事実上の制度化された詐欺と言えます。

traffic_accident

リスク: 5/5

多発エリア: RN1号線, ンジャメナ市内主要路, 未舗装の地方道

手口:

  • 整備不良車による衝突
  • 家畜の飛び出しによる事故
  • 無謀な追い越しと正面衝突

対策:

  • 自身での運転は避け、プロを雇う
  • 夜間の走行は街灯がないため厳禁
  • 事故時は群衆から離れ警察へ向かう

道路インフラの未整備とマナー欠如により、致死的な事故が頻発しています。

健康・医療情報

ワクチン情報

チャドへの入国には黄熱予防接種証明書(イエローカード)の提示が法的に義務付けられており、これがないと入国できません。また、チャドは「髄膜炎ベルト」の直下に位置しており、特に12月から6月の乾季には大規模な流行が発生するため、髄膜炎菌ワクチンの接種が極めて重要です。その他、ポリオの発生報告も続いており、経口感染リスクの高いA型肝炎や傷寒、致命的な狂犬病への対策として、渡航の数ヶ月前には計画的な接種スケジュールを立てる必要があります。地方部では医療機関自体が皆無であるため、予防が唯一の防衛策となります。

ワクチン 必須/推奨 備考
黄熱病 必須 生後9ヶ月以上のすべての渡航者に入国時のイエローカード提示が義務付けられています。
髄膜炎菌 推奨 チャドは髄膜炎ベルトに位置し、12月〜6月の乾季に流行するため強く推奨されます。
ポリオ 推奨 野生型ポリオの発生リスクがあるため、成人でも追加接種が推奨されます。
A型肝炎・B型肝炎 推奨 経口感染や血液感染のリスクに備え、長期滞在者は接種が望ましいです。
破傷風 推奨 怪我による感染を防ぐため、最終接種から時間が経過している場合は追加接種を推奨します。
狂犬病 推奨 野犬が多く、ワクチンや血清の入手が極めて困難なため、地方へ行く場合は必須級です。
傷寒(タイフォイド) 推奨 不衛生な飲食物による感染リスクを低減するために推奨されます。

健康リスク

最大のリスクはマラリアで、全土において通年で感染の危険があり、ほぼ100%が重症化しやすい熱帯熱型です。防虫剤の使用と予防薬の服用が強く推奨されます。また、コレラや傷寒といった水系感染症も、特に雨季や難民キャンプ周辺で頻発しており、飲食物の衛生管理には細心の注意が必要です。デング熱も都市部で報告されています。近年は気候変動に伴う大規模な洪水が発生し、その後にはコレラ等の感染症が急増する傾向があります。狂犬病については、野犬やコウモリに噛まれた場合、首都の主要病院であっても適切な血清が在庫切れであるケースが多く、感染は死に直結するリスクを伴います。

医療施設

医療水準は世界最底辺レベルであり、首都ンジャメナにある「ルネサンス病院」でさえ、機材のメンテナンス不足や薬品の欠乏が常態化しています。地方では簡易的な診療所すら不足しており、適切な外科手術や集中治療を受けることは不可能です。日本語での対応は一切期待できず、主要言語はフランス語となります。緊急時にはチャド国内での治療を諦め、フランスや近隣の南アフリカへ移送される必要がありますが、これには数千万円単位の費用がかかります。したがって、十分な補償額かつ「医療搬送費用」を無制限にカバーする海外旅行保険への加入が、滞在の最低条件となります。

入国・ビザ情報

ビザ要件: 日本のパスポート保持者は、渡航前に必ず査証(ビザ)を取得する必要があります。日本国内にチャド大使館が存在しないため、通常は在中国チャド大使館(北京)に郵送または代理店を通じて申請することになります。観光ビザの発給は治安情勢により厳しく制限されることがあり、申請時には詳細な日程表や招待状が求められます。また、入国後48時間以内に現地の出入国管理局(Immigration)に出向き、外国人登録を行う義務があります。この登録を怠ると、出国の際に高額な罰金を科されたり、身拘束を受けたりする重大なトラブルに発展する可能性があります。

パスポート有効期限

入国時に6ヶ月以上の残存有効期間が必要です。また、ビザ貼付用および入国・外国人登録スタンプ用に、連続した見開き2ページ以上の余白があることが推奨されます。残存期間が不足している場合は、経由地の空港で搭乗を拒否されるケースもあります。

持ち込み禁止・制限品

麻薬、武器、ポルノ製品の持ち込みは厳格に禁止されています。特筆すべきは、ンジャメナ市内でのプラスチック袋の使用・持ち込み禁止規制で、環境保護の名目で抜き打ち検査が行われることがあります。また、木炭の持ち出しも禁止されています。医薬品を多量に持ち込む際は、必ず仏文または英文の処方箋を携行してください。それがない場合、薬物を疑われ拘束されるリスクがあります。

緊急連絡先

117
警察
+235 225 17728
救急
18
消防

時間帯別安全情報

早朝

危険

早朝は比較的静かですが、市場へ向かう人混みに紛れたスリや、人通りの少ない路地での路上強盗のリスクがあります。また、夜間のうちに仕掛けられた爆発物やテロの残骸が発見されることも多く、移動には細心の注意が必要です。視界が悪い時間帯の移動は、動物の飛び出しによる交通事故のリスクも伴います。

安全な活動:

  • ・信頼できる車両による直接移動
  • ・ホテルの敷地内での活動

避けるべきエリア:

  • ・人気の少ない路地
  • ・市場の周辺地域
  • ・政府機関の境界付近

交通: ホテルが手配した信頼できる専用車両のみ。

日中

注意

日中は人通りが多く、比較的「目」があるため安全に見えますが、白昼堂々のカージャックや銃撃事件が発生しています。特にグランド・マルシェなどの混雑した場所では、外国人であるだけで集団に囲まれ、強奪の対象になる可能性があります。また、抜き打ちの検問による不当な拘束や賄賂要求が最も多い時間帯でもあります。

安全な活動:

  • ・警備の厳しい商業施設内
  • ・外交官居住区での公務

避けるべきエリア:

  • ・デモが発生しやすい広場
  • ・治安部隊が集結している場所
  • ・未舗装の郊外エリア

交通: 窓をロックした四輪駆動車。徒歩移動は厳禁。

夕方〜夜

危険

日没とともに治安は急激に悪化します。街灯がほとんどないため、武装した強盗グループが活動を開始し、車両を標的にした襲撃が頻発します。レストランやホテルから一歩外に出るだけで、身代金目的の誘拐のターゲットになるリスクがあります。いかなる理由があっても、日没後の外出は「生命を危険に晒す行為」とみなされます。

安全な活動:

  • ・セキュリティの万全な屋内での滞在
  • ・24時間警備のホテル内施設

避けるべきエリア:

  • ・ンジャメナ市街地全域
  • ・レストランの駐車場
  • ・公共の道路

交通: 武装警備が同伴する場合を除き、移動は避けるべき。

深夜

危険

深夜帯の外出は極めて危険です。正規の警察・軍とは別に、武装した自警団や反政府勢力の残党が徘徊しており、遭遇した場合は即座に銃撃されるか拘束される恐れがあります。首都であっても大規模な戦闘が発生する可能性が常にあり、宿泊施設自体のセキュリティが突破される事例も懸念されるほど、無防備な時間帯となります。

安全な活動:

  • ・シェルター機能を備えた室内での待機

避けるべきエリア:

  • ・全屋外地域
  • ・国境付近のすべてのエリア

交通: いかなる手段であっても移動は推奨されません。

季節別ガイド

涼しい乾季 (11月 - 2月)

気温: 15°C - 30°C

降水: ほぼゼロ

服装: 日中は綿の長袖、夜間や早朝は冷え込むためフリースやジャケットが必要です。

おすすめ活動:

ンジャメナ市内観光(安全な範囲で), ビジネス訪問, 砂漠ツアー(治安が許せば)

リスク:

  • ・ハルマッタン(砂嵐)による視界不良
  • ・急激な寒暖差による体調不良
  • ・髄膜炎の流行開始

酷暑期 (3月 - 6月)

気温: 35°C - 50°C

降水: 極めて少ない(5月以降に散発的な雷雨)

服装: 通気性の良い薄手の長袖。強い日差しを避けるための帽子とサングラスが必須です。

おすすめ活動:

屋内での活動中心, 早朝のわずかな時間の移動

リスク:

  • ・重度の熱中症・脱水症状
  • ・髄膜炎の流行ピーク
  • ・電力不足によるエアコンの停止

雨季(モンスーン) (7月 - 9月)

気温: 25°C - 35°C

降水: 南部で1000mm以上、中部でも激しい雷雨

服装: 濡れても乾きやすい服、レインコート。ただし湿度が非常に高くなります。

おすすめ活動:

移動が大幅に制限されるため、活動は最小限に

リスク:

  • ・大規模な洪水と道路の寸断
  • ・マラリア媒介蚊の急増
  • ・コレラ等の水系感染症の流行

雨季明け(移行期) (10月)

気温: 30°C - 40°C

降水: 徐々に減少

服装: 酷暑期に近い服装。まだ湿度が高いため、通気性を重視してください。

おすすめ活動:

復旧作業の進捗確認, 地方への移動再開(路面状況による)

リスク:

  • ・残存する洪水被害
  • ・マラリア感染リスクの継続
  • ・気温の再上昇による疲労

ベストシーズン: 渡航に最も適しているのは「涼しい乾季」である11月から2月です。この時期は日中の気温が30℃前後と比較的過ごしやすく、雨による洪水で道路が遮断される心配もありません。夜間は肌寒いくらいまで気温が下がるため、酷暑期の命に関わるような暑さを避けることができます。ただし、この時期はハルマッタンと呼ばれる砂嵐の影響で航空便が遅延したり、呼吸器系に負担がかかったりするため、高性能なマスクの携行を推奨します。また、髄膜炎の流行時期と重なるため、事前のワクチン接種が必須となります。

環境リスク

野生動物のリスク

毒蛇(コブラ・クサリヘビ)

リスク: 5/5

生息地: サバンナ地帯, 草むら, 地方の住居周辺

夜間の徒歩移動は絶対に避け、屋外では常に厚手の靴と長ズボンを着用してください。毒を飛ばすブラックネック・スピッティングコブラも生息しているため、不用意に藪を覗かないことが重要です。万が一遭遇した場合は静かに後退し、刺激を与えないようにします。噛まれた場合は患部を固定し、一刻も早く首都の病院へ向かう必要がありますが、血清の在庫は極めて不安定です。

治療: ンジャメナのルネサンス病院にて血清治療を試みますが、地方では治療不可。即時の医療搬送を検討してください。

サソリ

リスク: 4/5

生息地: 北部砂漠地帯, 乾いた岩場, 建物内の暗所

靴を履く前や衣服を着用する前には、必ず中にサソリが潜んでいないか振って確認してください。猛毒を持つアンドロクトヌス属は、刺されると子供や高齢者だけでなく健康な大人でも死に至ることがあります。砂漠でのキャンプは避け、荷物は床に直接置かないなどの対策を徹底してください。刺された場合はすぐに冷却し、毒の拡散を遅らせて医療機関へ急行してください。

治療: 激痛と神経症状を伴います。対症療法と可能であれば抗毒素血清の投与が必要ですが、入手性は低いです。

カバ・ワニ

リスク: 4/5

生息地: シャリ川流域, ロゴーヌ川, チャド湖周辺

水辺には近づかないでください。特にカバは非常に縄張り意識が強く、不用意に近づくボートや歩行者を攻撃します。アフリカで最も人間を殺している野生動物の一つです。また、ワニによる捕食被害も報告されています。川での水泳や洗濯は感染症(住血吸虫症)のリスクも相まって厳禁です。ボート移動が必要な際は、信頼できる大型の船を利用し、岸辺に近寄りすぎないようにしてください。

治療: 重度の外傷を伴うため、現地での治療は止血等の応急処置に限定されます。早急な外科手術が必要です。

水の安全性

水道水: 飲用不可

いかなる地域においても水道水は飲用できません。完全に密閉された市販のボトル入りミネラルウォーターのみを使用してください。また、うがいや歯磨き、食器の洗浄にも可能であればミネラルウォーターを使用することが推奨されます。安価な袋入りの水(サシェ)は、製造過程が不衛生な場合が多く、感染症の温床となっているため避けてください。浄水器や煮沸だけでは化学物質や一部の耐熱性菌を除去できない可能性があるため、ボトル水が唯一の安全な選択肢です。

交通安全

事故死亡率: 約28.0人(10万人あたり)

歩行者リスク: 歩行者の優先権という概念は存在しません。横断歩道であっても車両は停止せず、むしろ加速する場合があるため、道路横断には命がけの注意が必要です。また、夜間は無灯火の車両や家畜が道路に溢れており、歩行者が巻き込まれる事故が多発しています。

公共交通: 公共交通機関としての「モト・タクシー(クランド)」は、事故率が非常に高く、強盗の共犯であるケースも報告されているため、外国人の利用は推奨されません。大型バスも整備不良や過積載が原因で横転事故を頻繁に起こしており、安全な移動手段を確保するには信頼できるレンタカー(運転手付き)を手配する以外にありません。

地域別ガイド

ンジャメナ(首都圏)

レベル 3

チャドの政治・経済の中心地。比較的警備は厚いものの、2024年以降、弾薬庫の爆発や大統領府近くでの銃撃戦が発生するなど、情勢は不安定です。市場周辺での窃盗や武装強盗も多発しています。

主要都市: ンジャメナ

特有リスク:

  • ・市街地での突発的な武力衝突
  • ・バイクによるひったくり・強盗
  • ・外国人ターゲットのカージャック

チャド湖周辺(ラク州)

レベル 5

ボコ・ハラムやISWAPなどの過激派組織が活発に活動する最危険地帯。軍事基地への襲撃や住民の誘拐が日常化しており、外国人が立ち入れば殺害または人質の対象となるリスクが極めて高いです。

主要都市: ボル

特有リスク:

  • ・テロ組織による拉致・殺害
  • ・自爆テロ
  • ・地雷および不発弾

東部国境地帯(ワダイ州・シラ州)

レベル 5

スーダン国境に接し、内戦から逃れた膨大な難民が流入しています。スーダン準軍事組織(RSF)の越境攻撃や、武器の流入に伴う部族間抗争が激化しており、人道支援関係者以外は立ち入り不可能です。

主要都市: アベシェ, アドレ

特有リスク:

  • ・スーダン紛争の巻き添え
  • ・武装勢力による車両強奪
  • ・深刻な物資不足と感染症

南部産業地帯(ロゴーヌ・オキシダンタル州等)

レベル 4

石油採掘の拠点ですが、反政府勢力MPRDの活動が再燃しています。農耕民と牧畜民の武力衝突も頻発しており、幹線道路での追い剥ぎや身代金目的の誘拐が最も多い地域の一つです。

主要都市: ムンドゥ, ドバ

特有リスク:

  • ・身代金目的の誘拐(キドナッピング)
  • ・反政府ゲリラとの遭遇
  • ・幹線道路での武装強盗

北部サハラ地域(ボルク・エンネディ・ティベスティ州)

レベル 5

サハラ砂漠に広がる広大な地域。リビア国境からの反政府武装勢力の浸透が続いており、金鉱山を巡る支配権争いで事実上の無法地帯です。政府の統治が及んでおらず、救出活動も困難です。

主要都市: ファヤ・ラルジョー, バルダイ

特有リスク:

  • ・反政府勢力による拘束
  • ・遭難時の救助不能
  • ・国境付近での戦闘

経済・物価情報

経済概要

チャドは世界最貧国の一つであり、石油輸出がGDPの約40%、国家歳入の約80%を占める極端な石油依存型経済です。石油収入は一部の特権階級に集中しており、国民の約45%が極貧層に分類されています。近年は原油価格の変動と気候変動による農業の壊滅的打撃、さらには隣国からの難民流入によるコスト増大が経済を圧迫し続けています。インフラ投資は限定的で、ビジネス環境は極めて厳しい状況にあります。

生活費・物価

一般的な国民の生活費は極めて低い一方で、旅行者(特に外国人)向けの宿泊や食事は「セキュリティコスト」が含まれるため、アフリカ内でも異例に高額です。ンジャメナの安全なホテルは1泊2.5万円〜4.5万円、外国人向けレストランでの食事は1回3,000円以上が目安です。タクシーも外国人料金が適用され、1日のチャーターには数万円を要することもあります。輸入品が高額なため、嗜好品や衛生用品も日本より高い場合が多いです。

通貨情報

通貨は中央アフリカ・セーファーフラン(XAF)です。ユーロと固定相場制(1ユーロ=655.957 XAF)をとっており、日本円からは直接両替できないため、ユーロ現金を持ち込むのが最も効率的です。ンジャメナの一部の大手銀行にATMがありますが、故障や現金切れが日常的で、国外発行のカードが撥ねられることも多いため、滞在費全額をユーロ現金で持参することが実務上の鉄則となります。

チップガイド

チップの習慣は定着しており、サービスを受けた際の少額のチップは期待されます。レストランでは料金の5-10%、ホテルのポーターには500-1000 XAF程度が目安です。また、公共機関や検問などで「賄賂」を要求されることがありますが、これは法的に認められたチップではありません。安易に応じると更なる要求を招くため慎重な対応が必要ですが、安全を優先せざるを得ない場面も存在します。

予算ガイド

チャドでの「安旅行」は治安上の理由から推奨されません。バックパッカー予算(1日5,000円以下)での滞在は、安全な宿泊先を確保できないため生命の危険を伴います。ミドルレンジ(1日3万円〜)でも、最低限のガードマン付きホテルと専用車での移動が必要です。ラグジュアリー(1日6万円〜)は、外資系高級ホテルと防弾車両、武装エスコートを伴うスタイルになりますが、これでもリスクをゼロにすることはできません。

文化・マナー情報

歴史的背景

チャドはかつてアフリカ・サハラ交易の要衝としてカネム・ボルヌ帝国などが栄えた歴史を持ちますが、19世紀末のフランス植民地化を経て1960年に独立しました。独立後は北部イスラム教徒と南部キリスト教徒の対立から長期にわたる内戦を経験し、1990年にイドリス・デビ前大統領が就任して以降、30年以上にわたりデビ家による支配が続いています。2021年の前大統領戦死後も軍事評議会を経て、息子のマハマト・デビ氏が権力を継承しており、政治的混迷が文化や社会の発展に影を落としています。

社会規範・マナー

非常に保守的で家父長制が強い社会です。挨拶は極めて重要で、時間をかけて相手の健康や家族の状態を尋ねるのがマナーです。右手が清潔な手とされ、握手や物の受け渡し、食事は必ず右手で行います。また、写真撮影に対して極めて敏感で、政府機関や軍事施設はもちろん、橋や市場、人物を許可なく撮影すると逮捕や機材没収、さらには暴動に発展する恐れがあります。長老や年長者を敬う習慣が徹底されており、公共の場での議論は避けるべきです。

宗教・慣習

人口の約52%がイスラム教徒(主に北部・中部)、約44%がキリスト教徒(主に南部)です。イスラム教の戒律は北部ほど厳格で、ラマダン期間中の日中の飲食は公共の場では慎むべきです。金曜日は礼拝のため午後の業務が止まることが多いです。南部ではキリスト教と伝統的なアニミズムが混在しており、部族ごとの儀式も残っています。宗教的対立が政治的な暴力に結びつきやすいため、宗教の話題を深掘りすることは避けるのが賢明です。

宿泊・食事ガイド

宿泊ガイド

ンジャメナにはラディソン・ブルやレディソンなどの外資系高級ホテルがありますが、これらは二重の検問、防爆壁、武装警備員を備えており、事実上の「要塞」として機能しています。宿泊費は1泊300ドル以上と高額ですが、安全を確保するためにはこれらのホテル以外に選択肢はありません。地方都市では、教会が運営するゲストハウスやNGOの宿舎が比較的安全ですが、設備は極めて簡素です。

食事ガイド

伝統料理は、キビやトウモロコシを練った「ブール」に肉や野菜のソースを添えたものが一般的です。ンジャメナの高級ホテル内ではフランス料理やレバノン料理が提供されます。衛生状態は非常に悪く、屋台の食事はコレラやチフスのリスクがあるため厳禁です。生野菜、皮を剥いていない果物、水道水から作られた氷などは、たとえ高級店であっても注意が必要です。アルコールは高級ホテルで入手可能です。ボトル入りの水以外は口にしないでください。

実用情報

通信・SIM

AirtelとMoov Africaが主要プロバイダです。SIMカード購入にはパスポート提示が必須。4Gはンジャメナの一部のみで、他は極めて低速です。政府の意向でSNSやインターネット全体が予告なく遮断されることが多いため、オフラインで使える地図や情報の事前ダウンロードが必須です。

銀行・ATM

完全な現金社会です。ATMはンジャメナ中心部のEcobank等にありますが、1日の引き出し制限が低く、現金切れも多発します。手数料も高額です。クレジットカードは高級ホテルのフロント以外では一切使えません。滞在に必要な全額をユーロ現金(高額紙幣だけでなく小銭も)で持ち込む必要があります。

郵便・配送

郵便システムはほぼ機能していません。重要な書類や物資の送付はDHL等の国際クーリエを利用する必要がありますが、ンジャメナ以外の地方への配送は保証されません。受け取りの際も多額の関税や賄賂を要求されるトラブルが絶えません。

電源・アダプター

電圧は220-240V。プラグ形状は主にC型とE型(丸2ピン)です。停電は日常茶飯事で、ンジャメナであっても1日数時間の通電が普通です。高級ホテルは自家発電機を備えていますが、燃料不足で停止することもあります。強力なモバイルバッテリーが必須です。

洗濯サービス

高級ホテル以外に近代的なランドリーはありません。地方では手洗いが基本ですが、水系感染症や衣類に寄生虫(ヒトヒフバエ等)の卵を産み付けられるリスクがあるため、乾燥機を使用するか、必ず高温でアイロンがけをする必要があります。

公衆トイレ

公共トイレはほぼ存在せず、あっても衛生状態は最悪です。移動中は「ブッシュ・トイレ(野外)」となります。トイレットペーパーは都市部でも入手困難な場合があるため、常に十分な量を携行してください。手洗い用の除菌ジェルも不可欠です。

主要都市ガイド

ンジャメナ

N'Djamena

15 警戒

シャリ川沿いに位置するチャド最大の都市であり首都。外交官区や政府機関周辺は軍による厳重な警備が敷かれていますが、一歩路地に入ると武装強盗やスリの危険が高まります。夜間の移動は車両であっても非常に危険です。2024年の軍弾薬庫爆発事故以降、市街地に不発弾が飛散している可能性も指摘されています。

主な観光地:

チャド国立博物館, グランド・マルシェ(外観のみ推奨), ンジャメナ大聖堂

避けるべきエリア:

  • ・グジ地区(軍施設周辺)
  • ・市場周辺の路地裏
  • ・シャリ川の河川敷(夜間)

ベストシーズン: 11月〜2月(比較的涼しく、雨の影響が少ない)

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アベシェ

Abéché

8 危険

かつてのウダイ王国の首都であり、現在は東部の交通・物流の要所。スーダン内戦の影響で現在は人道支援活動の拠点となっていますが、治安は極めて不安定です。外国人、特に援助関係者を狙った犯罪や、越境してきた武装勢力による襲撃のリスクが常に存在します。

主な観光地:

旧王宮跡, アベシェ市場

避けるべきエリア:

  • ・スーダン国境方面の全域
  • ・夜間の市内全域

ベストシーズン: 12月〜1月

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ムンドゥ

Moundou

12 危険

チャド第二の都市で、ビール醸造や綿花産業が盛んな経済都市。南部地域の中心ですが、反政府活動や犯罪組織による誘拐リスクが高まっています。経済拠点ゆえに、身代金目的のターゲットにされる危険性が高く、滞在には武装ガードマンの雇用が標準的です。

主な観光地:

ガロア湖, ムンドゥ・ビール工場(見学不可)

避けるべきエリア:

  • ・郊外の未舗装路
  • ・工業地帯の周辺

ベストシーズン: 11月〜2月

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交通詳細ガイド

国内線フライト

かつての国営航空会社Tchadia Airlinesは破産しており、現在チャド国内に定期的な民間国内便はほぼ存在しません。移動の主力は国連人道支援航空サービス(UNHAS)やNGOのチャーター便に限られますが、これらは一般の旅行者が利用することはできません。石油関連企業が独自のチャーター機を運用している場合もありますが、空路移動は極めて限定的かつ高額な選択肢となっています。

鉄道・バス

チャド国内に鉄道は一切敷設されていません。長距離バスはンジャメナからアベシェやムンドゥなどの主要都市を結んでいますが、車両は酷く老朽化しており、過積載による横転事故が後を絶ちません。さらに、幹線道路上では「クーペ・ド・ルート(道路切り)」と呼ばれる武装強盗団が頻繁にバスを襲撃し、乗客の金品奪取や拉致を行っているため、外国人の利用は推奨されません。

レンタカー・配車サービス

レンタカーは運転手付きが基本です。しかし、一般のレンタカーではなく、防弾仕様の車両と武装エスコートを伴う「セキュリティ車両」を専門会社から手配する必要があります。個人で運転することは、検問での不当な拘束やカージャックのリスクを招くため厳禁です。配車アプリ「HERMOCAB」が登場しましたが、利用できるのはンジャメナ中心部のごく一部に限られ、信頼性は未知数です。

交通リスク評価

陸路移動は、道路の泥濘化(雨季)、武装強盗、政治的混乱による道路封鎖、不当な検問の4重のリスクに晒されています。特に夜間の道路移動は「100%危険」とされており、日中の移動であっても複数の車両でコンボイを組み、衛星電話を携行することが、チャドで活動する国際機関の最低限の安全基準となっています。

都市別交通ガイド

ンジャメナ

地下鉄: 存在しません。

バス: 「トコトコ」と呼ばれるミニバスがありますが、整備不良と治安の観点から非推奨です。

タクシー: 黄色のタクシーが走っていますが、乗り合いが基本で、外国人はカージャックや強盗の標的になるため、ホテルの専用車以外は避けるべきです。

徒歩・自転車: 昼間でも徒歩移動は推奨されません。白昼の強盗が頻発しています。

費用目安: ホテル手配の送迎:5,000〜15,000 XAF

大使館・長期滞在情報

在外公館ネットワーク

在カメルーン日本国大使館

Embassy - Yaounde

住所: 1535, Rue 1828, Bastos-Ekoudou, BP 6868, Yaounde, Cameroun

電話: +237 2 22 20 62 02

管轄: チャド全域, カメルーン, 中央アフリカ

緊急対応: 24時間(夜間・休日は緊急用電話へ転送)

在チャド・フランス大使館

Embassy - N'Djamena

住所: Rue Adjudant-Chef-Galo-Moussa, N'Djamena, Tchad

電話: +235 22 52 25 76

緊急対応: 欧州連合市民および緊急時の連絡窓口

領事サービス

チャドには日本の外交拠点がありません。パスポートの紛失、戸籍届出、証明書発行などの領事サービスを受けるには、ヤウンデ(カメルーン)へ赴くか、定期的に実施される(情勢が許せば)出張領事サービスを待つ必要があります。事件・事故に遭遇した際の保護についても、物理的な距離があるため、カメルーンの大使館員が現地に到着するまでに数日を要することが予想されます。

長期滞在ビザ

3ヶ月以上の長期滞在には「滞在許可(Carte de séjour)」の取得が必要です。入国後48時間以内に警察当局での外国人登録を行う義務があり、これを怠ると不法滞在とみなされ多額の罰金や国外追放、あるいは身柄拘束の対象となります。手続きには雇用証明書や無犯罪証明書(仏訳)が必要で、完了までに数ヶ月を要し、その間何度も当局へ足を運ぶ必要があります。

リモートワーク・デジタルノマド

チャドでのリモートワークやデジタルノマドとしての滞在は、インフラと安全性の両面から全く現実的ではありません。インターネットは極めて不安定で高額、電力供給も保証されず、カフェなどでPCを広げる行為は強盗を招くだけです。コワーキングスペースも存在せず、ビザカテゴリーに「リモートワーク」は存在しないため、商用ビザ等での滞在となりますが、推奨されません。

ビジネスビザ

ビジネスビザの取得には、チャド国内の企業や団体からの正式な招待状が必要です。招待状は内務省の認証を受けていることが望ましく、取得までに時間がかかります。商談で訪れる際も、空港での不透明な入国審査や、市内の移動におけるセキュリティコストを予算に組み込む必要があります。贈収賄の防止(FCPA等)と現地の慣習との間で板挟みになるケースが多く、専門的なリーガルアドバイスが不可欠です。

推奨防犯装備

衛星電話(イリジウム等)

必須

通信機器

都市部を離れるとモバイルネットワークが途絶えるほか、政府による通信遮断が頻発するため、緊急連絡用に衛星電話の携行が強く推奨されます。

携帯用浄水器(ライフストロー等)

必須

衛生用品

水道水は飲用不可であり、洪水時などはミネラルウォーターの供給も不安定になるため、高度なフィルターを備えた浄水器が必要です。

トラベルセーフティドアアラーム

推奨

防犯グッズ

宿泊施設のセキュリティが不十分な場合があるため、ドアの内側に設置して不法侵入を検知する大音量のアラームを携行してください。

強力な虫除け(ディート高濃度)

必須

衛生用品

熱帯熱マラリアが全土で流行しており、蚊による感染を防ぐため、高濃度の虫除けスプレーと蚊帳(持ち運び用)の併用が不可欠です。

ダミー財布(現金少量入り)

必須

防犯グッズ

強盗に遭遇した際、本物の財布を隠しつつ差し出すための「捨て財布」を用意してください。抵抗せず渡すことで生命のリスクを下げます。

タクティカルペン(または防犯用ライト)

推奨

防犯グッズ

夜間の視認性を確保する高輝度ライトは防犯にも有効です。武器とみなされない形状の護身補助具としてタクティカルペンも検討に値します。

広域対応救急キット

必須

衛生用品

抗マラリア薬、経口補水塩、抗生剤、止血帯を含む医療キット。地方では医療機関が皆無であるため、自己完結型の装備が求められます。

GPSトラッカー(個人用)

推奨

通信機器

誘拐のリスクが高いため、信頼できる第三者にリアルタイムで位置情報を送信できる独立型のGPSロガーを隠し持つことが推奨されます。

旅行者タイプ別ガイド

女性旅行者向けガイド

女性の単独渡航は極めて危険であり、強く推奨されません。性犯罪のリスクに加え、保守的な社会では女性一人での行動が不審視され、嫌がらせを受けることが一般的です。服装は、肩や足を出すものは厳禁で、現地の女性のようなロングドレスや、ゆったりとした長袖・長ズボンを着用し、頭にスカーフを巻くことが宗教的な配慮と防犯の両面で有効です。男性の同行者がいない場合、ホテルのスタッフであっても部屋に入れない、夜間は絶対に外出しないなどの厳格な警戒が必要です。

LGBTQ+旅行者向けガイド

チャド社会において同性愛はタブー視されており、法的にも不自然な性的行為として処罰の対象となるリスクがあります。公共の場での愛情表現は異性愛者であっても慎むべきですが、同性愛者の場合は身の安全に関わる重大な事態を招きかねません。SNSでのマッチングアプリの使用は、恐喝や「おとり捜査」のターゲットになる危険が極めて高く、滞在中は自身の性的指向について完全に秘匿することが強く求められます。外国の外交官であっても例外視されない厳しい空気があります。

家族・シニア旅行者向けガイド

子供連れや高齢者の旅行先としては、チャドは全く適していません。高度な医療施設が皆無であり、過酷な酷暑、感染症のリスク、そして突発的な武力衝突の可能性を考えると、緊急時の対応が極めて困難です。子供向けの娯楽施設や、バリアフリーのインフラも存在しません。やむを得ず家族で滞在する場合は、ンジャメナのセキュリティが完備された拠点内に留まり、24時間体制の医療搬送サービス(SOS International等)との契約を必須としてください。高齢者の方は、脱水症状や熱中症への耐性が低いため、移動中のエアコン故障さえも致命的なリスクになり得ます。

安全に関するよくある質問

ンジャメナ市内なら日中は一人で歩いても大丈夫ですか?

いいえ、全くお勧めしません。白昼の強盗やひったくりが頻発しており、外国人は常にターゲットです。短距離でも信頼できる車両で移動してください。

検問で賄賂を要求されたらどうすべきですか?

書類に不備がないことを冷静に主張し、領収書を求めてください。それでも解決しない場合、会社や大使館に連絡する姿勢を見せると引き下がることがありますが、身の危険を感じる場合は少額で解決せざるを得ないこともあります。

実用的なよくある質問

クレジットカードはどこまで使えますか?

ンジャメナの数軒の高級ホテルのみです。それ以外は100%現金社会であり、多額のユーロ現金を持参する必要があります。

イエローカードは必要ですか?

はい、黄熱病の予防接種証明書(イエローカード)の提示は入国時に厳格に求められます。忘れると入国拒否またはその場での不衛生な接種を強要されます。

チャドの治安に関するよくある質問

チャドの治安は良い?悪い?

チャドの治安は世界で最も悪い国の一つと言えます。内戦の影響やテロ組織の活動、政治的な混乱が重なり、国家が治安を維持する能力を喪失しています。首都ンジャメナを含む全土で、外国人を含む一般市民が武力衝突や凶悪犯罪の標的となっており、生命の安全を確保することは極めて困難な状況です。

チャドで危険な地域はどこ?

ほぼ全土が危険ですが、特にボコ・ハラムが活動するチャド湖周辺のラク州、スーダン内戦の戦闘が越境している東部国境地域、反政府勢力の拠点であるリビア国境の北部地域は、退避勧告レベル4の極めて深刻な危険地帯です。首都ンジャメナもレベル3となっており、政治的爆発事件や銃撃戦が発生しています。

チャド旅行はやばい?本当に行って大丈夫?

客観的に見て、現在のチャドへの渡航は極めて「やばい」状況です。建国以来最悪とも言われる治安悪化に直面しており、外国人の安全を保障する機能は完全に崩壊しています。観光目的はもちろん、ビジネス目的であっても、あらゆる渡航において生命を落とすリスクが常に伴うため、渡航は中止すべきです。

チャドは女性一人でも怖くない?

女性一人での渡航は絶対に避けてください。チャドでは性的暴行、誘拐、略奪といった凶悪犯罪が日常的に発生しており、女性や単独旅行者は特に標的になりやすい傾向があります。インフラも脆弱で法執行機関も機能していないため、トラブルに遭遇しても助けを求めることができず、命の危険に直結する非常に怖い環境です。

チャドでスリに遭わないための対策は?

チャドではスリやひったくりが多発していますが、それ以上に武器を用いた強盗が主流です。万が一滞在する場合は、華美な服装を避け、市場や公共交通機関などの不特定多数が集まる場所には近づかないでください。しかし、対策を講じていても武装強盗を完全に回避することは不可能に近いのが現状です。

チャドで多い詐欺の手口は?

公的機関を装った偽警官による金銭要求や、闇両替を巡る詐欺が散見されます。しかし、2026年現在は詐欺よりも、銃器を使用したカージャックや拉致などの直接的な暴力犯罪の方が圧倒的に多いため、知能犯罪への警戒だけでは不十分です。不審な人物からの接触はすべて拒絶し、即座に安全な場所へ避難する必要があります。

チャドで日本人が巻き込まれやすい犯罪は?

日本人は「富裕層」とみなされやすく、身代金目的の誘拐、白昼の路上での武装強盗、カージャックの標的になるリスクが非常に高いです。特に首都のビジネスエリアであっても武装勢力の襲撃から逃れることは難しく、命の保証はありません。過去には外国人が武力衝突に巻き込まれて死亡するケースも報告されています。

チャド旅行で注意すべきことは?

最大の注意点は「いかなる理由があっても渡航しないこと」です。万が一現地にいる場合は、夜間の外出を一切避け、信頼できる武装警備員の同行なしでの移動は厳禁です。また、軍事施設や政府機関の撮影はスパイ容疑で拘束される恐れがあるため注意が必要ですが、それ以前に武力衝突に巻き込まれるリスクが先行します。

チャドで起こりやすいトラブルは?

最も深刻なトラブルは、政府軍と反政府勢力の戦闘、または武装テロ組織による襲撃です。道路封鎖や通信遮断、空港の閉鎖が予告なく発生し、国境から脱出できなくなる事態が頻発しています。また、スーダンからの難民流入に伴うリソース不足から、地域住民との衝突や略奪に巻き込まれるケースも後を絶ちません。

チャドで被害に遭ったらどうする?

被害に遭遇した場合は、まず自身の命を最優先し、抵抗せずに相手の要求に従ってください。その後、速やかに在チャド日本国大使館(兼轄校含む)へ連絡を試みる必要がありますが、現地の警察や病院は機能不全に陥っていることが多いため、日本国内の家族や契約している緊急救済サービスへも即座に連絡を入れてください。

チャドの治安詳細

チャドの治安概要

2026年現在、チャドの治安は世界最悪レベルの危機的状況にあります。長年の独裁統治に対する国民の不満、周辺国であるスーダンの内戦波及、テロ組織ボコ・ハラムやISWAPの浸透により、国家の安全保障機能が崩壊しています。政府軍と反政府武装勢力の戦闘が主要都市でも繰り返されており、外国人の生命を保護する仕組みは存在しません。全土で銃撃戦や爆発事件、誘拐が常態化しており、渡航は推奨されません。

チャドは危険?やばい?

チャドは「危険」という言葉では不十分なほど「やばい」状況です。特に国境付近は無法地帯化しており、軍事拠点への攻撃や外国人の殺害が日常茶飯事です。首都ンジャメナであっても、政治的なデモに対する過激な武力鎮圧が行われ、巻き添えになるリスクが極めて高いです。国家収入が一部の特権階級に独占されていることへの不満から、外国人は身代金目的の誘拐の絶好のターゲットとなっており、渡航は自殺行為に等しいと評価せざるを得ません。

チャドは怖い?一人旅でも大丈夫?

チャドへの渡航は、特に女性や一人旅の方にとって、想像を絶するほど「怖い」体験となる可能性が極めて高いです。法治国家としての機能が失われており、性暴力、拉致、武装強盗から身を守る手段はほぼありません。現地の警察に助けを求めても、賄賂の要求や逆に被害に遭うリスクさえあります。孤立無援の状態で生命の危険にさらされるため、興味本位やボランティア等の目的であっても、決して一人で足を踏み入れてはならない国です。

スリ・詐欺・犯罪の実態

チャドの犯罪状況は極めて深刻です。スリや詐欺といった軽犯罪も蔓延していますが、それらは氷山の一角に過ぎません。主要な手口は、銃器を使用した組織的な路上強盗やカージャックです。特に高級車両や外国人は常に監視されており、白昼であっても武装集団に車両ごと強奪される事件が多発しています。また、身代金目的の誘拐ビジネスが武装勢力の資金源となっており、ターゲットにされると救出は困難を極めます。偽の検問所を設けた武装勢力による略奪も報告されています。

地域別の危険度

ラク州(チャド湖周辺)はテロ組織の支配下にあり、軍事攻撃や誘拐が頻発するレベル4の危険地帯です。スーダン国境の東部地域も戦闘の流入により略奪が相次いでいます。北部リビア国境付近は反政府勢力FACTの拠点であり、政府の統治が及ばない無法地帯です。首都ンジャメナはレベル3ですが、政情不安による爆発や銃撃戦が絶えず、実質的にはレベル4と同等の警戒が必要です。ボルク・エンネディを含むティベスティ州一帯も武装勢力と犯罪ネットワークの支配下にあり、全方位的に安全な場所は存在しません。

チャド旅行で注意すべきポイント

旅行者が注意すべき最大のポイントは、全土に発令されている「退避勧告」を厳守し、渡航を完全に中止することです。もし既に滞在している場合は、一刻も早い国外脱出を検討してください。移動の際は必ず防弾仕様の車両と武装警備員の手配が必要ですが、それでも安全は保証されません。地元の軍事情勢やデモの予定を常に把握し、不特定多数が集まる市場や宗教施設、政府関連施設には絶対に近づかないでください。また、食料や水の確保も困難になる可能性があるため、備蓄も不可欠です。

よくあるトラブル事例

実際のトラブル事例として、ンジャメナ市内で反政府デモに遭遇した外国人が、軍による無差別発砲に巻き込まれ重傷を負う事件が発生しています。また、東部地域ではスーダンからの武装集団が国境を越えて難民キャンプや近隣の車両を襲撃し、乗車していた民間人が拉致されるケースも相次いでいます。北部では金鉱山を巡る部族抗争に巻き込まれ、身ぐるみを剥がされた上で砂漠に放置されるといった、非人道的な被害事例も報告されています。

被害に遭った場合の対応

チャド国内で犯罪被害に遭った場合、公的なサポートを期待することは極めて困難です。警察は装備不足や腐敗により、事件を解決する能力がほとんどありません。被害に遭った際は、まず安全を確保し、在チャド日本国大使館(または兼轄の大使館)へ緊急連絡を行ってください。医療機関も極めて脆弱で、重傷を負った場合は隣国や欧州への緊急移送が必要となります。そのため、渡航自体を避けるべきですが、どうしても滞在が必要な場合は、高額な海外旅行保険と緊急移送サービスの契約が必須です。

データソース

公的機関