総合評価
監視カメラ網の普及により一般犯罪は極めて少ないが、近年は社会的不満を背景とした突発的な無差別殺傷事件や、日中関係の緊張に伴う拘束リスク、巧妙な詐欺が主要な懸念材料となっている。
身体的安全 (B+)
街頭での強盗や暴行は稀だが、2024年以降、経済的困窮を背景とした刃物による無差別襲撃事件が公共の場で散発しており、予測困難なリスクとして浮上している。
医療・衛生 (A-)
嘉会国際病院などの高品質な国際病院が充実しており医療水準は高い。ただし、冬季の大気汚染や、自由診療による医療費の高額化には海外旅行保険での備えが必要である。
詐欺 (C+)
南京東路や外灘でのお茶会詐欺、マッチングアプリを介した高額請求バーへの誘導が依然として組織的に行われており、外国人観光客を狙った古典的な手口が絶えない。
テロ (A)
極めて厳格な監視体制と治安維持活動により、国際テロ組織による攻撃リスクは非常に低い。ただし、政治的イベント期間中は公共交通機関での検問が大幅に強化される。
スリ (A-)
キャッシュレス化の進展で現金窃盗は減少したが、混雑した地下鉄や観光地ではスマートフォンのひったくりが散見される。ドア付近での端末操作には注意が必要である。
暴力犯罪 (B)
統計上の発生率は世界最低水準だが、2024年の松江区での殺傷事件のように、社会への報復を動機とした凶悪事件が住民や外国人に心理的な不安を与えている。
最新インテリジェンスレポート
上海は高度なデジタル監視システム「天網」により、窃盗や強盗などの一般犯罪が劇的に抑制された「世界で最も安全な大都市」の一つです。しかし、2024年から2026年にかけて、不動産不況や高失業率を背景とした「社会報復型」の無差別襲撃事件や、反スパイ法適用に伴う外国人の拘束リスク、さらには日中関係の悪化による排外的な感情の噴出といった、従来の防犯対策では対応しきれない複雑なリスクが顕在化しています。一般的な観光の安全性は維持されていますが、政治的・社会的な文脈への理解と慎重な行動が求められるフェーズにあります。
現在の状況
2026年1月現在の上海は、表面上は平穏を保っていますが、当局は不測の事態に備え、元旦などの祝祭日には軍隊レベルの武装警察を主要スポットに展開させるなど、厳戒態勢を敷いています。2025年末からの日中関係の緊張を受け、上海日本人学校や日本人居住区周辺では警察の巡回が強化されており、当局も排外的なトラブルの発生を警戒しています。一方で、犯罪統計では刑事事件数が前年比で減少傾向にありますが、これは監視網による抑止の結果であり、市民の心理面では経済的困窮による将来不安が「自暴自棄な凶行」を誘発する懸念が消えていません。観光客にとっての直接的な脅威は、依然として外灘や南京東路で活動する詐欺グループによる金銭被害です。これらは警察の取締り後も場所を変えて活動を再開しており、非常に組織的です。また、地下鉄でのスマートフォン窃盗も、出口付近でのひったくりという形で継続しています。
背景分析
治安状況の変容の裏には、中国経済の構造的な停滞があります。特に若年層の失業率は2025年末時点で実質的に18%前後と高く、社会から孤立した個人が絶望から公共の場で無差別殺傷に及ぶ「社会報復」が全国的に問題化しています。上海の松江区で発生したスーパーマーケット襲撃事件も、犯人は経済的紛争による怒りを動機として挙げています。また、かつてのような現金狙いのスリが減少したのは、WeChat Pay等のキャッシュレス決済が完全に普及し、個人が多額の現金を携帯しなくなったためですが、代わってQRコードのすり替えや、マッチングアプリを用いた投資詐欺などのデジタル犯罪が高度化しています。社会のデジタル化が、犯罪の形態を「物理的な奪取」から「心理的な誘導と電子的な詐取」へとシフトさせています。これに加え、国家安全を重視する法執行の厳格化が、外国人ビジネスマンや旅行者にとっての潜在的な法的リスクを増大させています。
政治・社会情勢
上海は政治的安定が重視される都市ですが、2025年11月の高市政権による台湾発言後の日中関係悪化は、市民の対日感情に無視できない影を落としています。日本人学校周辺での警備強化は、当局が不測の事態を恐れている証左です。また、反スパイ法や愛国教育の強化により、軍事施設だけでなく政府機関やインフラ施設周辺での写真撮影が、意図せずともスパイ容疑をかけられるリスクを孕んでいます。2025年6月には米国大使館が「恣意的な法執行」への警戒を呼びかけており、ビジネス渡航者に対する出国禁止措置(Exit Ban)も実在するリスクとして認識されています。抗議活動やデモは厳格に規制されており、公の場での政治的批判は即座に拘束の対象となります。旅行者はSNSを含め、政治的に敏感な話題への関与を厳に慎むべき政治環境にあります。
重要ポイント
- ! 見知らぬ人からの『お茶を飲もう』『写真を撮って』という誘いは100%詐欺と断定し無視すること。
- ! 公共の場で日本語で大声で話したり、政治的な議論をしたりすることは、余計なトラブルを避けるため控えるべき。
- ! タクシーは流しを拾わず、走行ルートが記録され支払いも透明なDiDiアプリを必ず利用すること。
- ! 政府機関、軍関連施設、橋梁、または警察官が警備している場所の撮影は絶対に避けること。
- ! 万一の事故や拘束に備え、常にパスポートの原本を携帯し、日本総領事館の緊急連絡先を登録しておくこと。
- ! キャッシュレス決済(Alipay/WeChat Pay)は必須だが、QRコード決済時は店側が提示するものを盲信せず、自分のコードを読み取らせる方式を優先すること。
- ! 地下鉄のドア付近ではスマートフォンを操作しないこと。閉まり際に外から手を伸ばしてひったくる手口がある。
- ! 社会不満を背景とした突発的な事件が発生した際、周囲の叫び声やパニックを感じたら即座に現場から離れる意識を持つこと。
- ! マッチングアプリで知り合った人物との初対面で、相手が指定するバーやKTVに行くのは避けること。
- ! 反スパイ法リスクを考慮し、SNSでの不用意な政治的発信や写真投稿は滞在中だけでなく出国前からも慎重に。
エリア別安全情報(タクティカルマップ)
上海は全体としてグリッド状の監視体制が敷かれており、中心部の主要地区は深夜まで非常に明るく、警察の存在も顕著です。安全上の最大の懸念は、身体的危害よりも「心理的・経済的な罠」です。親しげに話しかけてくる人物の多くが何らかの詐欺的意図を持っていることを前提に行動する必要があります。また、日中関係の変動に伴い、日本人学校や領事館周辺の警備密度が変動するため、政治ニュースには常に敏感であるべきです。交通面では電動スクーターが歩道を静かに走行しており、歩行中の接触事故が多発しているため、視覚的な注意も怠れません。
浦東新区(陸家嘴)
安全金融中心地であり、上海で最も警備が厳重なエリア。24時間体制の巡回と最新の監視網により、物理的な危険はほぼ皆無。ビジネス渡航者にも最適。
外灘(バンド)展望エリア
注意最も有名な観光地だが、スリや組織的詐欺(お茶会詐欺)の主戦場。特に一人歩きの外国人を狙った巧みな声掛けが多発しており、常に警戒が必要。
南京東路歩行街
注意上海最大の繁華街。詐欺グループが最も多く活動しており、学生を装った声掛けが絶えない。強引な客引きや偽ブランド品の勧誘も多い。
松江区(ウォルマート周辺)
注意2024年の無差別殺傷事件の現場。現在警備員が倍増され物理的には安全だが、住民の心理的不安は根強い。大型店舗利用時は手荷物検査が厳格。
古北地区(日本人街)
安全日本人居住者が多く、治安は極めて安定している。外交状況に応じた巡回強化も行われるため、トラブルに遭遇する可能性は低い。日本語対応施設も多い。
上海火車駅(周辺エリア)
注意大規模な交通ハブであり、闇タクシー(黒車)や強引な荷物運びが活動。不慣れな観光客を狙った料金トラブルが散発している。
静安寺周辺
安全高級商業施設と高級ホテルが並ぶエリア。外国人慣れした警察官が多く、夜間の一人歩きも概ね安全。防犯意識の高いビジネス層に人気。
新天地
安全観光客と富裕層向けの飲食・ショッピングエリア。私服警備員が多数配置されており、秩序が非常に高い。夜間も安心して食事ができる。
徐家匯
注意巨大な商業交差点。交通量が極めて多く、歩行者優先の意識が低いため交通事故のリスクが高い。人混みでのスマホ盗難にも注意。
茂名南路(ナイトライフ街)
注意バーやクラブが集まるエリア。マッチングアプリで誘い出された後の高額請求被害が報告されている。酩酊状態での単独行動はリスクが高い。
脅威プロファイリング
上海の犯罪情勢は、世界最高水準のデジタル監視網「天網(スカイネット)」とキャッシュレス化の進展により、物理的な窃盗や暴力的犯罪は極めて低水準に抑えられています。しかし、2024年以降は経済低迷や社会的不満を背景とした「社会報復型」の無差別殺傷事件という新たなリスクが台頭しており、監視カメラでは防ぎきれない突発的な脅威が懸念されています。また、外国人観光客を狙った伝統的な「ティーセレモニー詐欺」や「マッチングアプリ詐欺」は依然として巧妙に行われており、物理的被害よりも金銭的・心理的被害を受けるケースが目立ちます。さらに、外交関係の緊張に伴う日本人への排斥感情や、反スパイ法の適用といった政治的・法的リスクが、一般的な犯罪対策の枠を超えた課題となっています。
ティーセレモニー詐欺(お茶会詐欺)
Tea Ceremony Scam
グループ規模: 2-3人の男女グループ
ターゲット: 外灘や南京東路を一人で歩いている外国人観光客。特に親切心がありそうな若年層から中高年まで幅広く狙われる。
活動場所: 南京東路歩行街, 外灘(バンド), 人民広場, 豫園
活動時間: 14:00 - 22:00(観光客が活発な時間帯)
手口:
犯行グループは主に大学生や国内観光客を装い、流暢な英語で「写真を撮ってほしい」「英語を練習したい」と親しげに話しかけてきます。会話が弾むと、「近くで有名な茶道フェスティバルがある」「地元の人が行く素晴らしい茶館を知っている」と誘い出します。指定された店に到着すると、メニューを見せずに数種類のお茶を勧められます。数杯飲んだ後、会計時に2,000元から10,000元(約4万〜20万円)という法外な金額を請求されます。支払いを拒むと、店の奥から威圧的な態度の店員や用心棒が現れ、ATMまで同行して現金を引き出させることもあります。近年は「美術展への誘い」を組み合わせる派生型も確認されています。
対策:
路上で見知らぬ人から声をかけられても、安易に同行しないことが鉄則です。上海の現在の社会状況下では、学生が路上で外国人にいきなり声をかけて茶館に誘う行為は極めて不自然です。会話自体を楽しむのは自由ですが、飲食の誘いを受けた時点で「予定がある」と断り、その場を離れてください。万が一店に入ってしまい、法外な請求をされた場合は、その場での支払いを最小限に抑えつつ、すぐに110番通報するか、店を出た後に最寄りの派出所(外灘治安派出所など)に駆け込み、警察の介入を求めてください。
社会報復型・無差別襲撃犯
Social Retribution Attacker
グループ規模: 単独(ソロ)
ターゲット: 特定の個人ではなく、スーパーマーケットや地下鉄などの公共の場にいる不特定多数の市民および外国人。経済的困窮者や社会に恨みを持つ者が対象となる。
活動場所: 松江区の大型スーパー, 地下鉄9号線(合川路駅周辺など), 主要な公共広場, 日本人学校周辺
活動時間: 日中の混雑時間帯から夕方にかけて
手口:
2024年から2025年にかけて上海および中国各地で顕在化したリスクです。犯人は経済的な紛争、失業、または個人的な絶望を背景に、社会への報復を目的として犯行に及びます。刃物(包丁やサバイバルナイフ)を隠し持ち、人が密集する大型商業施設や地下鉄の駅構内などで、突如として周囲の人々を無差別に切りつけます。2024年9月の松江区ウォルマート事件では、3人が死亡、15人が負傷するという甚大な被害が出ました。犯行に予兆がなく、監視カメラ網の抑止力が及びにくい突発的な暴力である点が特徴です。政治的・外交的な緊張が高まっている時期には、特定の国籍を持つ者が集まる場所が狙われる可能性も否定できません。
対策:
常に周囲の状況に気を配る「シチュエーション・アウェアネス」が重要です。公共の場で叫び声、怒号、または人々が一斉に逃げ出すような動きを察知した場合は、理由を確認しようとせず、即座に反対方向へ避難してください。大型商業施設では非常口を事前に確認する習慣をつけ、事件発生時は「逃げる、隠れる、戦う(最終手段)」の原則に従います。地下鉄利用時はドア付近でのスマホ操作を控え、周囲に不審な動きをする者がいないか注視してください。また、政治的記念日や日中関係が緊張している時期は、不特定多数が集まる場所への露出を最小限に抑えることが推奨されます。
マッチングアプリ・バー詐欺(KTV詐欺)
Dating App / Bar Scam
グループ規模: 女性1名と店側の共犯者数名
ターゲット: マッチングアプリを利用している単身の外国人出張者や旅行者。言葉の壁があり、現地の相場感に疎い男性が主なターゲット。
活動場所: 茂名南路, 巨鹿路, 静安寺周辺の路地裏
活動時間: 20:00 - 03:00(夜間の繁華街)
手口:
犯人はTinderや探探(TanTan)などのアプリで魅力的な女性を装い、ターゲットに接近します。短時間のメッセージ交換の後に「会って飲みましょう」と誘い、女性側が特定のバーやKTV(カラオケ店)を指定します。店に入ると、女性が次々と高額なシャンパンやワインを注文し、時には店側も「サービス」と称して勝手にボトルを開けます。会計時に数十万円単位の請求がなされ、支払えない場合は強面の男たちに取り囲まれ、スマートフォンの電子決済を強要されます。2026年1月にも大規模な検挙がありましたが、組織を変えて同様の犯行が繰り返されています。オンラインでの出会いが実社会の犯罪に直結する典型的な手口です。
対策:
初対面の相手、特にマッチングアプリで知り合った相手が指定する場所には絶対に行かないことが最善の防御策です。会う場合は、リッツカールトンなどの有名ホテルのラウンジや、自分が事前に調べた信頼できる公共の場所を指定してください。相手が「自分の行きつけが良い」と頑なに場所を変えようとしない場合は、100%詐欺であると判断して連絡を絶ってください。万が一トラブルに遭った場合は、物理的な危険を避けるためにその場では最低限の支払いに留め、店舗の正確な場所と名称を記録した上で、すぐに110番通報してください。WeChat PayやAlipayの支払い履歴は有力な証拠となります。
闇タクシー(黒車)詐欺
Illegal Taxi (Hei-Che) Scam
グループ規模: 単独または客引きとのペア
ターゲット: 空港や駅から重い荷物を持って出てくる外国人。正規のタクシー列の長さに辟易している旅行者。
活動場所: 浦東国際空港, 虹橋駅, 上海火車駅
活動時間: 早朝・深夜(公共交通機関の空白時間)
手口:
浦東国際空港や虹橋駅の到着ロビー付近で、「タクシー?」「安いよ」と声をかけてきます。彼らは正規のタクシー乗り場ではなく、一般駐車場に停めてある自家用車(黒車)へと誘導します。乗車前には「メーター通り」や「一律100元」と説明しますが、目的地に到着すると「高速代」「深夜割増」「荷物代」などと称して、通常の3倍から5倍の料金を請求します。時にはメーターを不正に改造しており、異常な速さで料金が上がっていくこともあります。支払いを拒否すると、ドアをロックして降ろさないなどの強硬手段に出るケースも報告されています。
対策:
どれほど行列が長くても、必ず「出租車待客区」と書かれた正規のタクシー乗り場から乗車してください。また、配車アプリ「DiDi(滴滴出行)」の英語版を利用するのが最も安全です。DiDiは走行ルートがGPSで記録され、料金もアプリ内で自動決済されるため、ぼったくりの余地がありません。空港のスタッフや警察官を装って声をかけてくる詐欺師もいるため、身分証を提示されても信用せず、公式の案内板に従って移動してください。もし誤って乗ってしまいトラブルになった場合は、車内のプレート(あれば)を撮影し、110番通報することを伝えてください。
QRコードすり替え詐欺
QR Code Tampering Scam
グループ規模: 単独(設置は隠密に行われる)
ターゲット: キャッシュレス決済を利用する全ての利用者。特に屋台や個人経営の小規模店舗を利用する観光客。
活動場所: 田子坊の屋台, 豫園周辺の露店, 小規模な飲食店
活動時間: 終日(特に混雑する食事時)
手口:
上海のキャッシュレス化を逆手に取った手口です。犯人は深夜や早朝の隙を突いて、店頭に掲示されている支払い用のQRコードの上に、自分の口座に紐付いた偽のコードが印字されたステッカーを貼り付けます。客が代金を支払おうとスキャンすると、店主の口座ではなく犯人の口座に送金されてしまいます。店主が支払いの完了を確認できず、客との間でトラブルに発展するケースが多発しています。また、客が提示した支払い用QRコードを背後から盗撮し、別の端末で決済を横取りする「決済コード盗撮」の手口も存在します。
対策:
支払いの際は、可能な限り自分のスマホに表示させたQRコードを店側に読み取ってもらう「BスキャンC方式」を選択してください。自分がスキャンする「CスキャンB方式」の場合は、貼り付けられたQRコードに不自然な段差や剥がした跡がないかを確認し、スキャン後に表示されるアカウント名が店名と一致するか店主に確認してから送金ボタンを押してください。また、行列で待っている間に支払い画面を表示したままにしておくと盗撮されるリスクがあるため、読み取り直前に画面を表示させるようにしてください。
スリ・カバン切り裂き窃盗
Pickpockets and Slashers
グループ規模: 2-3人の連携グループ
ターゲット: 景色や自撮りに夢中になっている観光客。地下鉄のドア付近でスマホを操作している利用者。
活動場所: 地下鉄2号線・10号線, 外灘の展望エリア, 上海ディズニーランド周辺
活動時間: ラッシュ時(08:00-09:30、17:30-19:00)
手口:
監視カメラ網の普及により減少傾向にありますが、依然としてプロの窃盗集団は活動しています。混雑した地下鉄内や観光スポットで、一人がターゲットの注意を逸らし(わざとぶつかる、物を落とすなど)、もう一人が鋭利なカミソリでカバンの底や側面を切り裂いて、財布やスマートフォンを抜き取ります。また、地下鉄が駅に到着し、扉が閉まる瞬間にドア付近の乗客の手からスマホをひったくり、そのままホームに逃げ去る「ドア際ひったくり」も発生しています。犯行は数秒で行われ、気づいた時には犯人は群衆に紛れています。
対策:
カバンは必ず体の前面で抱えるように持ち、リュックサックを背負うのは避けてください。カッターでの切り裂きを防ぐため、防刃機能のある素材のカバンを使用するか、貴重品をカバンの奥底(切りにくい場所)に入れる工夫が必要です。地下鉄内ではドア付近でのスマホ操作を控え、特に駅の停車・発車時は警戒を高めてください。高価なスマートフォンや財布を公共の場でこれ見よがしに出さないことも重要です。被害に遭った場合は、上海の警察はカメラ捜査に長けているため、即座に110番通報して犯行時間を特定させてください。
公安・警察官詐称電話詐欺
Fake Police Phone Scam
グループ規模: 組織的なコールセンターグループ
ターゲット: 上海に滞在・居住している日本人を含む外国人。現地の法律や手続きに不安を感じている層。
活動場所: 非特定(通信圏内全域)
活動時間: 平日 09:00 - 18:00(公務員を装うため)
手口:
「上海市公安局」や「出入境管理局」の職員を名乗る人物から電話がかかってきます。内容は「あなたの名義の銀行口座がマネーロンダリングに使用されている」「あなたのビザに問題があり、強制送還の対象となっている」といった、相手を動揺させるものです。解決するためには「調査用のアカウント(犯人の口座)」に保証金を送金する必要がある、あるいは詳細を教えるために特定のアプリをダウンロードして個人情報を入力しろと指示してきます。非常に丁寧な口調で、時には本物の公安局の電話番号を偽装(スプーフィング)してかけてくるため、多くの人が騙されています。
対策:
中国の警察や公的機関が、電話で送金を要求したり、SNSを通じて捜査協力を求めたりすることは絶対にありません。そのような電話がかかってきたら、一切相手をせず即座に電話を切ってください。不安な場合は、その電話で教えられた番号ではなく、自分で調べた警察の公式番号や、在上海日本総領事館に相談してください。また、発信元が「+」から始まる番号や見知らぬ携帯番号の場合は警戒してください。個人情報を安易に教えず、相手の所属と氏名を控えた上で「こちらから公式番号にかけ直す」と伝えるのが効果的です。
反スパイ法・政治的拘束リスク
Political and Legal Risk (Detention)
グループ規模: 法執行機関(公安・国家安全部)
ターゲット: 軍事・政府施設周辺で撮影を行う者、敏感な時期に政治的発言をする者、研究者やビジネス出張者。
活動場所: 政府機関周辺, 軍事・港湾施設, 抗議活動現場
活動時間: 24時間(特に政治的敏感な時期)
手口:
犯罪ではありませんが、外国人にとって重大な「脅威」となり得るリスクです。「反スパイ法」の改正により、何がスパイ行為に該当するかの定義が極めて曖昧になっています。軍事施設、政府機関、あるいは港湾や特定のインフラ施設を意図せず撮影しただけで、取り調べや拘束の対象となる可能性があります。また、SNSでの中国政府に対する批判的な発言や、デモ現場の撮影、現地の人々との不適切な接触もリスクを孕みます。米国政府は「法執行の恣意的な運用」として警戒を呼びかけており、一度拘束されると弁護士の接見が制限されるなど、解決には極めて長い時間を要します。
対策:
政府機関、軍事施設、警察車両などが視界に入る場所での写真・動画撮影は厳に控えてください。「撮影禁止」の看板がなくても撮影しないのが賢明です。また、政治的に敏感な日(6月4日や9月18日など)には、公共の場での政治的議論や、日本語での大声を控えるなど目立たない行動を心がけてください。万が一警察から職務質問を受けた場合は、反抗的な態度は取らず、速やかに身分証(パスポート)を提示し、必要に応じて日本総領事館への連絡を求めてください。デバイス内のデータも検査対象となる可能性があるため、不用意な情報を持ち込まないことも重要です。
時間帯別リスク評価
上海は監視カメラ網により強盗などの凶悪犯罪は少ないですが、観光地での詐欺(昼〜夜)とバーエリアでのぼったくり(深夜)が二大リスクです。また、近年の経済不安や政治的緊張から、突発的な無差別事件や対日感情悪化への警戒が必要なフェーズに入っています。
早朝
安全05:00-08:00
上海の早朝は非常に平和で、リスクは極めて低いです。公園では太極拳やダンスを楽しむ高齢者が多く、清掃員や警察の姿も頻繁に見られます。物流車両や清掃車が活発に動くため、交通事故には注意が必要ですが、対人犯罪の報告はほとんどありません。2025年以降、主要駅周辺では武装警察による朝の検問が強化されており、セキュリティ意識は高い状態が維持されています。唯一の懸念は、深夜から飲み続けている酔客が残っているバーエリア周辺ですが、それも稀です。静かな散策を楽しむには最適な時間帯ですが、地下鉄の運行開始直後の混雑には注意してください。
脅威:
- ・大型清掃車両やデリバリーバイクによる交通事故
- ・地下鉄開始直後の主要駅(上海駅等)での置き引き
- ・前夜からの酔客によるトラブル(稀)
- ・不十分な照明下での段差による転倒
推奨:
- ・明るい大通りを選んで歩く
- ・自転車・バイク専用レーンへの進入を避ける
- ・地下鉄の初電を利用する際は貴重品を前に持つ
- ・不審な動きをする酔客からは距離を置く
日中
やや安全08:00-18:00
日中はビジネスと観光が混在し、上海で最も活気がある時間帯です。一般的な治安は良好ですが、観光地(外灘、南京路、豫園)では観光客を狙った組織的な詐欺が活発化します。「学生を装ったティーハウス詐欺」や「自称芸術学生による強引な絵画販売」が最も多く報告されています。また、地下鉄やバスのラッシュ時には、プロのスリが集団で行動し、カバンを切り裂いたりスマホを抜き取ったりする事案が発生します。2024年の松江区での襲撃事件以降、商業施設や駅での手荷物検査が厳格化されており、ナイフ等の持ち込みは即座に通報対象となります。公共の場での政治的議論や日本語での大声は、周囲の対日感情を刺激するリスクがあるため慎んでください。
脅威:
- ・外灘周辺でのティーハウス詐欺・お茶会詐欺
- ・ラッシュ時の地下鉄内でのスマホ・財布のスリ
- ・人民広場付近での偽装美術学生による詐欺
- ・不慣れな外国人への高額な「闇タクシー」勧誘
推奨:
- ・見知らぬ人からの「英語の練習」「写真撮影」の誘いを無視する
- ・リュックサックは前に抱えて持ち、ジッパーを意識する
- ・タクシーは正規乗り場かDiDiアプリのみを利用する
- ・政治的な施設やデモの予兆がある場所には近づかない
夕方〜夜
注意18:00-23:00
夜景を楽しむ観光客で外灘周辺が極度に混雑します。この時間帯は「物理的な安全」と「詐欺のリスク」が共存しています。外灘のプロムナードは監視の目が厳しいものの、あまりの混雑に紛れてスリ被害に遭うケースが散見されます。また、南京東路などの歩行者天国では、マッサージ詐欺や客引きが巧妙な言葉で誘ってきます。近年、経済的不満を背景とした突発的な暴漢事案が散発しているため、叫び声やパニックが起きた際は野次馬にならず、即座に建物の中や安全な場所へ避難してください。夕食時のレストランでは、スマホをテーブルに置いたまま席を立つなどの不用心な行動が、置き引き被害を招く主要な原因となっています。
脅威:
- ・外灘の夜景スポットでの密集に乗じたスリ
- ・南京東路裏路地へのマッサージ・高額バー勧誘
- ・レストランでの食事中の手荷物・スマホ置き引き
- ・電動バイクによる無音での背後からの接近・ひったくり
推奨:
- ・スマホや財布をパンツの後ろポケットに入れない
- ・客引きには「不要(ブーヤオ)」と毅然と断る
- ・混雑した場所では友人や家族と離れないよう注意する
- ・不審なパニックに遭遇したら反対方向へ速やかに離脱する
深夜
警戒23:00-05:00
深夜帯の上海は、昼間とは異なるリスクが顕在化します。特に茂名南路や巨鹿路などのバーエリアでは、マッチングアプリで知り合った相手に高額なバー(KTV)へ連れて行かれ、数十万円を請求される「ハニートラップ詐欺」が多発しています。深夜のタクシー利用では、正規のメーターを使用しない「黒車」とのトラブルが増加します。2025年末以降、日中関係の悪化に伴い、深夜の飲食店で日本人であるとわかると嫌がらせを受ける、あるいは喧嘩に巻き込まれるリスクが高まっています。街灯が少ない路地裏では監視カメラの死角も存在するため、一人歩きは避けるべきです。当局による突然の検問や身分証確認が行われることもあるため、パスポートの携行またはコピーの所持が必須となります。
脅威:
- ・マッチングアプリを介したハニートラップ・ぼったくりバー
- ・深夜の酔客同士による日中感情に端を発したトラブル
- ・闇タクシーによる不当料金請求や監禁(稀)
- ・照明の暗い路地裏でのひったくりや不審者
推奨:
- ・深夜移動は必ずDiDi(配車アプリ)で車両を呼ぶ
- ・知らない相手が指定した店には絶対に入らない
- ・日本語で大きな声を出して目立つことを避ける
- ・身分証明書(パスポート)を必ず携行する
旅行者タイプ別アドバイス
女性一人旅
★★★★☆上海は女性の一人歩きに対して世界的に見ても安全な都市です。監視カメラが非常に多いため、暴力的な性犯罪の発生率は極めて低く抑えられています。しかし、一人で歩いている女性観光客は詐欺グループにとって格好のターゲットになりやすく、親切心を装った声掛け(ティーハウスへの誘い等)には最大限の警戒が必要です。2026年現在のトレンドとして、SNS映えするスポットでの「無料撮影モデル」の誘いから高額請求に発展するケースも報告されています。夜間は明るい主要道路を選び、移動には必ず記録が残る配車アプリ(DiDi)を使用すれば、物理的な安全は高い水準で確保できます。
特有のリスク:
- ・「写真を撮ってほしい」という頼みから始まるティーハウス詐欺
- ・マッチングアプリでの勧誘による高額バーへの誘導
- ・観光地でのしつこい客引きや偽ブランド品販売のつきまとい
- ・深夜のタクシー内での不適切な発言やトラブル
推奨事項:
- ・「英語を教えたい」等の声掛けには「No, thank you」で即立ち去る
- ・夜間の移動は流しのタクシーより配車アプリ(DiDi)を優先する
- ・日本ブランドのバッグなど、一目で日本人とわかる格好を控える
- ・宿泊先は24時間フロント対応のある大手ホテルを選ぶ
- ・周囲に助けを求める際は「警察(110)」を呼ぶ意思を明確に示す
- ・人混みでは貴重品をバッグの奥底に入れ、口を閉じる
避けるべきエリア:
深夜の茂名南路や巨鹿路のバーエリアの裏路地, 夜間の上海駅周辺の安宿街, 人通りの少ない旧フランス租界の住宅地の暗がり
おすすめ宿泊エリア: 静安寺周辺や浦東陸家嘴の高級ホテル。または古北エリアの日系ホテル。
家族連れ
★★★★★上海は家族連れにとって非常に快適で安全な都市です。公共交通機関の利便性が高く、子供連れに対する周囲の視線も温かい傾向にあります。物理的な安全性は高いですが、最大のリスクは「迷子」と「交通事故」です。特に外灘やディズニーランドなどの超混雑スポットでは、一瞬の隙に子供を見失うリスクがあります。また、歩行者優先の意識が低いため、横断歩道でも右折車が突っ込んでくることが常態化しています。2025年以降、公共の場でのセキュリティチェックが厳しくなっており、ベビーカーもX線検査を通す必要があるため、移動には余裕を持ったスケジュールが不可欠です。
特有のリスク:
- ・外灘や南京東路の異常な混雑による子供の迷子
- ・信号が青でも突っ込んでくる右折車による交通事故
- ・不衛生な屋台料理による子供の食あたり・腹痛
- ・地下鉄の扉が閉まる速さによる「親子の乗り離れ」
推奨事項:
- ・子供に保護者の連絡先を書いたタグを持たせる
- ・外灘などの混雑地では絶対に手を離さない
- ・食事はデパート内の清潔なレストランを中心にする
- ・移動は地下鉄よりも多人数対応のDiDi(配車アプリ)を活用する
- ・救急対応可能な国際病院(嘉会病院等)の場所を把握しておく
- ・地下鉄乗降時は必ず大人が先に乗り、子供を誘導する
- ・観光スポットの行列では割り込みに注意し、距離を保つ
避けるべきエリア:
国慶節や春節期間中の外灘・南京東路(極度の混雑), 宝山区などの工業地帯・大型車両の多いエリア, 夜間の喧騒が激しい繁華街の裏通り
おすすめ宿泊エリア: 新天地周辺や浦東のサービスアパートメント。古北エリアの家族向けホテル。
ビジネス渡航
★★★☆☆ビジネス渡航者にとって上海は、物理的な治安よりも「法的・政治的リスク」が最大の関心事となります。「反スパイ法」の恣意的な運用により、意図しない写真撮影(軍施設や政府ビル周辺)や現地知人との接触が取り調べの対象となる可能性があります。また、経済・金融データの取り扱いにも厳格な制限があり、デバイスの没収や出国禁止(Exit Ban)の事案が2025年にも報告されています。一方で、一般的な犯罪(ノートPCの盗難等)については、ホテルやオフィスビル内のセキュリティが非常に堅固なため、リスクは低いです。ただし、駅や空港での充電中に目を離した隙の盗難には注意が必要です。対日感情の悪化時は、ビジネスの場でも日本語の使用に配慮が求められます。
特有のリスク:
- ・反スパイ法抵触を疑われる行為(不適切な写真撮影等)
- ・重要データの持ち出しやネット利用に伴うデジタル監視・拘束
- ・駅・空港の待合室でのノートPCや重要書類の置き引き
- ・タクシー利用時の高額領収書偽造や支払いトラブル
推奨事項:
- ・政府機関や軍事関連施設にはカメラを向けない
- ・仕事用のデバイスにはVPNを使用せず、公式ローミングを推奨
- ・身分不相応な接待やマッチングアプリでの出会いを避ける
- ・緊急時の連絡先として勤務先と総領事館を即座に呼べるようにする
- ・重要な商談内容を公共の場所(カフェ等)で大声で話さない
- ・万が一の拘束に備え、現地の弁護士連絡先を確認しておく
- ・宿泊先はセキュリティの強固な五つ星ホテルを指定する
避けるべきエリア:
政府庁舎や軍事・研究施設周辺の路地, 政治的議論が激しいネットカフェやバー, 松江区などの襲撃事件が発生した場所の近くの集会所
おすすめ宿泊エリア: 浦東陸家嘴または静安区の高級ビジネスホテル。
バックパッカー
★★★☆☆低予算で旅をするバックパッカーにとって、上海は比較的安全ですが、コストを削ることでリスクが増大する側面があります。格安の「招待所(簡易宿泊所)」や一部のドミトリーでは、外国人登録が正しく行われないことによる法的トラブルや、同室者による盗難リスクがあります。また、観光地で安価なサービス(闇ガイドや格安ツアー)を利用しようとして詐欺に遭うケースが最も多い層です。2026年現在、キャッシュレス化が極限まで進んでおり、現金のみでの旅は極めて困難で、モバイル決済のトラブルが立ち往生に直結します。通信環境(VPN対策)をケチることで最新の安全情報が得られず、政治的に敏感なエリアに迷い込むリスクも懸念されます。
特有のリスク:
- ・安宿でのパスポートや現金、ガジェットの盗難
- ・街頭での「格安現地ツアー」を装ったぼったくり詐欺
- ・モバイル決済不能による移動・食事の立ち往生
- ・不認可の宿泊施設への滞在による警察の立ち入り・罰金
推奨事項:
- ・外国人が宿泊可能な「涉外」認定のある宿か必ず確認する
- ・Alipay/WeChat Payの予備手段(現金・予備カード)を確保する
- ・安易な日本語の勧誘には一切乗らない
- ・公共WiFiは使わず、信頼できるSIMカードを日本から用意する
- ・貴重品はドミトリーでも常に身につけるか、鍵付きロッカーへ
- ・移動は地下鉄をメインにし、ルートを事前にオフライン保存する
- ・現地の最新ニュース(日中関係等)を毎日チェックする
避けるべきエリア:
上海駅や上海南駅周辺の無認可の格安宿泊施設, 観光客を狙った闇業者が多い郊外のバス乗り場, 夜間の静かな住宅街(古い路地裏)
おすすめ宿泊エリア: 長寧区や静安区の認定ホステル。または格安ビジネスホテルチェーン。
安全な宿泊エリア
浦東新区・陸家嘴(Lujiazui)
★★★★★上海の金融中心地であり、最高水準の監視網と警備が敷かれています。2025年末の統計でも犯罪発生率が市内で最も低く、夜間の独り歩きも極めて安全です。高級ホテルが密集しており、多言語対応も万全です。広大な公園や整備された遊歩道があり、家族連れやビジネス渡航者にも最適です。政治的に安定している時期であれば、上海で最も治安の懸念が少ないエリアと言えます。
例: ザ・リッツ・カールトン上海・浦東, グランド・ハイアット・上海
静安区・静安寺周辺(Jing'an Temple Area)
★★★★★洗練された商業施設と高級レジデンスが並ぶエリアで、外国人居住者が非常に多く、警察の巡回密度が高いのが特徴です。夜遅くまで街灯が明るく、女性の一人歩きも不安がありません。静安公園周辺は住民の憩いの場となっており、非常に落ち着いた雰囲気です。最新の防犯カメラシステムが路地裏までカバーしており、物理的な危険が極めて少ない推奨エリアです。
例: ザ・プリ・ホテル&スパ, スイスホテル・グランド上海
長寧区・古北(Gubei)
★★★★★上海最大の日本人街として知られ、日本語が通じる施設や日系スーパーが多数存在します。コミュニティの結束が強く、警備員の配置も非常に厳重です。不慣れな旅行者にとって、言葉の壁によるトラブルを避けられる点は大きなメリットです。対日感情が悪化している時期でも、このエリア内では過度な懸念なく過ごせることが多く、初めての上海滞在に最も適した安全地帯です。
例: オークラガーデンホテル上海(周辺), ホテル・ニッコー上海
黄浦区・新天地(Xintiandi)
★★★★☆歴史的な石庫門建築を再開発した高級商業地区で、富裕層や外国人観光客が集まります。地区全体が管理・監視されており、不審者の進入が厳しく制限されています。オープンカフェやバーが立ち並び、深夜まで人通りが絶えませんが、泥酔者によるトラブルも稀です。洗練された環境で治安は良好ですが、観光客を狙った物乞いが稀に出没するため、手荷物への注意は必要です。
例: ザ・ランガム上海新天地, アンダーズ新天地上海
徐匯区・旧フランス租界(Former French Concession)
★★★★☆プラタナスの並木道と歴史的洋館が広がる閑静な住宅街で、文化的な落ち着きがあります。治安は非常に安定しており、静かな滞在を望む旅行者に適しています。小規模なブティックホテルや隠れ家的なレストランが多く、地元住民の目が行き届いているため、突発的な凶悪事件のリスクが極めて低いです。夜間は一部暗い路地があるため、大通り(淮海中路など)に近い宿を選ぶとより安全です。
例: カペラ上海・建業里, インターコンチネンタル上海瑞金
交通機関の安全情報
地下鉄・メトロ
上海の地下鉄(メトロ)は全駅で手荷物検査(X線)が実施されており、治安は極めて良好です。しかし、1号線、2号線、10号線といった観光地を通る主要路線では混雑に乗じたスリが散発しています。特に、ホームから扉が閉まる瞬間に、ドア付近に立っている乗客のスマホを奪って逃げる「ひったくり」が報告されているため、駅の停車・発車時はスマホをしっかりと握るかバッグにしまうことが推奨されます。深夜23時を過ぎると多くの路線で終電を迎えますが、駅構内や周辺の照明は明るく、夜間の利用も比較的安全です。ただし、人民広場駅や世紀大道駅などの巨大な乗り換え駅では、複雑な構造ゆえにスリの隙が生まれやすいため、周囲への注意を怠らないでください。
タクシー・配車アプリ
流しのタクシーよりも、配車アプリ「DiDi(滴滴出行)」の利用が圧倒的に推奨されます。DiDiは走行ルートがリアルタイムで追跡され、乗務員の情報も明確であるため、事件・事故に巻き込まれるリスクが最小限に抑えられます。流しのタクシーを利用する場合は、大手4社(青:大衆、白:強生、黄:海博、緑:巴士)を選び、赤い車体の個人タクシーや、空港・駅で声をかけてくる「黒車(闇タク)」は絶対に避けてください。タクシー内での置き忘れは、レシート(発票)があれば特定可能ですが、DiDiならアプリから即座に連絡が可能です。近年、外国人向けのクレジットカード直接決済も可能になり、利便性と安全性が共に向上しています。
バス
上海のバス網は非常に発達しており、料金も2元程度と安価ですが、観光客にとってはやや難易度が高い交通手段です。車内での大きなトラブルは稀ですが、旧市街を走る路線や通勤ラッシュ時の混雑した車内ではスリに注意が必要です。バス停での待ち時間や乗降時に、背後のリュックから財布を抜かれる被害が報告されています。また、深夜バス(宵夜線)も運行されていますが、乗客が少ない時間帯の利用は避け、タクシーやDiDiを利用するのが賢明です。決済はWeChat PayやAlipay内の「乗車碼(交通カード)」を使用するのがスムーズで、現金のやり取りによるトラブルを防げます。
徒歩・自転車
上海の歩道は広く整備されていますが、電動スクーターの走行が非常に多く、歩行者との接触事故が頻発しています。電動スクーターは音が静かで背後から突然現れるため、歩行中や道を渡る際は常に周囲を確認してください。シェアサイクル(ハローバイク、美団など)は非常に便利ですが、自転車専用レーン以外での走行は厳禁です。夜間の独り歩きについては、静安区や浦東新区などの主要地区であれば照明も明るく、24時間営業のコンビニも多いため、他国の都市に比べて極めて安全です。ただし、古い路地裏や照明の少ないエリアでの深夜の一人歩きは、突発的な犯罪や社会報復型事件のリスクを考慮し、避けるべきです。
空港からのアクセス
浦東国際空港から市内への移動は、リニアモーターカー(マグレブ)または地下鉄2号線、空港連絡線が安全で確実です。マグレブは最高時速300km以上で龍陽路駅まで約8分で結び、警備も厳重です。2024年末に開通した「上海空港連絡線」は、浦東空港と虹橋空港・虹橋駅を約40分で結び、都市間移動の安全性を大きく向上させました。最大の警戒ポイントは空港到着ロビーでの「客引き」です。スタッフのような身なりで「地下鉄は止まった」「今日はこの道が閉鎖されている」と嘘をつき、高額な闇タクシーへ誘導する手口が横行しています。必ず公式の案内板に従い、正規の乗り場以外での交渉には一切応じないでください。
緊急連絡先
上海で緊急事態に遭遇した際は、まず「110」番通報を行ってください。オペレーターに「Japanese, please」と伝えれば、通訳を介した三者通話が可能です。盗難などの被害時は、最寄りの「派出所(Paichusuo)」へ直接向かい「報案(Bao'an)」と伝えてください。警察は非常に効率的ですが、手続きにはパスポートが必須です。事故や急病で救急車(120)を呼ぶ場合、中国では救急車は有料であり、搬送先で即座に支払いを求められることがあるため、クレジットカードと保険証券を常に携行してください。また、政治的トラブルや拘束の恐れがある場合は、直ちに在上海日本総領事館(021-5257-4766)へ連絡し、支援を求めてください。深夜や休日でも緊急連絡先が案内されます。
日本国大使館・領事館
上海の治安に関するよくある質問
上海の治安は良い?悪い? ▼
上海の治安は、世界的な大都市の中でも非常に良好と言えます。高度な監視カメラシステム「天網」の普及により、強盗やひったくりなどの物理的な暴力犯罪は激減しました。しかし、2026年現在は経済状況を背景とした社会的な不満による突発的な事件や、巧妙な組織的詐欺への警戒が必要です。夜間の外出も基本的には安全ですが、繁華街での見知らぬ人からの誘いには十分注意が必要です。
上海で危険なエリアはどこ? ▼
危険なエリアとしては、観光客が集中する「外灘(バンド)」や「南京東路」が挙げられます。ここでは暴力犯罪ではなく、言葉巧みに近づく「お茶会詐欺」などの組織的詐欺が横行しています。また、2024年に無差別事件が発生した松江区などの郊外商業施設では、現在も厳しい手荷物検査や警備が続いており、物理的な安全は確保されているものの、心理的な緊張感が漂う場所もあります。
上海旅行はやばい?本当に行って大丈夫? ▼
上海旅行が「やばい」と言われる背景には、近年の社会報復型事件や政治的リスクがあります。しかし、統計的には一般観光客が事件に巻き込まれる確率は極めて低いです。最も「やばい」現実は、日本人を狙った高額な詐欺被害です。フレンドリーに話しかけてくる人物を安易に信じず、正規の店を利用するなどの基本ルールを守れば、過度に恐れる必要はありません。
上海は女性一人でも怖くない? ▼
女性の一人旅でも、上海は夜間の明るい場所であれば歩くことに恐怖を感じることは少ないでしょう。監視カメラの存在が抑止力となり、深夜のタクシー利用も比較的安全です。ただし、マッチングアプリを悪用したバー詐欺や、強引な客引きには注意が必要です。政治的にデリケートな時期には、公の場で大きな声で日本語を話すことを控えるなど、周囲への配慮があれば安全に楽しめます。
上海でスリに遭わないための対策は? ▼
上海でのスリ対策には、スマートフォンの管理が最も重要です。地下鉄の出口付近や混雑した車内での「ひったくり」に注意し、スマホは必ずストラップで固定するか、カバンの奥にしまいましょう。また、リュックは前に抱えて持つのが現地での基本です。外灘などの人混みでは、QRコード決済中や写真撮影中に背後から狙われるケースがあるため、周囲への警戒を怠らないでください。
上海で多い詐欺の手口は? ▼
代表的なのは「お茶会詐欺」です。学生を装った人物が英語で話しかけ、最終的に高額な茶代を請求します。他にも、出会い系アプリで知り合った女性に特定のバーへ連れて行かれ、数十万円の請求を受ける「KTV詐欺」や、空港での「闇タクシー(黒車)」による不当料金請求、店頭の支払い用QRコードがすり替えられているケースもあります。見知らぬ人の誘いには絶対に乗らないことが鉄則です。
上海で日本人が巻き込まれやすい犯罪は? ▼
日本人が巻き込まれやすい犯罪の筆頭は詐欺ですが、近年は「反スパイ法」に関連した拘束リスクも無視できません。軍事施設や港湾、デモ現場などを撮影したことで容疑をかけられるケースがあります。また、日中関係の緊張時には、些細な口論からトラブルに発展し、現地の警察に拘束される可能性もあります。政治的・宗教的な言動は控え、不測の事態を避ける慎重な行動が求められます。
上海旅行で注意すべきことは? ▼
キャッシュレス化が進んでいるため、QRコード決済アプリ(Alipay等)の準備は必須です。しかし、支払い時にQRコードを読み取る際は、不自然なステッカーが貼られていないか確認しましょう。また、身分証(パスポート)の携帯は義務付けられており、ホテルチェックインや高速鉄道利用時に必須です。公共の場所での政治批判や、未許可の軍事・重要施設への撮影も厳禁ですので注意してください。
上海で起こりやすいトラブルは? ▼
交通事故が非常に多く、歩行者優先の意識が低いため、横断歩道でも注意が必要です。また、デリバリーの電動バイクが歩道を走ることもあります。言葉の壁によるトラブルも多く、翻訳アプリの準備が推奨されます。さらに、インターネット規制により、日本で使い慣れたSNSが使えないトラブルも多いため、VPNや海外ローミングSIMの準備を事前に行っておくことが不可欠です。
上海で被害に遭ったらどうする? ▼
被害に遭った際は、速やかに警察(110番)へ通報してください。重大な事件の場合は、在上海日本国総領事館(021-5257-4764)にも連絡しましょう。詐欺で支払ってしまった場合、現地の警察は介入に消極的なケースもありますが、被害届(報案)を出すことは保険請求等に必要です。スマホを紛失した際は、決済アプリの不正利用を防ぐため、即座にアカウントの停止手続きを行ってください。
上海の治安詳細
上海の治安概要
2026年現在の上海は、世界最高レベルの監視カメラ網「天網」によって維持される、極めて治安の安定した都市です。路上での強盗や暴力的犯罪に遭遇する確率は、欧米の主要都市と比較しても格段に低いと言えます。しかし、物理的な安全が確保されている一方で、不動産不況や高失業率を背景とした社会不満による突発的な「無差別殺傷事件」や、巧妙化した「組織的詐欺」が現在の主要な懸念材料となっています。観光客は物理的な防犯に加え、政治的情勢への配慮と、見知らぬ人からの親しげな誘いに対する強い警戒心を持つことが、安全を確保する上での鍵となります。
上海は危険?やばい?
上海は「危険」か「やばい」かという問いに対し、観光客として普通に行動する分には「非常に安全」と言えます。しかしリスクの質が変化しており、かつての窃盗中心の治安から、現在は「お茶会詐欺」や「マッチングアプリ詐欺」といった高額な金銭的被害、さらには「反スパイ法」に伴う拘束リスクや「社会報復型の無差別襲撃」といった予測困難なリスクが顕在化しています。これらは単なる防犯意識だけで防ぐことが難しく、現地の社会情勢やニュースに敏感である必要があります。特に日本人学校周辺などでは警備が強化されており、政治的文脈での「やばい」状況を理解した行動が求められます。
上海は怖い?一人旅でも大丈夫?
上海は夜道でも明るく、女性一人旅であっても物理的な恐怖を感じる場面は少ないでしょう。監視カメラが至る所にあり、深夜の移動も比較的安全です。しかし、外国人女性一人を狙った「学生を装う詐欺グループ」が観光地に潜んでおり、親切心や英語の練習を装ったトラブルが絶えません。また、政治的にデリケートな時期には、公の場で日本語を大声で話すことに不安を感じる場面もあるかもしれません。言葉の通じない環境でのリスクを軽減するため、翻訳アプリやオフラインマップを常備し、信頼できる正規の交通機関を利用するなど、基本的な自己防衛を徹底すれば過度に怖がる必要はありません。
スリ・詐欺・犯罪の実態
現在の上海で最も警戒すべき犯罪は「お茶会詐欺」です。大学生や国内観光客を装った犯人が流暢な英語で話しかけ、親しくなった後に高額な茶館へ誘導し、数十万円を請求する手口が定着しています。また、出会い系アプリを介した「KTV(カラオケ)詐欺」や、空港での「闇タクシー(黒車)」による高額請求も依然として存在します。一般犯罪では、地下鉄出口付近でのスマホひったくりが継続的に発生しており、歩きスマホ中の隙を狙われます。近年はさらに、QRコードをすり替えて送金先を偽装するサイバー犯罪も増加しており、暴力は伴わないものの、巧妙な心理戦や組織的な計画に基づいた犯行が目立ちます。
上海旅行で注意すべきポイント
最大の注意点は「見知らぬ人物のフレンドリーな声掛けを安易に信じないこと」です。南京東路や外灘で「写真を撮ってほしい」「英語を勉強したい」という言葉は、詐欺の常套句です。また、政治的リスク回避のため、軍事・警察施設、港湾施設、重要政府機関やデモ会場などの撮影は厳禁です。キャッシュレス決済が主流なため、スマホの紛失やバッテリー切れは生活基盤を失うことに直結します。予備の決済手段やパスポートのコピー、在上海日本国総領事館の連絡先を常に把握しておくことが、トラブルを未然に防ぐための必須条件となります。
よくあるトラブル事例
観光中に「学生です」と話しかけられ、案内されたお茶屋で一口のお茶に数万円を請求された事例が多発しています。断ろうとすると屈強な男が現れ、支払いを強制される悪質なケースもあります。また、浦東空港で「公式タクシーは一時間待ちだ」と言われ、誘導された一般車両で法外な高速代を上乗せされた事例も報告されています。最近では、WeChat Payで支払ったつもりが、実は店頭に貼られた偽のQRコードステッカーを読み取っており、店主から未払いを指摘され、結果的に二重に支払うことになったというトラブルも増えています。
被害に遭った場合の対応
万が一被害に遭った場合は、直ちに最寄りの「派出所(警察署)」へ向かい、被害届(報案)を提出してください。言葉が不安な場合は、翻訳アプリやホテルのスタッフに助けを求めましょう。強引な支払いを求められた際は、身の安全を最優先に考え、無理な抵抗は避けてください。クレジットカード被害の場合は即座にカード会社へ連絡し利用停止を行います。パスポートを紛失した場合は、速やかに在上海日本国総領事館へ連絡し、再発行や「帰国のための渡航書」の手続きを確認してください。事件性が高い場合は、証拠となる写真や音声を保存しておくことも有効です。
その他の情報
ベストシーズン
安全面と快適さから見たベストシーズンは、4月〜5月と10月後半〜11月です。この時期は気候が安定しており、台風や猛暑によるトラブルが少ないです。特に10月後半は国慶節の大型連休(10月1日〜7日)が終わった直後で、外灘などの激しい混雑が緩和され、スリや迷子のリスクが低下します。また、重要な政治イベントが開催されることが多い3月や11月初旬(輸入博覧会)を避けることで、突発的な交通規制や当局による厳格な検問に巻き込まれる可能性を低減できます。
言語のヒント
上海では英語が通じる場所は限られています。以下のフレーズは安全確保に役立ちます。「不要(ブーヤオ / いりません)」:しつこい客引きに。「报警(バオジン / 通報する)」:犯罪に巻き込まれた際に。「我迷路了(ウォミールーラ / 迷子になりました)」:助けを求める際。また、タクシーでは「去ここ(チュ〜 / 〜へ行って)」と住所や地図を見せるのが基本です。緊急時には「我是日本人(ウォシー・リーブンレン)」と伝えることで、総領事館への連絡を促すことができます。翻訳アプリ(DeepLや百度翻訳)を事前にダウンロードしておきましょう。
文化・マナー
上海は非常に現代的ですが、文化的なマナーが治安に直結します。第一に、政治的な発言、特に台湾、香港、日中戦争、共産党批判に関する議論は公共の場では厳禁です。これらは反スパイ法に基づく通報対象になる恐れがあります。第二に、政府ビルや軍施設、警察官にカメラを向けないこと。意図せず撮影しても取り調べを受けることがあります。第三に、対日感情です。9月18日(満州事変)などの敏感な記念日前後は、日本語で大声を出すことを避け、慎重に行動してください。監視カメラ(天網)により「見られている」ことを意識した行動が、トラブル回避の最大の鍵となります。