総合評価
一般的な犯罪率は極めて低い一方で、2024年以降に急増した社会不満を背景とする無差別殺傷事件や、反スパイ法の恣意的運用による邦人拘束リスク、出国禁止措置といった国家権力によるリスクが安全評価を複雑にしています。監視社会による抑止力と、予測不能な法的リスクの二面性を理解する必要があります。
身体的安全 (B-)
公式の凶悪犯罪率は低いですが、2024年から2025年にかけて学校周辺や公共の場での無差別刺傷事件が頻発しています。以前のような「外国人は安全」という神話が崩れつつあり、日本人学校周辺を含め、公共の場での周囲への警戒を一段階上げる必要があります。
医療・衛生 (B)
北京・上海等の大都市では国際水準の医療が受けられますが、費用は非常に高額です。一方で地方都市や農村部では衛生・医療水準が急激に低下します。大気汚染は以前より改善傾向にありますが、依然として呼吸器疾患のリスクがあり、水道水の飲用は全域で不可です。
詐欺・スリ (B+)
キャッシュレス決済の普及により、物理的なスリやひったくりは激減しました。しかし、外国人観光客を狙った伝統的な「茶館詐欺」や「アートギャラリー詐欺」は観光地で依然として横行しています。また、支払用QRコードのすり替えといったデジタル詐欺には注意が必要です。
テロリスク (A-)
政府による極めて強力な監視・治安維持体制により、組織的なテロ組織による攻撃リスクは非常に低い状態にあります。ただし、当局は「三つの勢力」を最大の脅威として厳戒態勢を敷いており、新疆やチベット等の特定地域では検問や手荷物検査が日常的に行われています。
最新インテリジェンスレポート
2026年現在、中国の治安状況は「高度な監視による一般的犯罪の抑制」と「予測困難な社会・政治的リスク」の共存という特徴を持っています。公安当局による『天網システム』等のAI監視網により、強盗や窃盗などの街頭犯罪は世界でも稀に見る低水準を維持しています。しかし、国内経済の停滞と若年層の失業率高止まりを背景に、社会への報復を目的とした無差別殺傷事件が2024年後半から全国で散発しており、これまでの『絶対的な安全』という認識は修正を迫られています。特に日本人を標的とした可能性が否定できない事件も発生しており、日中関係の緊張度合いに比例して現地での言動に細心の注意を払う必要があります。また、改正『反スパイ法』の施行以降、不透明な基準での拘束事案が続いており、ビジネスマンや研究者にとっての法的安全性の確保が喫緊の課題となっています。
背景分析
政治面では、習近平指導部による一党支配体制が極めて強固であり、社会の安定が最優先事項とされています。2025年の第15次5カ年計画の策定に伴い、国家安全保障の定義がさらに拡大され、経済や技術分野もその対象となりました。これにより、以前は通常のビジネス行為とみなされていた情報収集が「スパイ行為」と解釈される法的リスクが増大しています。経済面では、不動産バブルの崩壊以降のデフレ圧力と、2025年11月時点で5.1%(若年層は約19%)とされる高い失業率が深刻な社会不安を生んでいます。この経済的困窮が「社会報復型犯罪(張献忠現象)」の引き金となっており、犯行の動機が個人的な絶望にあるため、事前の検知が極めて困難な状況です。人口動態としては、急速な少子高齢化が進み、社会保障費の増大が地方政府の財政を圧迫し、一部地域での公共サービスの質低下が懸念されています。対外関係、特に日中関係においては、処理水問題や領土・歴史問題を巡る対立が続いており、SNS上でのナショナリズムの激化が実社会での排外主義的な行動に結びつくリスクを常に孕んでいます。ビザ免除措置の再開により人的交流は回復傾向にありますが、安全保障環境の厳格化という構造的課題は解消されていません。
重要ポイント
- WeChat PayやAlipayの導入は必須であり、現金のみでの旅行は事実上困難。
- 「反スパイ法」のリスクを避け、軍事・政府施設やデモ現場の撮影は厳禁。
- 日本人学校や日本大使館周辺など、シンボリックな場所での警戒を怠らない。
- 改正された法律により、SNSでの政治的発言は出国禁止や拘束に繋がる可能性がある。
- 宿泊時の外国人登録(宿教)は派出所への届け出を含め極めて厳格に行うこと。
- 『社会報復型』の犯行を防ぐため、広場や学校周辺などの混雑場所での背後に注意。
- VPNは個人の使用で即逮捕されることは稀だが、公式には違法であり監視下にある。
- 地方の医療水準は低いため、必ず高額補償の海外旅行保険に加入すること。
- タクシー利用時は必ずDiDiなどの配車アプリを使用し、移動履歴を記録に残す。
- 新疆やチベットへの渡航は、最新の制限情報と許可証の要否を確認すること。
- ティーハウス詐欺などの古典的手口は、北京・上海の観光地で今なお健在。
- 緊急連絡先(110番)は日本語が通じない前提で、翻訳アプリを準備しておく。
各国政府の渡航情報
| 情報源 | 警戒レベル |
|---|---|
| 日本外務省 | レベル1:十分注意してください |
| アメリカ国務省 | Level 2: Exercise Increased Caution |
| イギリス外務省 | Exercise a high degree of caution |
| カナダ政府 | Exercise a high degree of caution |
| ドイツ外務省 | Normal / Partial Caution |
| フランス外務省 | Vigilance Renforcée (Yellow) |
地域別リスク評価
新疆ウイグル自治区
厳戒態勢・政治的リスクリスクテロ対策の名目で街中の至る所に検問所と監視カメラがあり、外国人は頻繁に尋問やスマホ検査の対象となります。政治的に非常に敏感な地域です。
チベット自治区
渡航制限・高地リスクリスク入境には特別な許可証(入蔵証)とガイドの同行が必須です。無許可での立ち入りは即拘束の対象となり、高山病のリスクも併発します。
ミャンマー国境付近(雲南省)
越境犯罪・薬物リスクリスク薬物密輸やオンライン詐欺集団の拠点に近く、治安当局が厳重に警戒しています。不用意な国境接近はトラブルの元となります。
北京・上海・広州などの大都市中心部
極めて安全リスク高度な警察網により、深夜の一人歩きも概ね安全です。ただし、近年は公共の場での無差別殺傷事件が発生しているため、油断は禁物です。
蘇州・深圳などの製造・工業都市
邦人標的リスクの警戒リスク過去に日本人学校周辺で殺傷事件が発生しており、邦人コミュニティ周辺では現在も当局による警備と個人の警戒が強化されています。
東北地方(黒竜江省・吉林省・遼寧省)
自然災害・インフラリスクリスク冬季の極寒と雪害による交通遮断が頻発します。また、北朝鮮国境付近では政治的な監視が非常に厳しく、写真撮影等に注意が必要です。
海南島および南部沿岸部
台風・自然災害リスク7月〜10月にかけて超大型台風の直撃を受けることが多く、航空便や高速鉄道のキャンセル、大規模な停電・浸水被害が発生しやすい地域です。
内陸部農村地域
医療欠如・言葉の壁リスク英語が全く通じず、医療インフラが著しく不足しています。怪我や急病時の対応が極めて困難であり、緊急搬送も期待できません。
国内安全マップ
中国全土の治安は、世界トップクラスの『監視密度』に支えられています。街中での窃盗や強盗に遭遇する確率は他の先進国よりも低いですが、2024年以降の社会情勢により、特定の標的を持たない無差別な暴力事件が新たな脅威となっています。また、外国人は常に当局の監視システムの一部(宿泊登録、顔認証、スマホの位置情報)であることを自覚し、現地の法とマナーを遵守することが最大の安全対策となります。
警備が世界で最も厳しいエリアの一つです。複数の検問所があり、身分証提示が必須。写真撮影の制限も多く、不注意な行動が拘束に繋がるリスクがあります。
リスク: 厳重な検問, 写真撮影制限, スパイ容疑リスク
詳細ページへ →主要な観光地で、夜間も非常に安全です。ただし、週末や連休は極度の混雑となり、スリや迷子、将棋倒し事故への警戒が必要です。
リスク: 群衆事故, スリ, 客引き詐欺
詳細ページへ →テロ対策による極限の監視体制下。外国人は常に警察の監視対象となり、スマホの内容検査が行われることもあります。政治的リスクが極めて高いエリア。
リスク: 不当な拘束, プライバシー侵害, 移動制限
香港との境に位置し、人流が非常に激しい。密輸などの犯罪への警戒が強く、呼び込み詐欺やスリが他のエリアよりも多い傾向にあります。
リスク: スリ, ぼったくり, 偽造通貨
詳細ページへ →観光インフラが整っており、非常に平和なエリアです。家族連れも多く、一般的な犯罪リスクは非常に低いですが、非公式のツアー勧誘には注意。
リスク: 非公式ガイドの勧誘
詳細ページへ →過去に邦人を狙った殺傷事件が発生。当局による警備は強化されていますが、排外主義的な個人による単独犯行への警戒が現在も必要です。
リスク: 無差別殺傷事件, 排外主義的行動
詳細ページへ →入蔵許可証が必要な管理区域。宗教施設周辺では警察の監視が極めて厳しく、無許可の撮影や政治的発言は即座に拘束対象となります。
リスク: 渡航制限, 政治的拘束, 高山病
多民族が混在するエリア。以前より浄化されましたが、依然として偽ブランド品販売や薬物関連の取り締まりが多く、治安の不安定さがわずかに残ります。
リスク: 偽物販売トラブル, 薬物取締
詳細ページへ →東南アジアからの薬物密輸ルートにあたるため、高速道路や駅での検問が非常に厳しいです。バックパッカーは荷物検査を覚悟してください。
リスク: 厳重な薬物検問, 越境犯罪
犯罪・治安情報
犯罪統計
詐欺
リスク: 4/5多発エリア: 北京・王府井, 上海・南京東路, 西安・回民街, 主要地下鉄駅周辺
手口:
- ティーハウス詐欺(学生を装い高額請求)
- アートギャラリー詐欺
- 偽警官による現金の抜き取り
対策:
- 見知らぬ人の誘い(特にお茶や展示会)には絶対に乗らない
- 支払用QRコードが正規のものか目視で確認する
- 公的身分証の提示を求められたら派出所への同行を逆提案する
伝統的な街頭詐欺は減少しているが、ネット・QRコードを介したデジタル詐欺は増加傾向にある。
凶悪犯罪
リスク: 3/5多発エリア: 学校周辺, 駅の広場, ショッピングセンター, 公園
手口:
- 刃物による無差別襲撃
- 車両の歩行者天国への突入
- 個人的な恨みによる公共の場での爆発
対策:
- 公共の場でイヤホンをして周囲の音を遮断しない
- 不自然に刃物を持っている人物や不審な挙動の車両から距離を置く
- 出口に近い場所に位置取り、避難経路を意識する
公式の殺人率は0.5(10万人あたり)と極めて低いが、2024年以降の『社会報復型』事件は体感治安に大きく影響している。
スリ・窃盗
リスク: 2/5多発エリア: 観光地の混雑エリア, 地下鉄の乗降口, 夜市, 長距離バス車内
手口:
- スマートフォンや財布の抜き取り
- リュックサックを刃物で切り裂く
- 飲食店の背もたれにかけたバッグの盗難
対策:
- バッグは必ず体の前に持つ
- 高価なスマートフォンを不用意にポケットに入れない
- 現金よりもキャッシュレス決済を利用し、財布の露出を避ける
キャッシュレス化の進展により、物理的な窃盗は2019年比で30%以上減少している。
cyber_crime
リスク: 4/5多発エリア: 公共のフリーWi-Fi, SNS上の偽アカウント, 非公式アプリ
手口:
- Wi-Fi経由のパスワード窃取
- 公式決済アプリを装ったフィッシング
- 出会い系アプリを悪用した恐喝
対策:
- 公共のWi-Fiは使用せず、信頼できるローミングやVPNを利用する
- 身に覚えのないSMSのリンクは絶対に開かない
- 二要素認証を必ず設定する
テレコム詐欺およびサイバー犯罪は、現在当局が最も摘発に注力している分野である。
健康・医療情報
ワクチン情報
中国への渡航に際して、すべての渡航者に義務付けられている必須ワクチンはありませんが、黄熱感染リスク国からの入国時のみイエローカードの提示が求められます。推奨されるのは、A型肝炎、B型肝炎、破傷風の3種です。これらは都市部、地方を問わず、衛生環境や不測の事故に備えるために重要です。さらに、農村部での活動や1ヶ月以上の長期滞在を予定している場合は、日本脳炎や狂犬病の追加接種が非常に強く推奨されます。狂犬病については、中国国内で年間数千件の感染疑いがあるため、動物に近づかないことと併せて事前の防御が極めて有効です。出発の2ヶ月前までには医療機関に相談し、スケジュールを組むことが望ましいです。
| ワクチン | 必須/推奨 | 備考 |
|---|---|---|
| A型肝炎 | 推奨 | 中国全土で食中毒のリスクがあるため、滞在期間に関わらず強く推奨されます。特に地方部への渡航や生鮮食品を摂取する機会がある場合は必須級です。 |
| B型肝炎 | 推奨 | 医療処置や事故、現地での生活において血液感染のリスクがあるため、中長期滞在者に推奨されます。 |
| 破傷風 | 推奨 | 屋外活動や建設現場、農村部への訪問を予定している場合に推奨。怪我をした際の感染を防ぐために有効です。 |
| 日本脳炎 | 推奨 | 農村部に長期滞在する場合、特に蚊が発生する5月から10月にかけての渡航者に強く推奨されます。 |
| 狂犬病 | 推奨 | 中国全土でリスクがあり、野犬や野生動物との接触が想定される場合に推奨されます。暴露後の対応が困難な地域では特に重要です。 |
| 黄熱 | 推奨 | 感染リスクのある国から入国、または乗り継ぎを行う場合に、イエローカードの提示が法的義務となります。 |
| チクングニア熱 | 推奨 | 2025年現在、南部地域での症例が報告されているため、特に蚊の多い地域への渡航前に検討が推奨されます。 |
健康リスク
中国全土で注意すべきは、まず蚊媒介感染症です。南部(広東省や海南島)では雨季を中心にデング熱やチクングニア熱が発生しやすく、防蚊対策が必須です。また、鳥インフルエンザ(H5N1、H7N9等)のリスクもあり、生鮮市場での鳥との接触を避ける必要があります。狂犬病は、都市部の野良犬を含め、依然として深刻な脅威です。呼吸器系では、北京や上海といった工業都市や大都市においてPM2.5による大気汚染が深刻化する時期があり、喘息等の持病がある方はマスク着用や外出自粛の検討が必要です。さらに、手足口病やA型肝炎といった経口感染症も頻発しているため、手洗いの徹底と食品の加熱処理、生水の回避が健康維持の鍵となります。
医療施設
北京、上海、広州、深圳などの大都市には、欧米水準の医療を提供する外資系国際病院や、公立総合病院のVIP外来(特需門診)が存在し、英語や日本語での受診が可能です。これらの施設は高度な医療機器を備え、清潔感も保たれています。一方で、地方都市や農村部の病院は衛生面や技術面で大きく劣り、意思疎通も中国語に限られます。中国の医療システムは「支払い先、治療後」が徹底されており、高額なデポジットや保険証明がなければ受診を拒否されることもあります。国際病院の医療費は非常に高額になるため、キャッシュレス診療に対応した十分な補償額の海外旅行保険への加入が、物理的・心理的な安全を確保するために絶対に欠かせません。
入国・ビザ情報
ビザ要件: 日本国一般旅券保持者に対しては、2024年11月30日から2026年12月31日まで、30日以内の滞在(観光、商用、親族訪問、交流等)を目的とする場合のビザ免除措置が実施されています。この期間内であれば、事前にビザを取得することなく入国可能です。ただし、30日を超える滞在、または就労、取材、永住を目的とする場合は、事前に中国査証申請サービスセンター等で適切なビザを取得する必要があります。入国時には指紋採取が求められる場合があるほか、宿泊時の外国人登録(ホテル側が行うか、個人宅の場合は派出所へ届出)が法的に厳格に義務付けられており、怠ると罰金や拘束の対象となります。
パスポート有効期限
中国入国時に、パスポートの残存有効期間が6ヶ月以上あることが求められます。また、入国スタンプや必要な場合のビザ貼付用として、見開きで2ページ以上の空白ページがあることが強く推奨されます。残存期間が不足していると、搭乗拒否や入国拒否の対象となるため、出発前に必ず確認してください。
持ち込み禁止・制限品
中国の政治、経済、文化、道徳に有害とみなされる印刷物、写真、メディア(政治批判的な書籍、ポルノ、宗教宣伝物等)の持ち込みは厳禁です。また、5,000米ドル相当額を超える外貨を持ち込む場合は申告が必要です。生肉、卵、乳製品、果物などの動植物製品は持ち込み制限があり、無申告で見つかると没収および罰金の対象となります。ドローンについては、モデルや重量により持ち込みや使用に事前登録が必要です。
緊急連絡先
時間帯別安全情報
早朝
安全早朝(5時〜8時)は、清掃員や太極拳を楽しむ高齢者が多く、非常に平和です。主要都市の治安は極めて良好で、ジョギングなども安心して行えます。ただし、市場周辺では車両の動きが激しく、交通事故には注意が必要です。
安全な活動:
- ・公園での散歩
- ・ジョギング
- ・ローカルな朝食店での食事
避けるべきエリア:
- ・人通りのない狭い路地裏
- ・郊外の工事現場周辺
交通: 地下鉄、または公式のタクシー配車アプリ(DiDi)。
日中
安全日中(8時〜17時)は、監視カメラと警察官の巡回により街全体が非常に安全です。観光地での活動も問題ありませんが、前述の「ティーハウス詐欺」などの勧誘が最も活発になる時間帯でもあります。混雑した地下鉄内でのスリには一定の注意が必要です。
安全な活動:
- ・主要観光地巡り
- ・ショッピングモールでの買い物
- ・公共交通機関での移動
避けるべきエリア:
- ・デモや集会が行われている可能性のある広場(近づかないことが賢明)
交通: 地下鉄、バス、DiDi。公共交通機関は安価で安全です。
夕方〜夜
安全夕方から夜(17時〜22時)にかけては、繁華街やショッピング街が賑わいます。照明が明るく、治安は良好ですが、人混みに紛れたスリや、強引な土産物の売り込み、レストランでの過剰請求のリスクがわずかに高まります。主要な観光スポットは依然として安全です。
安全な活動:
- ・夜景鑑賞
- ・ディナー
- ・映画鑑賞
避けるべきエリア:
- ・闇タクシー(黒車)が客引きをしている場所
- ・違法な風俗店が並ぶエリア
交通: DiDiが最適。深夜便への移動などは地下鉄の終電時間に注意。
深夜
注意深夜(22時〜5時)は、大都市の中心部であれば依然として比較的安全ですが、人通りが急激に減るエリアや旧市街の暗い路地では、強盗や酔っ払いによるトラブルのリスクがあります。黒車(非認可タクシー)には絶対に乗らないでください。女性の一人歩きは、大通りを選び、配車アプリを使用することを強く推奨します。
安全な活動:
- ・ホテル内での滞在
- ・繁華街の大通りでの移動
避けるべきエリア:
- ・郊外の工業地帯
- ・街灯のない路地裏
- ・深夜のバー周辺
交通: DiDiのみを使用すること。アプリで位置情報を友人と共有する機能を活用してください。
季節別ガイド
春 (March - May)
気温: 10°C - 25°C
降水: 低〜中(地域により異なる)
服装: 重ね着ができる服装。朝晩の冷え込みに対応できるジャケットやパーカー。
おすすめ活動:
北京の故宮博物院観光, 杭州の西湖での散策, 上海周辺の古鎮巡り
リスク:
- ・黄砂・砂嵐による空気質の悪化
- ・朝晩の激しい寒暖差
夏 (June - August)
気温: 25°C - 38°C
降水: 高い(モンスーン・雷雨)
服装: 通気性の良い夏服。日焼け対策の帽子、サングラス、UVカット服。
おすすめ活動:
チベットや青海省などの高原地帯の旅行, 沿岸部での避暑, 内モンゴルの大草原観光
リスク:
- ・熱中症
- ・集中豪雨による交通の乱れ
- ・台風の接近(沿岸部)
秋 (September - November)
気温: 15°C - 25°C
降水: 低い(安定した快晴が多い)
服装: 長袖のシャツ、セーター、秋物コート。
おすすめ活動:
万里の長城の紅葉鑑賞, 西安の歴史遺産巡り, 成都でのパンダ基地訪問
リスク:
- ・国慶節(10月初旬)の極端な混雑
- ・空気の乾燥
冬 (December - February)
気温: -20°C - 15°C
降水: 非常に低い(北部は雪)
服装: 北部は本格的な防寒着(ダウン、手袋、ヒートテック)。南部は厚手のコート。
おすすめ活動:
ハルビンの氷祭り, 海南島でのリゾート滞在, 雲南省の避寒旅行
リスク:
- ・極寒による体調不良(北部)
- ・春節期間中の交通機関の麻痺
ベストシーズン: 観光に最適な時期は4月〜5月の春、および9月〜10月の秋です。この時期は気候が穏やかで、中国全土を快適に巡ることができます。特に秋は「秋高気爽」と呼ばれ、空が澄み渡り、北京などの歴史都市が最も美しく見える時期です。10月1日からの国慶節連休直後の10月中旬から下旬は、混雑も緩和され、紅葉も美しいため特におすすめです。
環境リスク
野生動物のリスク
野犬(狂犬病キャリア)
リスク: 4/5生息地: 中国全土の農村部、および地方都市の路地裏
野良犬や飼い主の不明な動物には絶対に近づかないでください。中国の狂犬病は依然として死亡率が非常に高く、咬まれたり引っかかれたりした場合は、直ちに傷口を大量の石鹸水で洗い、24時間以内に専門の医療機関で暴露後ワクチン(PEP)および血清の投与を受ける必要があります。可愛いからと手を出すことは命に関わります。
治療: 大都市の指定病院にはワクチンがありますが、地方では在庫がない場合があります。即座に「狂犬病暴露後門診」を探してください。
中国コブラ・毒蛇
リスク: 3/5生息地: 南部・南西部の森林地帯、田園地帯、公園の草むら
ハイキングや農村部を歩く際は、長ズボンと靴を着用し、茂みに不用意に足を踏み入れないようにしてください。蛇は刺激しない限り攻撃してきませんが、足元が見えない場所では杖などで地面を叩きながら歩くのが有効です。万が一咬まれた場合は、患部を心臓より低く保ち、蛇の特徴を記憶して救急搬送を待ってください。
治療: 主要都市の総合病院には抗蛇毒血清が備蓄されています。咬まれた蛇の種類を伝えることが治療を早めます。
ヒマラヤグマ(ツキノワグマ)
リスク: 3/5生息地: 四川省、雲南省、東北地方の山岳地帯
登山やトレッキングの際は、熊鈴やラジオを鳴らして自分の存在を知らせ、不意の遭遇を避けてください。食べ物のゴミは必ず持ち帰り、熊を誘引しないようにします。もし遭遇した場合は、目を逸らさずにゆっくりと後ずさりして離れてください。背中を向けて走るのは本能を刺激するため最も危険です。
治療: 重傷を負う可能性が高いため、救急搬送(120)を要請し、外科的処置が可能な大規模病院へ搬送する必要があります。
水の安全性
水道水: 飲用不可
中国全土において水道水はそのまま飲用できません。必ず市販のミネラルウォーターを購入するか、一度沸騰させた水を使用してください。歯磨き程度であれば水道水でも問題ないことが多いですが、胃腸が弱い方は避けたほうが無難です。また、高級ホテルであっても備え付けのポットで沸騰させた水を使用するか、提供されるボトル水を利用することを強く推奨します。
交通安全
事故死亡率: 約18.0人(世界保健機関推計)
歩行者リスク: 横断歩道であっても車両が優先される傾向が強く、右折車(赤信号でも右折可能な場合が多い)には特に注意が必要です。また、静音性の高い電動バイクが歩道を走行したり、逆走してくることが頻繁にあるため、歩行中も常に周囲の音に頼らず視覚で安全を確認してください。
公共交通: 地下鉄はX線による荷物検査が全駅で実施されており、車内も清潔で極めて安全です。高速鉄道(高鉄)は世界最高水準の安全性と定時性を誇ります。タクシーや配車アプリ(DiDi)も、走行ルートが記録されるため外国人にとって比較的安全な移動手段ですが、違法な「黒車(白タク)」は利用しないでください。
地域別ガイド
華北地域(北京・天津等)
レベル 1中国の政治の中心地であり、天安門広場や万里の長城、故宮博物院などの歴史遺産が集中します。警備は全国で最も厳重であり、街角に多数の警察官が配備されているため、一般的な治安は極めて良好。しかし、政治的に敏感な時期は検問が強化されます。
主要都市: 北京, 天津, 石家荘
特有リスク:
- ・政治施設付近での無断撮影による拘束
- ・冬季の深刻な大気汚染(PM2.5)
- ・観光地での高額なティーハウス詐欺
華東地域(上海・蘇州等)
レベル 2経済・金融の中心地で、国際色が豊かな地域。上海の外灘や蘇州の古典庭園など、近代と伝統が融合しています。日本人居住者が多くインフラも整っていますが、2024年の蘇州での襲撃事件以降、日本人学校周辺などの警戒レベルが高まっています。
主要都市: 上海, 蘇州, 杭州
特有リスク:
- ・日本人を標的とした可能性のある殺傷事件
- ・繁華街でのスリやひったくり
- ・観光客向けの骨董品詐欺
華南地域(広州・深圳等)
レベル 2「世界の工場」からハイテク拠点へと変貌した地域。深圳は最先端のテック都市として知られます。温暖な気候で活気がありますが、2024年に深圳で日本人児童殺傷事件が発生しており、滞在時は不審者や周囲の状況に十分な注意が必要です。
主要都市: 広州, 深圳, 珠海
特有リスク:
- ・無差別殺傷事件や車両突入事件
- ・夏季の大型台風と洪水
- ・配車アプリ以外での違法タクシー(黒車)トラブル
西南地域(成都・重慶等)
レベル 1パンダの故郷として知られる成都や、巨大立体都市の重慶を含む内陸部。食文化が豊かで観光客に寛容な雰囲気があります。自然災害(地震)のリスクが高い地域ですが、都市部のインフラは現代的。比較的治安は安定していますが、人混みには注意。
主要都市: 成都, 重慶, 昆明
特有リスク:
- ・四川盆地周辺での地震災害
- ・山間部での土砂崩れ
- ・一部の少数民族居住地での入境制限
西北地域(西安・新疆等)
レベル 3シルクロードの起点である西安から、広大な新疆ウイグル自治区に至る地域。歴史ロマンに溢れますが、新疆はテロ対策の名目で極めて厳格な監視下にあり、外国人旅行者は頻繁な検問や警察による追跡、スマートフォンの内容チェックを受ける可能性があります。
主要都市: 西安, ウルムチ, カシュガル
特有リスク:
- ・当局による執拗な尋問や監視
- ・政治的に敏感な地域への立入り制限
- ・砂嵐や極端な寒暖差
東北地域(ハルビン等)
レベル 1かつての満州地域であり、冬季の氷祭り(ハルビン)が世界的に有名。ロシア文化の影響も見られます。親切な人が多い一方で、歴史問題に敏感な地域でもあります。冬季の気温はマイナス30度を下回ることもあり、装備不足は命に関わります。
主要都市: ハルビン, 長春, 瀋陽
特有リスク:
- ・極寒による健康被害や交通麻痺
- ・歴史記念館付近での政治的トラブル
- ・路面の凍結による交通事故
経済・物価情報
経済概要
中国は世界第2位の経済大国であり、2025年のGDP成長率は約5.3%を達成。ハイテク産業や製造業の高度化を進めていますが、不動産市場の調整や国内消費の低迷、若年層の高い失業率といった構造的課題も抱えています。沿岸部と内陸部、都市部と農村部での経済格差が顕著です。
生活費・物価
旅行者の1日の予算目安は、安宿・街頭食中心なら300元〜。中級ホテルとレストランを利用すれば700元〜。高級志向なら2000元以上。北京・上海などの1級都市は東京と同等の物価ですが、タクシー代や交通費は日本よりかなり安価です。ミネラルウォーターは2元、地下鉄は3元程度から利用可能。
通貨情報
通貨は人民元(RMB/Yuan)。2026年1月現在、1元は約20〜22円。AlipayやWeChat Payが完全に社会インフラ化しており、外国人でも日本のクレジットカード(Visa/Mastercard等)を紐付けて決済可能です。現金は依然として法的通用力がありますが、お釣りの不足を理由に拒否されるケースが多発しています。
チップガイド
中国にはチップの習慣はありません。レストラン、タクシー、ホテルなどでも不要です。高級ホテルや格式高いレストランでは既にサービス料が含まれている場合があります。無理にチップを渡そうとすると混乱を招くか、拒否されることが一般的です。
予算ガイド
バックパッカー(予算300元/日):ドミトリー泊、ローカル食堂での麺類や屋台、地下鉄移動中心。ミドル(予算800元/日):3〜4つ星ホテル、中級レストランでの中華料理、DiDi(配車アプリ)利用。ラグジュアリー(予算2500元〜/日):外資系5つ星ホテル、高級火鍋や北京ダック、専用車手配や国内線ファーストクラス利用。
文化・マナー情報
歴史的背景
数千年の歴史を持つ文明国家であり、秦の始皇帝による統一から歴代王朝を経て、1949年に中華人民共和国が成立しました。改革開放政策(1978年〜)を経て急速な経済成長を遂げ、現在は共産党による強力な指導体制のもと、歴史的誇りと最先端技術を融合させた独自の社会主義現代化を進めています。
社会規範・マナー
「面子(メンツ)」を極めて重視する文化であり、人前で激しく叱責したり恥をかかせたりすることは避けるべきです。また、政治的話題(台湾、チベット、党批判など)は外国人であっても監視や通報のリスクがあるため、公共の場での議論は厳禁。列に並ぶ際の割り込みは減っていますが、主張が強い社会であるため明確な意思表示が重要です。
宗教・慣習
無神論を掲げる社会主義国家ですが、仏教、道教、イスラム教、キリスト教が共存しています。寺院やモスク訪問時は、大声で話さない、露出を控えるなどの配慮が必要。特定の宗教活動や布教は当局により厳しく規制されており、外国人が街頭や私的な場所で集会を行うことは拘束のリスクを伴います。
宿泊・食事ガイド
宿泊ガイド
中国では「外国人宿泊可」のホテル(渉外酒店)を選ぶ必要があります。大手予約サイト(Trip.com, Booking.com等)で確認。安宿や一部の民泊は外国人登録ができず、チェックインを拒否されることがあります。チェックイン時にパスポート提示が必須。政府が宿泊情報を把握するための「宿教(宿泊登記)」は、ホテル側が自動で行います。5つ星ホテルは非常に豪華でサービスも洗練されていますが、英語以外の対応は限定的です。
食事ガイド
「食は広州にあり」と言われる通り、広東料理、四川料理(辛)、北京料理、上海料理など多様。屋台(路辺攤)は衛生的リスクがあり、慣れない人は胃腸を壊す可能性があります。現在はモールのチェーン店や中級レストランが主流。WeChatのQRコードを読み込んで注文・決済するスタイルが一般的。水道水は飲めず、ミネラルウォーターは必須。高級店では「お湯(開水)」が出ることが多いです。
実用情報
通信・SIM
現地のSIMカード取得にはパスポートが必要。しかし、中国SIMではGoogleやLINEが遮断されます。回避には日本の「海外ローミング」や「香港SIM(中国本土対応版)」、または渡航前のVPN契約が必須。公共WiFiは中国の電話番号によるSMS認証が必要なことが多く、外国人には使いにくいです。eSIM対応スマホなら、遮断されないローミング用eSIMを事前に購入するのが最も推奨されます。
銀行・ATM
主要銀行(中国銀行、ICBC等)のATMでVisa/Mastercardによるキャッシングが可能。「Visa/Plus」や「Mastercard/Cirrus」のロゴを確認。手数料は銀行により異なりますが、1回20〜30元程度。現在は現金を引き出すよりも、日本のカードをAlipay/WeChat Payに紐付けて直接支払うのが主流です。200元以下の決済は手数料無料のケースが多いですが、紐付けカード自体の海外利用手数料は発生します。
郵便・配送
郵便局(中国郵政)は全土にあります。海外へのハガキは5元程度。荷物の発送(EMS)も可能ですが、内容物(液体、電池、本など)に対して極めて厳しい検閲があります。民間宅配の「順豊(SF Express)」は非常に高速で追跡も正確、アプリから簡単に呼べるため、国内配送にはこちらが推奨されます。
電源・アダプター
220V、50Hz。プラグはAタイプ(日本と同じ2本足)と、Oタイプ・Cタイプが混ざったマルチタイプが一般的。日本の100V専用機器(古いドライヤー等)は変圧器なしで使うと壊れます。スマホ充電器などは100-240V対応ならそのまま使用可能ですが、足が3本のタイプには変換プラグが必要です。
洗濯サービス
高級ホテルにはランドリーサービスがありますが、非常に高額。街中のコインランドリーは稀ですが、最近は「DiDi」のようなアプリで集荷・洗濯・配達まで行うサービス(e袋洗など)が普及しています。ホテルの近隣にある個人経営の「乾洗(ドライクリーニング)」店でも水洗いの依頼が可能です。
公衆トイレ
「トイレ革命」により大都市の主要観光地やモールのトイレは非常に綺麗になりましたが、依然として和式(スクワット型)が多く、トイレットペーパーが備え付けられていない場所が多々あります。常に水に流せるティッシュを持参してください。公共トイレの入口に顔認証式のペーパー配布機があることも。
主要都市ガイド
北京
Beijing
中国の首都であり、歴史遺産と近代ビルが同居。世界遺産が多数あり観光の核。警備密度は世界最高クラスで夜間歩行も安全ですが、政治的な敏感さは最大。デモや政府批判は即座に拘束対象となります。
主な観光地:
故宮博物院, 天安門広場, 万里の長城, 頤和園, 王府井
避けるべきエリア:
- ・中南海周辺(写真撮影禁止)
- ・政府庁舎付近
- ・深夜の三里屯裏通り
ベストシーズン: 4月-5月(春)、9月-10月(秋)
詳細ページへ →上海
Shanghai
中国最大の商業都市。地下鉄網が発達し、英語も比較的通じやすい。外灘の夜景が有名。洗練されていますが、観光地ではスリやティーハウス詐欺が依然として存在します。反スパイ法の適用事例もあり注意が必要。
主な観光地:
外灘(バンド), 豫園, 上海タワー, 新天地, 南京東路
避けるべきエリア:
- ・南京東路の客引き(詐欺)
- ・深夜の路地裏
- ・混雑した地下鉄駅
ベストシーズン: 3月-5月、10月-11月
詳細ページへ →成都
Chengdu
パンダ保護研究センターの拠点。食事が美味しく、のんびりした気風。主要都市の中では治安が安定しており、外国人への偏見も少なめ。ただし、チベット方面への移動拠点となるため一部監視は厳重。
主な観光地:
成都パンダ繁育研究基地, 寛窄巷子, 武侯祠, 錦里
避けるべきエリア:
- ・チベット民族居住区の一部(敏感な時期)
- ・許可のない軍事施設周辺
ベストシーズン: 3月-6月、9月-11月
詳細ページへ →深圳
Shenzhen
「中国のシリコンバレー」。平均年齢が若く活気に溢れる。決済から交通までフルデジタル化。2024年の事件を受け、日本人学校周辺などは非常に緊張感がありますが、一般市民はテクノロジーに詳しく合理的。
主な観光地:
世界之窓, 東門老街, 平安国際金融中心, 大芬油画村
避けるべきエリア:
- ・深夜の工業団地周辺
- ・人通りの少ない国境付近
- ・学校周辺(警戒中)
ベストシーズン: 10月-12月(台風シーズンを避ける)
詳細ページへ →西安
Xi'an
かつての長安。兵馬俑が世界的に有名。城壁に囲まれた旧市街は夜歩きも楽しく、イスラム街での食べ歩きが人気。観光に依存した都市のため、観光客保護には力を入れており、治安は良好です。
主な観光地:
兵馬俑坑, 西安城壁, 大雁塔, 回民街(イスラム街)
避けるべきエリア:
- ・郊外の無認可ツアー勧誘
- ・混雑時の駅周辺のスリ
ベストシーズン: 4月-5月、9月-10月
詳細ページへ →交通詳細ガイド
国内線フライト
中国の国内線は北京、上海、広州、深圳、成都などをハブとして網羅。Air China、China Southern、China Easternの3大航空会社が主力です。Trip.com等のアプリで簡単に予約可能。注意点は「遅延の多さ」で、軍事演習や天候の影響で数時間の遅延は日常茶飯事です。空港での保安検査は非常に厳しく、ライターや特定容量以上のモバイルバッテリーは即没収されます。搭乗ゲートが頻繁に変更されるため、モニターの常時確認が必要です。
鉄道・バス
高速鉄道(高鉄/Gao-tie)は世界最大・最高水準。正確、清潔、快適で、長距離移動の主流です。時速300km以上で主要都市を数時間で結びます。チケットは「12306」公式サイトやアプリ、Trip.comで予約し、パスポートがそのまま乗車券(eチケット)になります。長距離バス(長途汽車)は高鉄がカバーしない地方都市へ行く際に利用しますが、安全性や快適性は鉄道に劣ります。バスターミナルでの荷物検査も厳格です。
レンタカー・配車サービス
外国人が中国で運転するには現地の臨時免許が必要で、ハードルが高いです。代わりに必須なのが配車アプリ「DiDi(滴滴出行)」です。AlipayやWeChatのミニプログラムから利用でき、現在地と目的地を入力すれば料金が確定し、決済も自動。アプリ内に「位置共有」や「緊急通報」機能があり、タクシーより安全かつ透明性が高いです。DiDiの「専車(セダン高級便)」は非常に高品質。流しのタクシーは黒車(違法)のリスクがあるため避けましょう。
交通リスク評価
公共交通の治安は世界最高水準ですが、最大の法的リスクは「反スパイ法」関連です。軍事施設、政府機関、デモ、一部の国境施設などを車窓から撮影したり、GPS機器を不自然に使用したりすることは、スパイ容疑の対象になる可能性があります。また、高速鉄道駅や地下鉄駅では全荷物スキャンがあるため、刃物(カッターナイフ含む)やスプレー缶は没収されます。DiDi利用時は必ずアプリ上のナンバーと実際の車を確認すること。
都市別交通ガイド
北京
地下鉄: 25路線以上。全駅で荷物検査あり。ラッシュ時は猛烈な混雑。
バス: 網の目のように走るが、観光客には難易度高。二階建てバスは景色が良い。
タクシー: DiDiが主流。北京ダック有名店への移動などに便利。
徒歩・自転車: シェアサイクル(美団、ハロー)が至る所にあり便利だが、交通ルール無視の電動バイクに注意。
費用目安: 地下鉄3元〜、タクシー初乗り14元。
上海
地下鉄: 世界最長の地下鉄網。非常に清潔で分かりやすい。交通カード(交通カード)アプリが便利。
バス: トロリーバスが現役。観光路線も多い。
タクシー: DiDiが非常に捕まりやすい。夜間の外灘周辺は規制あり。
徒歩・自転車: 歩道が広く散策向きだが、電動バイクの無音走行に注意。
費用目安: 地下鉄3元〜、タクシー初乗り14元〜16元。
大使館・長期滞在情報
在外公館ネットワーク
在日本国大使館
Embassy - 北京
住所: 北京市朝陽区亮馬橋東街1号
電話: +86-10-8531-9800
管轄: 北京市, 天津市, 河北省, 山西省, 内モンゴル, 河南省, 湖北省, 湖南省, 陝西省, 甘粛省, 青海省, 寧夏, 新疆
緊急対応: 24時間対応(邦人援護ホットライン)
在上海日本国総領事館
Consulate General - 上海
住所: 上海市万山路8号
電話: +86-21-5257-4764
管轄: 上海市, 安徽省, 浙江省, 江蘇省, 江西省
緊急対応: 24時間対応
在広州日本国総領事館
Consulate General - 広州
住所: 広東省広州市環市東路368号花園大厦
電話: +86-20-8334-3009
管轄: 広東省, 福建省, 広西, 海南省
緊急対応: 24時間対応
領事サービス
在外公館ではパスポートの紛失・盗難に伴う「帰国のための渡航書」の発給、事件・事故・拘束時の邦人保護、証明書発行などを行います。反スパイ法等で拘束された場合、速やかな領事面会を求めることが権利として認められていますが、中国当局の判断により制限されることもあります。緊急時は深夜・休日を問わず電話でオペレーターに繋がります。
長期滞在ビザ
2026年現在、30日以内の短期滞在は日本国民に対してビザ免除。それを超える留学(Xビザ)、就労(Zビザ)は事前に中国ビザ申請センターでの手続きが必要です。申請には指紋採取が義務付けられています。入国後24時間以内に必ず派出所への届け出(またはホテルでの登録)を行う義務があり、これを怠ると不法滞在とみなされ多額の罰金が科されます。
リモートワーク・デジタルノマド
公式な「デジタルノマドビザ」は存在しません。30日間のビザ免除枠でのリモートワークは可能ですが、報酬を中国国内の法人から受け取る場合は就労ビザが必要です。ネット規制(GFW)により、VPNなしでは日本の社内システムやSlack、Google Workspaceへのアクセスが困難です。通信環境の不安定さと監視リスクを理解した上での運用が求められます。
ビジネスビザ
短期の商用(Mビザ)も30日以内ならビザ免除。それ以上の滞在や頻繁な往来には数年有効のマルチビザが推奨されます。現地企業の招待状(インビテーション)が必要です。ビジネスの場での政治的発言や、市場調査と称した無許可の地図作成・データ収集はスパイ行為とみなされるリスクがあるため、行動範囲には注意が必要です。
推奨防犯装備
政府公認または信頼性の高いVPN
必須通信機器
中国独自のネット規制(金盾)を回避し、LINEやGoogle等を使用するために不可欠。突然の遮断に備え、複数を予備。有料版を渡航前に設定しておくこと。
モバイルバッテリー(大容量)
必須通信機器
キャッシュレス決済(Alipay/WeChat Pay)が全ての鍵となるため、スマホの電池切れは死活問題。航空機持込制限(通常100Wh以下)に注意し、基準適合品を携帯。
翻訳アプリ(オフライン対応)
推奨通信機器
大都市でも英語通用度は低いため、DeepLや百度翻訳、Google翻訳(VPN使用時)のダウンロードは必須。音声入力機能があるとトラブル時に意思疎通がスムーズ。
防犯ホイッスル・防犯ブザー
推奨防犯グッズ
近年散発している「社会報復型」の無差別殺傷事件に対する緊急避難用。刃物による襲撃時、周囲に助けを求めるだけでなく、犯人を威嚇する初期動作に有効。
マネーベルト・隠しポーチ
推奨防犯グッズ
支払いの主体はスマホだが、万が一の紛失・盗難に備え、予備の現金(人民元)とパスポートのコピー、クレジットカードを衣服の下に隠して保持する。スリ対策。
海外旅行保険証(英文併記)
必須保険
中国の国際病院は極めて高額(デポジット制)。治療前に支払いを求められることが多いため、キャッシュレス診療対応の保険加入と、保険証の常時携行は必須。
アルコール消毒液・除菌シート
推奨衛生用品
ローカル食堂の衛生状態や、公共施設の衛生レベルが不安定な場合があるため、手指消毒用に携帯。PM2.5対策としての高性能マスク(N95等)も併用を推奨。
予備の人民元現金(100元札数枚)
必須その他
スマホの不具合やネットワーク遮断でデジタル決済が不能になった際の最終手段。法的には受け入れ義務があるが、お釣りがないことが多いため、小銭も混ぜて保持。
旅行者タイプ別ガイド
女性旅行者向けガイド
中国は女性一人旅において世界で最も安全な国の一つです。夜間の大都市中心部でも犯罪に遭遇する確率は低いです。公共交通機関での痴漢(鹹魚/シェンユィ)は稀に報告されますが、監視カメラの影響で減少しています。注意点は、DiDiなどの配車アプリ利用時に「助手席ではなく後部座席に座る」ことと、アプリ内の「位置共有」を信頼できる人に送ること。また、地方や農村部では過度な露出は避け、伝統的な価値観を尊重する姿勢が望ましいです。生理用品は都市部のコンビニやスーパーで日本ブランドが容易に手に入ります。
LGBTQ+旅行者向けガイド
中国におけるLGBTQ+の法的地位は複雑です。同性婚は認められておらず、政府によるコンテンツ規制も強化されています。しかし、北京や上海などの大都市では、若い世代を中心に比較的寛容な空気があり、ゲイバーやイベントも存在します。公の場での過度な愛情表現は控え、当局による「風紀の乱れ」としての介入を避けるため、目立たない行動(Discreet)を心がければ、旅行中に差別や危険に遭うことはほぼありません。ただし、出会い系アプリなどでのハニートラップには警戒が必要です。
家族・シニア旅行者向けガイド
【家族連れ】中国人は子供に非常に優しく、レストラン等でも歓迎されます。しかし、大都市の道は電動バイクの飛び出しが多く、ベビーカー利用には注意が必要。地下鉄駅の一部はエレベーターが遠い場所もあります。紙おむつや粉ミルクは高級スーパーで日本製品が購入可能。【シニア】高速鉄道での移動は体への負担が少なく非常に快適。観光地では「敬老」の精神で親切にされることが多いです。注意点は階段の多さと、すべてがデジタル化されていること。Alipayの設定やDiDiの使い方は渡航前に習得が必須。また、公立病院の「特需門診」を事前に調べておくことが、健康不安への対策となります。
安全に関するよくある質問
夜に一人で歩いても大丈夫? ▼
大都市の目抜き通りであれば、深夜でも女性一人での歩行が可能です。監視カメラが多く、物理的な凶悪犯罪は極めて少ないためです。
軍事施設の写真はどこまでダメ? ▼
「軍事管理区域」と書かれた場所はもちろん、警察署、空港の検問、橋、古いインフラなども避けるのが無難。迷ったら撮らないこと。
日本人だと分かると危ない? ▼
一般市民から直接攻撃されることは稀ですが、日中関係悪化時は政治的な嫌がらせを受けるリスクがあります。公共の場で政治議論は避けてください。
DiDi(配車アプリ)は安全? ▼
流しのタクシーより遥かに安全です。ルートが記録され、通報機能もあり、支払いも自動。ナンバー確認を怠らなければ非常に安全です。
不当に拘束されることはある? ▼
「反スパイ法」の定義が広く、通常のビジネスや研究が疑われる事例があります。政治・軍事に関連する活動や撮影を避ければリスクは下がります。
実用的なよくある質問
現金は全く使えないの? ▼
使えますが、お釣りがないと言われることが多いです。10元、20元の小銭を常に持っておくのがコツ。100元札は偽札確認をされます。
Googleマップは使える? ▼
VPNなしでは不可。さらに地図データが古く、位置がズレる「GCJ-02座標問題」があるため、百度地図や高徳地図の使用を推奨します。
コンセントは変換プラグが必要? ▼
多くのホテルで日本の2本足プラグがそのまま使えますが、稀に3本足(Oタイプ)専用があるため、1つマルチ変換器があると安心です。
高速鉄道の予約はどうする? ▼
Trip.comで日本語予約可能。駅ではパスポートを提示するだけで、自動改札や窓口を通過できる実質チケットレスシステムです。
トイレに紙はある? ▼
大きなモールや空港以外はないと思ってください。常に水に流せるティッシュを携行するのが中国旅行の鉄則です。
中華人民共和国/中国の治安に関するよくある質問
中華人民共和国/中国の治安は良い?悪い? ▼
中国の治安は極めて二面性が強いのが特徴です。AI監視網「天網システム」により、強盗やスリなどの街頭犯罪は世界的に見ても非常に低水準であり、夜間の大都市歩行も概ね安全です。しかし、2024年以降、経済停滞を背景とした社会報復目的の無差別殺傷事件が各地で発生しており、従来の「絶対的な安全」は揺らいでいます。一般的な旅行としての治安は良い部類に入りますが、政治的・法的リスクが非常に高いため、総合的な安全評価は複雑です。
中華人民共和国/中国で危険な地域はどこ? ▼
新疆ウイグル自治区はテロ対策の名目で厳重な監視下にあり、外国人も検問や尋問の対象となるため極めて警戒が必要です。チベット自治区は特別な入境許可証が必要で、政治的に非常に敏感な地域です。また、ミャンマー国境付近の雲南省は薬物密輸や詐欺集団の活動が活発なため立ち入りは避けるべきです。大都市部であっても、過去に日本人を標的とした事件が発生した蘇州や深圳の特定エリアでは、引き続き警戒レベルを上げる必要があります。
中華人民共和国/中国旅行はやばい?本当に行って大丈夫? ▼
「やばい」とされる最大の理由は、政治的・法的な不透明さです。改正反スパイ法の施行により、写真撮影や情報収集が思わぬ形でスパイ行為とみなされる法的リスクがあります。観光地を巡る一般的な旅行であれば、政府の批判を避け、立ち入り禁止区域に近づかなければ大きなトラブルは避けられます。ただし、日中関係の緊張が現地での感情に影響する場合があるため、公の場での振る舞いには細心の注意を払うことで渡航は可能です。
中華人民共和国/中国は女性一人でも怖くない? ▼
女性一人旅において、身体的な安全面では欧米諸国より怖くないと感じることが多いでしょう。キャッシュレス化と監視カメラの普及により、夜間の大通りでも犯罪に遭遇する確率は低いです。ただし、タクシーや配車アプリ利用時のトラブル、あるいはSNSを通じた排外主義的なナショナリズムの激化に伴う視線が心理的恐怖を感じさせる場面もあります。政治的な議論を避け、常に通信手段を確保しておくことが安心に繋がります。
中華人民共和国/中国でスリに遭わないための対策は? ▼
中国ではキャッシュレス決済(AlipayやWeChat Pay)が普及しているため、現金を持ち歩く必要が減り、スリの発生率は劇的に低下しました。しかし、混雑する地下鉄や有名な観光スポットでは依然として注意が必要です。対策としては、貴重品は体の前で持つこと、スマートフォンを歩きスマホで使用しないこと、多額の現金を見せないことが挙げられます。特に海外観光客が集まる場所では、古典的な手口のスリに遭遇する可能性があるため油断は禁物です。
中華人民共和国/中国で多い詐欺の手口は? ▼
古典的な「ティーサロン詐欺」が今も報告されています。観光地で親切に声をかけられ、日本語や英語の練習と称して茶店やバーに誘われ、高額な請求をされる手口です。また、偽札の混入や、タクシーのメーター細工、不当な遠回りも存在します。最近では、SNSを利用したロマンス詐欺や投資詐欺が急増しており、現地で知り合ったばかりの人物から金銭や投資の勧誘を受けた場合は、100%詐欺と疑って間違いありません。
中華人民共和国/中国で日本人が巻き込まれやすい犯罪は? ▼
近年懸念されているのは、日本人学校付近や日本人が多く集まる公共の場での無差別殺傷事件です。社会への報復を目的とした犯行が散発しており、日本人が標的にされた可能性も否定できません。また、法的リスクとしては、日本人のビジネスマンや研究者が、通常の活動の範囲内で資料収集や写真撮影を行った際に「スパイ容疑」で拘束される事案が継続的に発生しています。これらは他国での一般的な「犯罪」とは異なる国家権力によるリスクです。
中華人民共和国/中国旅行で注意すべきことは? ▼
最大の注意点は政治的敏感さです。軍事施設、政府機関、警察官の撮影、デモや騒乱の様子を記録することは厳禁です。また、GoogleやLINEなどの日本のサービスがインターネット規制により使えないため、VPNや海外ローミングの準備が必須です。さらに、身分証明書の携帯義務があり、警察から職務質問を受けた際に提示できないとトラブルになります。現地での言動が中国政府批判と受け取られないよう、SNSの投稿内容にも十分留意してください。
中華人民共和国/中国で起こりやすいトラブルは? ▼
交通事故に関連するトラブルが多く、交通ルールが遵守されない場面も多いため歩行時も油断できません。事故に遭った際、外国人が一方的に高額な賠償金を請求されることもあります。また、出国時に突然「出国禁止措置」を言い渡され、理由も分からず数ヶ月足止めされるといった行政トラブルも深刻化しています。その他、衛生管理の不十分な飲食店での食中毒や、大気汚染による呼吸器系への影響も旅行者が遭遇しやすいトラブルです。
中華人民共和国/中国で被害に遭ったらどうする? ▼
まずは現地の警察(110番)に通報してください。被害届にあたる「報案証明」の取得が必要ですが、言葉の問題や当局の対応で困難な場合があります。速やかに日本大使館や総領事館(邦人援護担当)に連絡し、支援を依頼してください。盗難でパスポートを紛失した場合は再発行手続きが必要です。身体的被害は海外旅行保険の提携病院をすぐに受診してください。ただし、国家安全に関する拘束の場合、領事面会すら制限される可能性があるため初動が肝心です。
中華人民共和国/中国の治安詳細
中華人民共和国/中国の治安概要
2026年現在の中国治安は、強固な監視体制による秩序と、不透明な政治的リスクが共存しています。AI監視カメラ網により強盗やスリなどの街頭犯罪は極めて少ない水準を維持していますが、国内経済の停滞と高い若年層失業率を背景に、社会への報復を目的とした無差別殺傷事件(張献忠現象)が散発しています。政治的には習近平指導部による統制が非常に強く、反スパイ法の恣意的運用による邦人拘束リスクや、ビジネスマンに対する出国禁止措置など、国家権力に起因する法的安全性の欠如が大きな懸念点となっています。日中関係の緊張度合いに応じた慎重な言動が求められる状況です。
中華人民共和国/中国は危険?やばい?
中国が「危険」や「やばい」と言われる主な要因は、予測不可能な突発的暴力事件と不透明な法的拘束にあります。一般的な観光地であれば一見安全に見えますが、2024年以降、日本人学校周辺や公共施設での殺傷事件が発生しており、いつどこで事件に巻き込まれるか予測が困難です。また、以前は通常のビジネスや研究活動とされていた情報収集が、拡大解釈された反スパイ法によって拘束対象となるなど、一度トラブルになると個人の力では解決できない「国家によるリスク」が顕在化しています。特定の地域に限らず、公共の場での警戒と法的リスクへの深い理解が必要です。
中華人民共和国/中国は怖い?一人旅でも大丈夫?
女性の一人旅や単独渡航において、夜間の大通り歩行などは監視網の多さから身体的安全性を高く感じるかもしれません。しかし、中国人以外の外国人に対する排外主義的な視線や、言葉が通じない中での警察による予期せぬ職務質問、持ち物(特にスマホ内のデータ)検査などは心理的に非常に「怖い」と感じる要素です。また、万が一法的トラブルに巻き込まれた際、法的手続きが不透明で弁護士の接見も制限される可能性があることは大きな不安要素です。SNSでの発信を控え、日本大使館の連絡先を常に携帯し、デリケートな場所には近づかないといった基本的な自衛策が不可欠です。
スリ・詐欺・犯罪の実態
中国の犯罪状況は大きく変化しています。キャッシュレス決済の普及により、現金を狙うスリやひったくりは激減しました。その一方で、巧妙な「詐欺」や「無差別殺傷」が問題となっています。観光地では、親切を装って茶店へ誘い数万円を請求するティーサロン詐欺が依然として存在します。また、SNSを利用した国際ロマンス詐欺や投資詐欺の手口も巧妙化しています。最も重大な変化は、犯行の動機が個人的な絶望に基づく「社会報復型」の刃物襲撃事件で、駅や学校などの公共空間で発生しています。これらは従来の犯罪対策(貴重品に気をつける等)では防げないため、周囲の状況に常に気を配る必要があります。
地域別の危険度
地域別の危険度では、新疆ウイグル自治区がレベル3(渡航中止勧告に準ずる)で、常に検問や思想調査の対象となり極めて危険です。チベット自治区はレベル2で、入境許可証が必須かつ常に監視下にあります。ミャンマー国境(雲南省等)はオンライン詐欺集団や麻薬密売のリスクからレベル3相当の警戒が必要です。蘇州や深圳、上海、北京などの大都市部はレベル1ですが、日本人を標的とした可能性のある殺傷事件が発生した場所では実質的な警戒レベルを上げる必要があります。工業地帯や学生街など、社会不満が蓄積しやすいエリアでの公共交通機関や大規模施設利用時は、周囲の不審な人物への注意を怠らないでください。
中華人民共和国/中国旅行で注意すべきポイント
渡航者が注意すべき最重要ポイントは「政治的感度」です。政府施設や軍事関係だけでなく、警察車両や公共インフラの撮影もリスクになり得ます。また、中国独自のインターネット規制(グレート・ファイアウォール)により主要なSNSや地図アプリが利用できないため、代替手段を確保しておかなければ情報難民となりトラブルに繋がります。健康面では、慢性的な大気汚染や、水道水の衛生状態に注意し、生ものの摂取は避けるべきです。さらに、改正反スパイ法の下では「何がスパイ行為か」の基準が曖昧であるため、不用意な地図作成や地質調査、現地知人との政治談議は避けるのが賢明です。
よくあるトラブル事例
実際の事例として、日本人学校付近で通学中の児童が襲撃される事件や、地下鉄構内で刃物を持った人物が不特定多数を襲う事件が報告されています。法的トラブルでは、日本人社員が帰国直前の空港で理由を告げられず拘束されたり、出国制限をかけられて何ヶ月も足止めされたりする事例が後を絶ちません。その他、タクシーで不当に高い料金を請求される、偽札(お釣りの中に混ざる)を渡されるといった事例もあります。また、SNSに中国当局を批判する投稿をした日本人が、入国時に別室で尋問を受け、入国を拒否される、あるいはそのまま拘束されるといった事例も確認されています。
被害に遭った場合の対応
万が一被害に遭った場合、直ちに警察(110番)へ連絡し、「報案証明(警察への通報証明)」を必ず取得してください。ただし、言葉の壁や当局の消極的な姿勢で受理が難航することが多いため、速やかに管轄の日本大使館・総領事館に電話し、現状を報告してください。領事官は法的アドバイスや通訳の紹介は行いますが、本人の代理として交渉することはできません。特に法的拘束を受けた場合は、直ちに「領事面会」を要求してください。盗難の際はパスポート再発行のため、現地警察発行の紛失届と日本大使館での手続きが必要です。身体的被害を受けた場合は、海外旅行保険の日本語対応ラインを利用し、提携病院を手配するのが最も迅速です。